駐車場を建設する際の駐車台数の決め方とは?
計算式や法律について詳しくご紹介

駐車場を建設する際、一体どのくらいの規模を想定して計画したらいいものか迷いますよね。実は、法律や計算式で適切な駐車場台数は決まっています。もちろん建設予定の行政区ごとに細かい基準は違いますが、大まかなルールを知っておくといいでしょう。
この記事では、建設する駐車台数の決め方について解説。目安となる計算式や法律について紹介するので、参考にしてみてください。

商業用駐車場の駐車台数を決める要素

商業用駐車場の駐車台数を決める要素

商業用の駐車台数は、おもに次の3つの要素が影響しています。

・店舗の規模や店舗の延べ床面積
・立地条件や交通状況
・行政人口や自動車分担率

順に見ていきましょう。

店舗の規模や店舗の延べ床面積

駐車場は大きく分けて路外駐車場と附置義務駐車施設の2種類があります。

駐車場の種類定義関係する法律設置形態
路外駐車場道路の路面外に設置される自動車の駐車のための施設であって、一般公共の用に供されるもの駐車場法第2条・小規模コインパーキング(時間貸し)
・商業施設駐車場(無料)
路外駐車場
(届出駐車場)
路外駐車場のうち、都市計画区域内に設置され、自動車の駐車の用に供する面積が500㎡以上で、その利用について駐車料金を徴収するもの駐車場法第11条・第12条・コインパーキング(時間貸し)
・立体駐車場(時間貸し)
附置義務駐車場地方公共団体の条例により、一定規模以上の建築物の新設・増築の際に建築主の義務として整備される駐車施設駐車場法第20条・第20条の2・商業施設駐車場
・マンション通射場
・オフィスビル駐車場

参照:国土交通省|都市再生特別措置法に基づく駐車場の配置適正化に関する手引き

とくに附置義務駐車場は、併設店舗やマンションの規模・延べ床面積に応じて必要台数が算出されます。例えば、東京都の場合は、23区であれば床面積250㎡ごとに1台と基準が定められています。 したがって大きいショッピングモールが併設してあれば駐車場台数も多くなります。

参照:東京都都市整備局|駐車施設の附置義務

立地条件や交通状況

最寄駅からの距離や公共交通機関の利便性、周辺道路の幅や渋滞状況によっても、駐車場の需要が変わります。最寄駅から遠い場合は、公共交通機関の利便性が悪いため駐車場の需要が高まります。 また、人口密度が高く商業地区の場合も駐車場の需要は高いでしょう。 その他、事前に確認しておきたいのは次のとおりです。

・法規制:都道府県や市区町村の条例や法律
・地盤調査:地盤沈下の危険性や地震に対する耐震性
・需要:周辺環境や交通状況を確認したうえで駐車場需要の調査

さまざまな調査をしたうえで、必要な駐車台数を算出しましょう。

行政人口や自動車分担率

市町村の行政人口が多い地域は、駐車場の需要が高いといえます。ただし東京都など大都市圏では自動車分担率が低いため、駐車場の需要が必ずしも高いとはいえません。
自動車分担率とは、自動車・バス・鉄道・自転車・徒歩などの交通手段において、自動車がどれくらいの割合で使われているかを示す数値です。 その地域や都市がどれくらい自動車に頼っているかがわかり、数値が高いほどその地域の多くの人が車に依存しているといえます。
自動車分担率の全国平均は46.5%。東京都では9.4%に対し、山形県は77.6%と大きな差があります。このような自動車分担率も駐車場台数を検討するために参考になるでしょう。
なお、行政人口やピーク時の自動車来台数から必要な駐車場台数を計算する式については、次で紹介します。

都市の人口密度と自動車分担率

参照: 総務省統計|利用交通手段

必要な駐車台数を計算する方法

必要な駐車台数を計算する方法

必要な駐車場台数を計算する代表的な方法は、次のとおりです。

・大規模小売店舗立地法の指針に基づく方法
・駐車場の附置義務制度に基づく方法

各市町村によって独自の計算式を採用している場合もあるので、あくまでも目安として参考にしてください。必ず所轄の行政機関に確認することをおすすめします。

大規模小売店舗立地法の指針に基づく方法

大規模小売店舗立地法(大店法)とは、大規模小売店舗の立地に伴う交通渋滞や騒音などの周辺環境への影響について、店舗の設置者が適切に配慮することを求める法律です。
この法律は、1974年に施行された「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(大規模小売店舗法、略称「大店法」)に代わって、1998年に制定され、2000年に施行されました。
「大規模小売店舗」とは、建物内の「店舗面積」の合計が1,000平方メートルを超える店舗のことを指します。小売業を行なうための店舗の床面積のため、飲食やサービスは含まれません。
ここでは大阪市における大店立地法指針に基づく駐車場台数の計算式を紹介します。計算に使用されるのは、次のような数字です。

・店舗面積(千㎡)
・駅からの距離(m)
・併設施設面積(千㎡)
・行政人口(100万以上、40万以上100万未満、10万以上40万未満、10万未満のいずれか)
・地区の種別(商業地区、その他地区のいずれか)
・自動車分担率(%)

【指針による計算式】

「必要駐車台数」
=「A:店舗面積当たり日来客数原単位(人/千㎡)」
×「S:店舗面積(千㎡)」
×「B:ピーク率(%)」
×「C:自動車分担率(%)」
÷「D:平均乗車人員(人/台)」
×「E:平均駐車時間係数」

もちろん各自治体によって計算式や条例が違うため、駐車場を建設する自治体に必ず確認しましょう。

駐車場の附置義務制度に基づく方法

駐車場の附置義務制度とは、駐車場法に基づいて定められた制度です。一定地区内において、一定規模以上の建築物を新築などする場合、その建築物の床面積に応じて、その建築物または敷地内に駐車場を設けることを義務付けています。
この制度の目的は、道路交通の円滑化や都市機能の維持・増進に寄与することです。付置義務の台数は、建築物の用途や床面積に応じて条例で定められています。
ただし駐車場不足が危ぶまれた経済成長期に制定された基準であるため、実態に合わなくなってきているのも事実です。国は、新たに条例を制定することで、駐車場台数を算出するための原単位の数値を見直しています。

「標準駐車場条例」の改正について

画像引用:国土交通省|「標準駐車場条例」の改正について

第25条第1項では「地域・地区の特性に応じて適切に原単位を設定が必要」と指摘し、第25条第3項では「一定程度原単位を緩和できる」と明文化しています。自治体によって条件が多少違うので、建設予定の自治体条例を確認しましょう。

参照:国土交通省|都市再生特別措置法に基づく駐車場の配置適正化に関する手引き

自走式立体駐車場の床形式と駐車可能台数

自走式立体駐車場の床形式と駐車可能台数

附置義務制度が見直されるにあたって、老朽化した機械式立体駐車場から自走式駐車場へと建て替えるケースも少なくありません。また、自走式立体駐車場は、商業施設に併設する駐車場として適しています。具体的には次の3種類があります。

・フラット式
・スキップ式
・連続傾床式

ここでは3種類の自走式立体駐車場の特徴と、階層別の駐車台数について紹介します。

フラット式

フラット式
各階層をスロープでつなぐ形式の立体駐車場です。自走式駐車場の基本タイプ。フロア全体が平らなため、ショッピングカートを利用する商業施設や車いすの方が利用する病院などに適しています。

スキップ式

スキップ式
フロアを段違いに組み合わせ、半階ずつスロープでつなぐ形式です。スロープが半階分の長さのため、狭い敷地でも駐車効率がいいのが特長。集合住宅や一般の時間貸し駐車場に適しています。

連続傾床式

連続傾床式
フロアを緩やかに傾斜させ、各階層をらせん状につなぐ形式です。スロープが昇降と車路を兼ねているため駐車効率が最もいいタイプ。時間貸し駐車場に適しています。

階層と駐車可能台数

以上の特長に加え、階層により駐車可能台数が違います。こちらは国土交通大臣認定のstageWの駐車可能台数です。最大で1,000台もの駐車場台数を確保できます。

階層駐車台数(台)最大延べ床面積(㎡)
1層2段2804,000
2層3段4008,000
3層4段53012,000
4層5段67016,000
5層6段83020,000
6層7段1,00024,000

必要な駐車場数を知るためには対象の行政機関に確認しましょう

必要な駐車場数を知るためには対象の行政機関に確認しましょう

駐車場を建設する際は、地域のニーズを調査するとともに、行政区ごとに設定されている条例を確認しましょう。stageWではお見積もりの前に、 土地の広さや傾斜・交通量などの立地条件・周辺環境・各種法規(建築基準法、消防法、駐車場法等)を含む現地調査をいたします。調査のうえで、安全確保、駐車場内の動線の検討、 細部のオプションなどを組み込んだ設計プランを掲示するので、安心してご依頼いただけるはずです。

国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーとして長年の実績があるstageWは、お引き渡し後のメンテナンスや定期点検までお任せいただけます。 自走式立体駐車場の建設を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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