駐車場経営に大きくかかわるのは稼働率ですが、その数字に関わる施策のひとつがレイアウトです。
収益を上げるためにレイアウトが重要と聞くと「幅を狭くして、駐車台数を増やせばよい」と思いがちですが、そのような単純な話ではありません。
守るべき法令や条例などがあるため、それらをふまえてレイアウトを組まなくてはならないのです。
「この記事では、稼働率を上げるための駐車場のレイアウトについて解説します。規定などを押さ
えたうえでレイアウト効率を上げるポイントについても紹介するので、参考にしてみてください。
駐車場の稼働率に影響する要因
駐車場の稼働率に影響する要因は、大きく分けて下記のとおりです。
・立地
・料金設定
・レイアウト
それぞれ詳しく解説していきましょう。
立地
稼働率に大きく影響するのが立地です。交通量の多い場所や周辺に商業施設がある場所などは稼働率が高くなる傾向があります。 ただしニーズが高い場所であるほど、競合他社も駐車場運営に進出してきます。その場合、重要なのが看板の位置です。 設置する高さやほかの建物の死角になっていないかなど気をつけながら、遠くから走ってくる車に見えやすい位置に看板を配置しましょう。
料金設定
料金の設定は、周辺の駐車場と比較して適正な価格設定であることが重要です。時間帯によって料金を変更する、上限金額を設定するなど、需要に合わせた料金設定にしましょう。
料金は、周辺の競合他社との兼ね合いが大きく、場合によっては価格競争に陥る可能性もあります。料金は収入に直結するため、調査しつつ慎重に決めましょう。
レイアウト
駐車スペースの幅や長さ、駐車スペース同士の距離など、利用者が駐車しやすいレイアウト設計であることが重要です。
少しでも駐車可能台数を増やそうと、無理やり車室を詰め込んだレイアウトにしてしまうと、「狭い」「駐車しにくい」など利用者に悪い印象を与えてしまいます。
利用しやすい駐車場のためには、出入口の幅、車路の幅、前面道路の広さなど、多少の余裕が必要です。法律や規定で定められている幅を守ったうえで、効率の良いレイアウトにしましょう。
駐車場のレイアウトの種類
レイアウトの種類は、駐車場の稼働率に大きな影響を及ぼします。その種類は下記のとおりです。
・直角駐車
・斜め駐車
・並列駐車
それぞれ詳しく解説していきましょう。
直角駐車
直角駐車は、車道に対して直角に駐車するスタイルです。直角駐車の駐車場は、駐車スペースの幅を広く取りやすく、出し入れしやすいのが特長です。一般的に利用されている方式でもあります。
斜め駐車
斜め駐車は、車路に対して斜めに駐車するスタイルです。SA(サービスエリア)でも、よく利用されています。メリットは、車のフロント側から進入してスムーズに駐車できる点です。 フロント側に停車中の車がなければそのまま出庫でき、進行方向を間違いにくい駐車場です。
並列駐車
並列駐車は、車路に対して平行に駐車するスタイルです。駐車スペースの前の車路が狭くても利用しやすいのが特長です。
ただし、車体の長さに対して間口は2倍以上、車幅に対して奥行きは90㎝以上プラスする必要があります。駐車面積の効率が良いとはいえませんが、駐車場の規模が大きい場合に利用されます。
駐車場のレイアウトに影響する規定
駐車場のレイアウトは、国土交通省の「駐車場設計・施工ガイドライン」の規定に添う必要があります。ガイドラインの概要について、
・駐車ますのサイズ
・車路
・出入口
上記3つのカテゴリーで解説します。
駐車ますのサイズ
車両のサイズに対応した駐車ますのサイズの規定は下記のとおりです。
車両の種類 | 長さ( m | 幅( m |
---|---|---|
軽自動車 | 3.6 | 2.0 |
小型乗用車 | 5.0 | 2.3 |
普通自動車 | 6.0 | 2.5 |
車路
軽自動車・小型乗用車・普通乗用車どの場合も車路の幅員の規定は同じで、下記のとおりです。
歩行者用通路なし | 7.0m |
---|---|
歩行者用通路あり | 6.5m |
出入口
駐車場の出入り口の場所に関しては、駐車場法第2章第7条に定められており、以下の場所以外の部分に設置するべきと定められています。
・横断歩道橋( 地下横断歩道を含む) の昇降口から五メートル以内の道路の部分
・幼稚園、小学校、義務教育学校、特別支援学校、幼保連携型認定こども園、保育所、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童公園、児童遊園又は児童館の出入口から二十メートル以内の部分
・幅員が六メートル未満の道路
・縦断勾配が十パーセントを超える道
また、出入口の幅は入庫車と出庫車がすれ違うことができるよう、2台分の幅が必要です。
駐車場のレイアウトを決めるときのポイント
駐車場のレイアウトを決めるときに、以下の4つのポイントに注意しましょう。
・台数を確保するよりも使いやすさを重視する
・車種に合わせたレイアウトを考える
・ライン引きを工夫する
・入念にシミュレーションするそれぞれ詳しく解説していきましょう。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
台数を確保するよりも使いやすさを重視する
駐車台数を稼ぐために車路を狭くすると、使い勝手が悪くなってしまいます。結果的に、利用者にストレスを与えてしまい、稼働率が下がることにつながりかねません。
多少駐車台数が減ったとしても、使いやすさを優先したレイアウトにしましょう。
stageWならスーパーロングスパン構造で、余分な柱がなくレイアウトに余裕を持つことができます。スーパーロングスパン構造については、こちらの記事を参考にしてください。
⇒広々とした空間なのでプランニングの自由度が高く、ゆとりある利便性の高いレイアウトも可能なスーパーロングスパン
車種に合わせたレイアウトを考える
軽自動車が多い地域では、軽自動車専用のスペースを多めにとると効率的に運用できます。全国でも軽自動車の保有率が高いのは以下の県です。
1位 高知県: 55.8%
2位 長崎県: 55.5%
3位 和歌山県: 54.7%
参照:全軽自協|2023年3月末現在 軽三・四輪車県別保有台数と保有シェア
ライン引きを工夫する
内輪差や外輪差を考慮したライン引きにするなどライン引きを工夫しましょう。 白線自体の幅は5~10㎝が一般的で、2本ラインで細長いU字型にすると、隣の車との間隔を十分に確保でき、結果としてトラブルの軽減効果があります。
入念にシミュレーションする
限られた敷地で駐車台数を確保して、ストレスなく駐車できるレイアウトを作るためには、入念なシミュレーションが重要です。 シミュレーションには、単なる空間の確保だけでなく、駐車する際の車の軌道を検討する必要があります。 フロントから駐車する場合とバックから駐車する場合のそれぞれの駐車パターンを考慮するようにしましょう。例えば、バックで駐車する場合に死角がないか、スペースは十分かなどの検討です。
stageWなら希望に沿ったレイアウトが可能です
最適なレイアウトや、そのためのシミュレーションなどは、プロのノウハウに頼ったほうが確実です。
stageWは、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーとして長年の実績があり、多様なお客様のニーズにあわせた提案も可能です。
またスーパーロングスパンなどのレイアウトも可能なため、効率よい駐車場運営をサポートできます。自走式立体駐車場の建設を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。