機械式駐車場とは?メリット・デメリット|設置の基本と注意点を解説!

マンションはもちろん個人宅でも利用されている機械式駐車場。種類が多く、どのタイプの機械式駐車場を設置すべきか悩ましいですよね。

この記事では、これから駐車場設置を予定している方に向けて、機械式駐車場のメリット・デメリットを詳しく解説します。設置の注意点やほかの選択肢についても紹介するので参考にしてください。


機械式駐車場の特徴

機械式駐車場の特徴

機械式駐車場の特徴を5つにまとめました。

● 種類と使い方
● 耐用年数
● 車両制限(サイズ)
● 設置コスト
● 設置が適している施設

順に見ていきましょう。


機械式駐車場の種類

ひと言で機械式駐車場といっても、さまざまな種類があります。大きく4つに分けました。

● 地上二段・ピット二段式
● 昇降横行式(パズル)
● 垂直循環式(タワー)
● エレベーター式

順に見ていきましょう。


地上二段・ピット二段式

マンションの機械式立体駐車場の種類
画像引用:国土交通省|「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き

機械式駐車場のなかで最もメジャーなのが地上二段・ピット二段式です。
地上二段式 車を上下2台に停める
フォークリフトのようにパレットを昇降させる
ピット2段式 車を上下2台停める
下段は地下に収める
上下3段にすることも可能
パレットとは、機械式駐車場において車両を駐車するスペースを指します。ピットとは、車を納める穴の部分です。


昇降横行式(パズル)

昇降横行式(パズル)
画像引用:国土交通省|「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き

一台分の空きスペースがあり、そのスペースを利用して必要なパレットをパズルのように上下左右に動かして任意の車を取り出す方式です。パレットをパズルのように動かし、目的の車を出すことから「パズル式」とも呼ばれています。


垂直循環式(タワー)

昇降横行式(パズル)
画像引用:国土交通省|「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き

車を載せるパレットを垂直方向に循環させ、入出庫する方式です。機械式駐車場の約15%を占めています。縦方向に長い構造によりタワー式とも呼ばれています。また、パレットをくるくる回転させて循環させる動きから、別名メリーゴーランド方式や観覧車方式とも呼ばれます。


エレベーター式

昇降横行式(パズル)
画像引用:国土交通省|「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き

建物内の左右に駐車室を配置し、中央にある自動車昇降装置で移動させるのでエレベーター式と呼ばれています。こちらも高層のためタワーパーキングとも呼ばれ、外から見ると垂直循環式との違いはわかりません。


耐用年数

機械式駐車場の法定耐用年数は15年です。その間、使用頻度に応じて1~3カ月以内に1度を目安として専門技術者による点検を受ける必要があります。これは国土交通省の『「機械式駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き』にも明記されています。


車両制限(サイズ)

機械式駐車場には、車幅・車長・車高・重量など制限があります。

契約者や駐車場予約サイトには、入庫できる車両のサイズについて提示する必要があります。表示例としては次のとおりです。

● 車高:155cm
● 車幅:205cm
● タイヤ幅:183cm
● 全長:580cm
● 車下:15cm
● 重量:2,200kg

軽自動車であっても車高が180cmあり、入庫ができない車種もあります。都市部では、全長5m以下×全幅1.8m以下×全高1.55m以下としている駐車場が多いようです。


設置コスト

機械式駐車場は、専用の設備の設置が必要です。目安コストは1台当たり100~500万円ほど。メンテナンス頻度が高いので、メンテナンスのコストも考慮しておきましょう。定期点検、部品交換、故障修繕、塗装など、機械の更新までに必要な維持管理費は1台あたり年間10万円前後です。また、新しい機械に更新する際の更新費用は1台あたり80万~150万円といわれています。


設置が適している施設

少ないスペースに多くの車を駐車できるので、都心部のオフィス街や商業施設に適しています。またマンションなどの専用駐車場としても普及しています。


機械式駐車場のメリット

マンションに機械式立体駐車場を設置するメリット

機械式駐車場のメリットは次のとおりです。

● 盗難の心配が少ない
● 紫外線による劣化を防げる
● 限られたスペースを有効活用できる
● 近隣車両とのトラブルが起きにくい

順に見ていきましょう。


盗難の心配が少ない

地下や上段に格納し、操作には専用のキーが必要です。部外者による操作ができないため、車上荒らしやいたずらのリスクが少ないのは安心できます。


紫外線による劣化を防げる

タワー型の駐車場であれば、閉じられた空間に保管されるので、日光や雨によるダメージを軽減できます。ボディの色あせ・凍結などのダメージも防いでくれます。


限られたスペースを有効活用できる

平面駐車場に比べ駐車場台数を多く確保できます。自走式立体駐車場のようにスロープが必要ないため、都心のような土地の少ない場所でも多くの駐車場を確保できます。


近隣車両とのトラブルが起きにくい

個別のスペースに納めるので、近隣車両とのトラブルが起きにくいといえます。例えば、ドアの開け閉めが原因で隣の車にぶつけてしまう、駐車スペースのはみだしでもめるといった心配はありません。


機械式駐車場のデメリット

機械式駐車場のデメリット

機械式駐車場の代表的なデメリットは、次の6つです。

● 車両サイズに制限がある
● メンテナンスが大変
● 入出庫に時間がかかる
● 停電時には利用できない
● 災害時に影響を受けやすい
● 操作時に事故が起きやすい

順に見ていきましょう。


車両サイズに制限がある

自走式立体駐車場や平面駐車場に比べ、車幅や車高の制限があります。車高以外にも、車長・車幅・重量など制限される項目が多いのも特徴です。軽自動車でも車高が高い車種やルーフがあるタイプのものは要注意です。


メンテナンスが大変

機械式駐車場は定期メンテナンスの頻度が高く、維持費もかかります。年数がたつにつれ、故障の頻度も増えるので、年々負担が増えていくでしょう。また、部品の交換も定期的に起こるうえ、設置して10年以上になると、交換部品が生産中止になるリスクもあります。


入出庫に時間がかかる

機械操作によって出し入れするので、入出庫に一定時間が必要です。同時に操作できないため、 ほかの人が操作しているときは順番待ちとなってしまいます。急いでいるときでも一台ずつ操作するしかありません。


停電時には利用できない

電気で動いているので停電時は利用できません。また、メンテナンス時や故障の場合も利用できません。


災害時に影響を受けやすい

地下にある場合は台風や大雨で水没の可能性があります。外に設置された機械式駐車場の場合、大雪や地震発生時に動かなくなることも。自然災害の影響を受けやすく、出庫したいときでも天候のせいで出庫できないケースも少なくありません。


操作時に事故が起きやすい

国土交通省の『「機械式駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引き』でも、さまざまな事故が指摘されています。事故例としては次のようなものがあります。

● 移動中の装置に子どもが立ち入り挟まれる
● 前の利用者が装置内に閉じ込められる
● 乗降室内のすき間から子どもが落下
● 稼働時のローラーやチェーンに巻き込まれる

死亡事故につながるケースもあります。人感センサーやゲートを設置するなどの安全対策が欠かせません。


機械式駐車場を設置する際に注意すべき法律

機械式駐車場を設置する際に注意すべき法律

機械式駐車場を設置する際は、法律や条例を確認する必要があります。代表的なものが次の3つです。

● 建築基準法
● 駐車場法
● 消防法

順に見ていきましょう。


建築基準法

高さによって「建築物」か「工作物」に区別され、屋根を含む高さが8mをこえるかどうかが基準です。3段昇降式など型式によっては建築物に該当する場合も。ただし建築物の該当基準は、行政管轄により異なります。


駐車場法

地方公共団体の条例「附置義務条例」では、一定規模以上の建築物を建てる場合、床面積に応じて駐車場を設ける義務があります。床面積により台数は変わりますが、都市部など土地が少ない場所では機械式駐車場が利用されるケースが多いようです。


消防法

収容者台数が10台をこえる場合は、消火設備の設置が義務付けられています。屋内の場合は駐車場用泡消火設置(固定式消火設備)、屋外の場合は移動式粉末消火設備が用いられるのが一般的です。行政管轄によって異なるので確認が必要です。


機械式駐車場以外の選択肢

機械式駐車場以外の選択肢

狭い土地での有効活用できる機械式駐車場ですが、他の選択肢もあります。

● 平面駐車場
● 自走式立体駐車場

それぞれの特徴とメリットを紹介します。


平面駐車場

サイズや重量の規制が緩やかで、ほとんどの車が駐車できます。入出庫に時間がかからず、停電の心配もありません。メンテナンスの負担が少なく建設コストも安いのが魅力的です。

一方、設置には広い敷地が必要です。屋根がないため車が汚れやすく、盗難やいたずらの心配もあります。隣の車のドアが当たるなどのトラブルも避けられません。


自走式立体駐車場

駐車スペースまで運転者が運転して駐車するので、入出庫の待ち時間がありません。マンションや商業施設、公共施設の駐車場に適しています。耐用年数も長く、メンテナンスの頻度も機械式駐車場ほど高くありません。最近、機械式から自走式立体駐車場へ建て替えるケースも増えています。

自走式立体駐車場のメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

自走式立体駐車場とは?種類・メリット・規制について


まとめ

適した駐車場の選び方と手順

機械式駐車場は狭い敷地でも、より多くの駐車スペースを確保できます。一方で、設備費やメンテナンスの負担、事故の予防対策、耐用年数の短さなどのデメリットも。

機械式駐車場の老朽化もすすみ、メンテナンスの負担が少ない自走式立体駐車場への建て替えを検討する方も少なくありません。

綿半ソリューションズは、業界屈指の自走式立体駐車場メーカーです。認定駐車場『stageW』により、コストや期間をカットすると同時に、安定した品質を提供できます。

立体駐車場を検討している方は、資料請求やプラン作成など、こちらまでお気軽にお問い合わせください。


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