立体駐車場の耐用年数は?メンテナンスポイントや建て替えのサインを解説

立体駐車場を運営していると、メンテナンスの負担や建て替え時期が気になりますよね。
この記事では、立体駐車場の耐用年数について解説します。メンテナンスポイントや建て替えサインも紹介するので、参考にしてください。

立体駐車場の耐用年数

立体駐車場の耐用年数

立体駐車場は、構造物として減価償却可能な資産として扱われます。減価償却とは、毎年度の会計で減価償却費を経費として計上でき、その分の資産価値を減ずる制度です。
ここでは、減価償却できる年数=法定耐用年数と考えます。そこで、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」 を参考にまとめました。

・機械式立体駐車場の耐用年数は15年
・自走式立体駐車場の耐用年数は15年~38年

順に見ていきましょう。

機械式立体駐車場の耐用年数は15年

機械式立体駐車場とは、パレットに納めると機械が自動で収納してくれるタイプの駐車場です。都市部やマンションの敷地内など限られた面積でも、多くの駐車台数を確保できるのがメリットです。
機械部品を多く使っているため、定期的なメンテナンスが欠かせません。構造別耐用年数は、次のとおりです。

構造特長耐用年数
露店式屋根と壁がない
マンションなどに多い
15年
タワーパーキング
(鉄骨造)
建物
ほとんどのタワーパーキングは鉄骨造
31年
タワーパーキング
(鉄筋コンクリート)
建物38年
タワーパーキングは耐用年数が長いですが、これは機械設備を覆う建物の耐用年数のこと。内側にある機械部分の耐用年数は、露店式と同じく15年です。

機械部分は、毎月~3カ月ごとの点検が必要なうえ、部品交換など機械のメンテナンスの負荷が高い傾向にあります。さらに15年から25年程度で機械の寿命がくるため、大規模な装置入れ替えが必要です。ひとつひとつの部品の耐用年数は、さらに短く、製造中止などのリスクもあります。

修繕部位ごとの耐用年数は次のとおりです。
修繕部位修繕周期の目安
電動機、駆動軸、チェーン、スブロケット10年
電気部品8年
制御基板、昇降インバーター5年
操作盤基盤4年
柱・梁・パレットの塗装5年
それぞれの耐用年数を把握して、故障がないようにメンテナンスしていきましょう。

自走式立体駐車場の耐用年数は15年~38年

自走式立体駐車場の耐用年数は、建物か構築物がで大きく違います。露店式立体駐車場は、各階に壁がなく、金属製のプレハブで構築物に分類されます。

構造特長耐用年数
プレハブ(金属造)壁に覆われていない
露店式(構築物)
15年
鉄骨造壁で囲まれている
建物
31年
鉄筋コンクリート造壁で囲まれている
建物
38年
「建物」であれば31年、「構築物」であれば15年です。自走式立体駐車場がどちらに分類されるかは行政によって異なります。一般的な認定駐車場は構築物に含まれ、 耐用年数は15年とされていますが、1層2段は「構築物」、2層3段以上は「建物」と判断される場合が多いようです。詳しくは所轄の行政にお問い合わせください。

立体駐車場の設備の耐用年数

立体駐車場全体の耐用年数を気にすることはもちろんですが、設備の耐用年数も重要です。代表的な設備の耐用年数は次のとおりです。

付属設備耐用年数
電気照明設備15年
エレベーター17年
災害報知設備8年
機械式駐車設備15年
アスファルト舗装10年
コンクリート舗装15年
建設から10年前後で、大規模なメンテナンスが必要になってくることを認識しておきましょう。

参照:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

耐用年数を伸ばすためのメンテナンスポイント

耐用年数を伸ばすためのメンテナンスポイント

定期的にメンテナンスと保全をおこなうことは、耐用年数を伸ばすのに有効です。

・機械式立体駐車場
・自走式立体駐車場

種類ごとにメンテナンスポイントをみていきましょう。

機械式立体駐車場

機械式立体駐車場は、メンテナンスの負担が高いといわれています。その理由は、機械式立体駐車場には点検すべき項目がたくさんあり、頻度も毎月~年に4回と多いためです。
国土交通省の「機械式駐車場の適切な維持管理に関する指針」にて、点検対象となる設備・部品・点検周期の目安などがリスト化されているので、確認してみましょう。 メンテナンスには費用がかかりますが、大きな事故や修理を避ける効果があり、耐用年数にも影響するかもしれません。

参照:国土交通省|機械式駐車場の適切な維持管理に関する指針

自走式立体駐車場

自走式立体駐車場には、機械式駐車場のような頻度でのメンテナンス義務はありません。ただし、使用されている設備などの定期的点検は必要です。代表的な点検項目には次のようなものがあります。

スロープ部の床板補修多くの車が行き交うので経年劣化しやすい
R階床板補修太陽光や雨風で劣化しやすい
ラインのはがれ、車止めの破損
エレベーター保守点検
消火設備消防法により6カ月に1回の点検

とくに床版が劣化する前に補修を行えば、状態の良いまま使い続けられるでしょう。

耐用年数を超えた機械式立体駐車場の建て替えサイン

耐用年数を超えた機械式立体駐車場の建て替えサイン

機械式立体駐車場の耐用年数は15年とされていますが、さまざまな部品の故障や金属の劣化により、建て替え時期のサインが分かります。ここでは、代表的な建て替えサインを7つ紹介します。

・点検業者から更新工事の見積書が届いた
・空き区画が3割以上ある
・利用者の高齢化が進んでいる
・パレットを固定して使用している
・パレットや鉄骨に腐食がある
・トラブルの対応が増加した
・設置から20年以上経過している

順にみていきましょう。

点検業者から更新工事の見積書が届いた

設置後15年を目安に、メーカーや点検業者から更新の見積書が届きます。15年は税制上の耐用年数でもあるため、リニューアルや大規模修繕工事の検討が必要です。
マンションなどでは修繕積立金として毎月積み立てておく必要があります。国土交通省の「 マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によれば、修繕積立金の月額目安は次のとおりです。

マンションの修繕積立金に関するガイドライン
表引用:国土交通省|マンションの修繕積立金に関するガイドライン

規模が大きくなれば、必要な費用額も大きくなるため、準備をしておきましょう。

空き区画が3割以上ある

建設当初は満室だった駐車場も、年数が経つと空室が増えてきます。 空き区間が増えると、機械式立体駐車場は維持管理コストが高いため、収益を上げにくくなります。 維持管理が難しくなる目安は、空き区間が3割以上となったころです。その場合、

・リニューアルする
・自走式立体駐車場に建て替える

などの対策を考えましょう。

利用者の高齢化が進んでいる

マンションの設備の場合、住民の高齢化が進んでいると、車を手放す人も増えてきます。住民が入れ替わらない限り、将来的に契約が増える可能性は低いといえるでしょう。 そのままでは収支が悪化し、維持管理が難しくなるため、取り壊して平置き駐車場にするか、自走式立体駐車場に建て替えるかを検討しましょう。

パレットを固定して使用している

空き区間が増えてくると、使用していないパレットを溶接などで固定しているケースがあります。このような処置をしたとしても、パレットやチェーンの腐食を防ぐことはできません。逆にパレットの寿命を短くしてしまい、 その後の平均耐用年数は2~3年と短くなることもあります。重大事故につながる可能性もあるため、早めに建て替えるようにしましょう。

パレットや鉄骨に腐食がある

雨などで金属部分が腐食することはありますが、そのままにしておくと腐食が進み、部品落下の恐れがあります。 重大事故が発生してからでは遅いので、大規模リニューアルか建て替えを検討しましょう。

トラブルの対応が増加した

部品や装置の老朽化によって、故障が増加したりトラブル発生の頻度が高まったりしたら建て替え時です。重大事故が発生する前に大規模な修繕もしくは建て替えを検討しましょう。

設置から15年以上経過している

機械式立体駐車場の耐用年数は15年。老朽化による修繕費用は年々増加傾向です。 また、修理に必要な部品が廃盤になる可能性も増えてきます。旧式の機械式立体駐車場では、安全装置がないケースもあるため、事故を防ぐためにも早めに建て替えましょう。

機械式立体駐車場から自走式立体駐車場に建て替えが増えている理由

機械式立体駐車場から自走式立体駐車場に建て替えが増えている理由

耐用年数を過ぎ、建て替える必要がある機械式立体駐車場を自走式立体駐車場に建て替えるケースが増えています。その理由を次のとおりまとめました。

・建て替え費用の負担が少ない
・メンテナンスの負担が少ない
・利用者の高齢化により利用者が減った
・多様な車種に対応している

順にみていきましょう。

建て替え費用の負担が少ない

機械式立体駐車場のリニューアル費用は、1パレット当たり平均約150万円といわれています。 機械式立体駐車場の修繕費やメンテナンス維持費が高いため、古いまま修繕を重ねるより、思い切ってリニューアルしたほうがトータルの負担が少なくなるでしょう。
自走式立体駐車場の建て替え費用は、機械式立体駐車場とそれほど変わりません。 ただ、その後の維持管理費が安いことやメンテナンスしやすいことで、自走式立体駐車場への建て替えにメリットがあると考える人は多いようです。

メンテナンスの負担が少ない

自走式立体駐車場のメンテナンス負担は、それほど多くはありません。一方、機械式立体駐車場の維持管理費は1台当たり年間約10万円前後。 内訳としては、毎月~年に4回の定期点検に加え、修理・修繕・消耗品のための費用などです。一方、自走式立体駐車場の場合は、点検の頻度や消耗品などの交換も少なくすみます。

利用者の高齢化により利用者が減った

マンションの住民が高齢化してくると、車を手放す人も増えてきます。駐車場の契約者が減ると、維持管理コストの収支が悪化し、経営自体が困難になってきます。 そういった場合に、高齢者でも乗り降りがしやすい自走式立体駐車場に建て替えるなど、利用者のニーズに合わせておく必要があります。

多様な車種に対応している

自走式立体駐車場のメリットは、多種多様な車種に対応できることです。一方、機械式立体駐車場は、利用できる車種に制限が多いのがデメリット。一般的なサイズ制限は次のとおりです。

全長5m以下×全幅1.8m以下×全高1.55m以下

スライドドアタイプの軽自動車やワンボックスであれば、車高が1.8m近くあるものも少なくありません。 人気のSUVやハイルーフ車は、機械式立体駐車場では利用できないケースも多いため、利用者に受け入れらやすい自走式立体駐車場へ建て替えるといった流れのようです。

機械式立体駐車場については、こちらの記事にまとめています。参考にしてください。
⇒機械式駐車場とは?メリット・デメリット|設置の基本と注意点を解説!

耐用年数が長い自走式立体駐車場のなかでもstageWがおすすめ

耐用年数が長い自走式立体駐車場のなかでもstageWがおすすめ

機械式立体駐車場の耐用年数に比べ、自走式立体駐車場の耐用年数は30年以上もあるため、長期目線での経営が可能です。 メンテナンスのコストも機械式と比べると低いため、自走式立体駐車場に建て替えるケースも増えてきています。

stageWは、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーとして、長年の実績があります。そのため、多様なお客様のニーズにあわせた提案も可能です。 自走式立体駐車場の建設を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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