機械式立体駐車場のなかでもエレベーター式駐車場は、都市部などの土地面積を広く取れない場所に適しています。
しかし、装置自体が大きく、機械制御されているため、どこにでも設置できるといったものではありません。
この記事では、エレベーター式立体駐車場の特徴について解説します。さらに、エレベーター駐車場の設置が向いているケース、不向きなケースについても紹介します。
これから立体駐車場の建設を検討している事業主様はぜひ参考にしてみてください。
エレベーター式駐車場の特徴
エレベーター式立体駐車場の特徴を次の4つにまとめました。
● エレベーター式駐車場は機械式立体駐車場の一種
● 機械式立体駐車場の種類
● エレベーター式駐車場の種類
● エレベーター式駐車場のおもな特徴
それぞれ詳しく見ていきましょう。
エレベーター式駐車場は機械式立体駐車場の一種
画像引用:国土交通省|機械式立体駐車場の安全対策に係る経緯・現状エレベーター式駐車場は機械式立体駐車場の一つで、タワーパーキングとも呼ばれています。車を停める駐車室と、車を駐車室に運ぶ自動昇降装置を組み合わせており、 垂直方向に車を収容できます。国土交通省のデータによると、機械式立体駐車場全体の12%を占めており、約1割といったところです(上記グラフ参照)。 狭い土地でも効率よく駐車できるため、都市部で多く設置されています。
機械式立体駐車場の種類
さまざまな種類がある機械式立体駐車場ですが、それぞれ簡単に解説すると以下のとおりです。
種類 | 特徴 |
---|---|
二段方式 | 上下に駐車、ピット式は地下に駐車スペースを作ったもの |
多段方式 | 1台の空きスペースを利用してパズルのようにパレットを動かす |
垂直循環方式 | 車を載せたパレットを垂直方向に循環させる |
エレベーター方式 | 車をエレベーターで上下に動かし、左右の車室に格納する |
機械式立体駐車場の中で最も利用されているのが二段式や多段式です。例えばマンションの駐車場として見る機会が多いでしょう。
大規模装置の垂直循環方式やエレベーター式は、都市部のビル内に設置されることが多く、垂直なスペースが必要になるため設置できる建物や土地は限られています。
エレベーター式駐車場のおもな特徴
「エレベーター方式」は、自動車を格納する駐車室と自動車昇降装置を組み合わせて、立体的に駐車する方式です。
駐車室を昇降装置の前後方向に設ける縦式、左右方向に設ける横式、放射状に設ける旋回式の3タイプがあります。
昇降装置から駐車室への移動は、搬送装置によります。自動搬送する装置の種類は下記のとおりです。
● スライドフォーク
● くし型フォーク
● コンベア
● ドーリー
これらの装置によって、車体が格納される仕組みです。
エレベーター式駐車場のメリット
エレベーター式の駐車場のメリットは次の3つです。
● スペース効率がよい
● 駐車する手間が減る
● 盗難やトラブル防止効果がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
スペース効率がよい
垂直方向に駐車するため、限られた土地でも多くの駐車スペースを確保できます。とくに都市部のオフィス街などで利用されており、車室に頭から駐車するだけで、自動で収容されます。 入庫に時間や手間もかかりません。スロープや車路が必要なく、効率よく駐車台数を確保できます。
駐車する手間が減る
指定のエリアに停車するだけで入庫されるので、駐車スペースを探す手間がかかりません。基本的な利用方法としては、バックまたは正面から車室へ入庫します。 ドアミラーやアンテナを格納し、車を降りて、機械を操作します。車の収容は機械で自動化されているため、運転手の負担はほとんどありません。
盗難やトラブル防止効果がある
タワーの中に格納した車のもとには、通常だと近寄れないため、外部からの盗難の心配がありません。 また、一度収容してしまえば、ほかの利用者によって車体が傷つけられる可能性もほぼないでしょう。 利用者同士のトラブルがほとんどないため、管理しやすいといったメリットもあります。
エレベーター式駐車場のデメリット
エレベーター式立体駐車場のデメリットは次の2つです。
● 出庫に時間がかかる
● 使い方を説明する必要がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
出庫に時間がかかる
出庫のための所要時間が決まっているため、どれほど急いでいても出庫時間を早めることはできません。 自分一人しか利用客がいない場合は数分ですみますが、利用者が集中している場合は待ち時間が長くなってしまいます。 その際、利用客が集中する時間帯を避けるなどの工夫が必要です。時間の制約がある場合は、スムーズに出庫できない場合を想定すると利用者にとってデメリットだと言えるでしょう。
使い方を説明する必要がある
エレベーター式駐車場に初めて駐車する人や使い慣れていない人に向けて、使用方法の説明が必要です。 理解できないまま機械を動かすと、トラブルや大きな事故につながる可能性があり危険なためです。 また、不特定多数の人が利用する場合は、常駐の管理人が必要なため人件費がかかります。
エレベーター式駐車場がおすすめのケース
エレベーター式立体駐車場の設置に適した代表例を3つ紹介します。それが次の3つです。
● カーディーラーなどの車の保管場所
● 高級車向け月極駐車場
● マンション内駐車場
それぞれ詳しく見ていきましょう。
カーディーラーなどの車の保管場所
カーディーラーなど大量の車を一時的に保管する場合はエレベーター式立体駐車場が適しています。 ほかにも、自動車工場やレンタカー店なども、同じくたくさんの車両を一時保管する必要があるためエレベーター式立体駐車場が便利でしょう。 カーディーラーやレンタカー屋では、出庫を焦る必要がない点もマッチしています。
高級車向け月極駐車場
高級車向け月極駐車場の場合は、契約者しか使わないため不審な人物を排除できます。 タワーの中に収容されている状態では、盗難や傷つけるなどのトラブルにも悩まされる必要がありません。 このような安心感を提供できるため、多少駐車代が高くなったとしても利用者のニーズを満たせます。
マンション内駐車場
基本的にマンションの住人のみが利用するため、部外者による盗難やトラブルを防げます。 都市部でマンションの敷地面積が狭い場合にも有効です。1階部分は駐輪場や来客用駐車場として使用すると、利便性も上がります。
エレベーター式駐車場が向かないケース
エレベーター式立体駐車場が利用に向かない代表的なケースは、次の2つです。
● 多数の駐車台数確保が必要な場合
● 入出庫をスムーズに行いたい場合
それぞれ詳しく見ていきましょう。
多数の駐車台数確保が必要な場合
垂直方向に駐車していくエレベーター式立体駐車場は、利用できる高さ(スペース)で駐車可能台数が決まってしまいます。 例えば5階建て(高さ20m)であれば、20台程度が目安です。平面駐車場や自走式立体駐車場のように何百台といった駐車スペースは確保できないため、 大規模な駐車場への設置は向いていません。
入出庫をスムーズに行いたい場合
入出庫は機械が自動で行うため、入出庫に一定の時間がかかります。 そのため、混雑する時間帯には利便性が大きく下がってしまうでしょう。スムーズで気軽な出し入れを求める場合は、自走式立体駐車場がおすすめです。
自走式立体駐車場なら国土交通大臣認定のstageW
エレベーター式立体駐車場は、都市部のビル群で活躍する機械式立体駐車場です。限られたスペースを有効活用するのに適しています。
建設できるメーカーも大型機械建設のノウハウがある企業に限定されており、メンテナンスも含めて依頼する必要があるでしょう。
一方、数十台から数百台といった大規模な駐車場が必要な場合は、自走式立体駐車場が適しています。
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