マンションの駐車場を建設する際に、どのような形態の駐車場を設置するかは重要です。
限られたスペース内で、効率的に駐車台数を確保したいと考える事業主の方も多いことでしょう。
マンションの駐車場では、地下駐車場が選択肢のひとつとして有力です。
この記事では、マンション地下駐車場について気になっている事業主様に向け、マンションに設置できる駐車場の種類やメリット・デメリットを解説します。
マンション建設を予定している事業主の方は、ぜひ参考にしてみてください。
マンションの駐車場の種類
マンションに設置される駐車場の種類は、おもに次の3つです。
● 平面式駐車場
● 機械式立体駐車場
● 自走式立体駐車場(地下駐車場)
地下駐車場は、自走式立体駐車場の一種です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
平面式駐車場
平面式駐車場は、アスファルト舗装とラインを引くといったシンプルな施工で済む場合が多いのが特徴です。
事業者にとって、一番コストがかからず設置できるため、コスト面でのメリットが大きいといえます。
利用者にとっても、気軽に駐車できるため、駐車の手間がかかりません。一方で、雨風や紫外線にさらされ、車体が汚れやすいといったデメリットもあります。
また、十分な台数を確保するために広い土地が必要です。そのため都市部に設置する場合は台数の確保が難しいといったデメリットがあります。
機械式立体駐車場
機械式駐車場は、限られたスペースで垂直方向に複数台格納できるため、土地を効率良く利用できます。とくに都市部のマンションやオフィスビルなどで利用されています。
デメリットとしては、入出庫がひとりずつ順番に行う必要があり、混雑時には待ち時間が発生する点です。大きな機械を動かすため、事故になった場合に車体や人体に大きな被害が生じる可能性もあります。
さらに、他の駐車場と比べてメンテナンスコストが高い点も設置前に考慮しておく必要があるでしょう。
自走式立体駐車場
自走式立体駐車場は、駐車スペースが階層になっているため、平面駐車場よりも収容効率が良いのが特徴です。 機械を使用している部分が少ないため、メンテナンスに手間もかかりません。ただし、建設には一定のコストがかかります。
地下駐車場
地下駐車場は、自走式駐車場の一種です。建物(マンション)に使用している敷地部分を有効活用できるので、土地を効率よく利用できます。 ただし、建物の面積・サイズに併せて設置するため、駐車台数は限られます。 また、イニシャルコストが高いこととマンションの土台部分にあたるため、マンション建設の計画段階から予定しておく必要があります。
地下駐車場のメリット
自走式立体駐車場の一種である地下駐車場のメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。
● 建物に直接アクセスできる
● 車両を外部刺激から守れる
● 地震に強い
思いがけないメリットがあるかもしれません。
建物に直接アクセスできる
地下駐車場に駐車した場合、そのままエレベーターに乗り、各階へ直接アクセスできます。 雨天時でも濡れずに済むうえ、建物に直通アクセスできるため歩く距離もわずかです。このような利便性の良さが、利用者に選ばれる理由のひとつです。
車両を守れる
コンクリートの壁や天井に守られているため、雨風や紫外線から車両を守れます。関係者のみが進入できるスペースのため、盗難の危険も少なく安心です。 もちろん防犯対策として、防犯カメラなどを設置しておくと、より利用者も安心して利用できるでしょう。
地震に強い
地下構造物は地盤の震動を超えて大きく震動しません。そのため地下駐車場は、比較的地震に強いといえます。地下構造物は外周を周辺地盤に囲まれているため、構造物が震動した際に構造物から周辺地盤に逃げ出すエネルギー(逸散減衰)が非常に大きいためです。
周辺地盤が安定している限りは、地下構造物の耐震性は地上構造物に比較して高いといえます。
引用:東京土木施行管理技師会|地下構造物の耐震性
地下駐車場のデメリット
一見メリットが多い地下駐車場ですが、デメリットも同時に把握しておきましょう。
● 浸水の被害に遭いやすい
● 十分な数を確保できない
● コストがかかる
デメリットを知ったうえでメリットと比較してみましょう。
浸水の被害に遭いやすい
地上よりも低い位置にあり、入口が開いているため、悪天候などによる大雨の際には水が流れ込んできます。
そのため浸水被害に遭いやすく、場合によっては車体への被害が発生する可能性も少なくありません。そのため、浸水時のための対策を用意しておく必要があります。
● 防水板を設置する
● 開口部の位置を高くする
● 排水ポンプを設置する
● 土のうを用意する
以上の対策に加え、近隣の商業施設や公共施設などと提携して、台風時に非難させてもらうなど備えが必要です。
十分な数を確保できない
ほとんどの場合、地下駐車場だけでは全住民に対して、十分な駐車台数を供給できません。 ただ、近年ではマイカーを持たない家庭も増えており、多くの駐車スペースを確保しすぎるのもコスト面でのリスクが伴います。 そのため需要として必要な数を想定し、機械式立体駐車場や地上の自走式立体駐車場を併用しながら駐車スペースを確保するのがおすすめです。
コストがかかる
地下駐車場は、地上に自走式駐車場を建設するよりもコストがかかります。 その理由は、地面下に建設するため、土圧や上層階の建物の重さに耐えられる構造にする必要があるためです。 そのため、もし設置をする場合には建設前の資金計画から検討する必要があるでしょう。
地下駐車場の分譲と賃貸の違い
マンションの地下駐車場は分譲と賃貸の2種類があります。
● 分譲駐車場の場合
● 賃貸駐車場の場合
それぞれの特徴について見ていきましょう。
分譲駐車場の場合
分譲駐車場を利用する場合、利用者は部屋とは別に駐車場区画を購入する必要があります。 部屋を購入したからと言って、駐車場が附帯しているとは限らないため、契約の際には十分確認しましょう。 購入すると、購入代金のほかに登記費用や固定資産税の負担に加え、マンション管理費や修繕積立金などが必要です。
賃貸駐車場の場合
賃貸の場合、駐車場は共用部分です。個人の所有ではなくマンションの所有物のため、駐車場はマンションの管理組合が管理します。 利用者は、契約に基づいて使用し、使用料を管理組合へ支払うことで利用できるのです。 使用料は全体の管理に充てられているため、空き駐車場が増えれば組合の負担が増え、その結果、利用料を値上せざるを得ない場合もあります。
地下駐車場以外の選択肢とメリット
地下駐車場は設置メリットが十分ありますが、ほかの選択肢について見ていきましょう。もし地下駐車場を設置しなかった場合、以下の2種類が設置の候補となります。
● 機械式立体駐車場
● 自走式立体駐車場
それぞれのメリットおよびデメリットを知り、自社にとって最適な駐車場を選択しましょう。
機械式立体駐車場
機械式立体駐車場は、狭い土地でも多くの駐車台数を確保できるため、土地利用効率がよいのが最大のメリットです。デメリットは、メンテナンスの手間とコストがかかる点です。
大規模な機械を使用しているため、毎月のメンテナンスが欠かせません。また使用している部品数も多いため部品交換などの手間がかかります。
マンションに機械式立体駐車場を設置するメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:マンションに機械式立体駐車場を設置するメリット・デメリット|建て替え時の注意も解説
自走式立体駐車場
地下駐車場も自走式立体駐車場の一種です。そもそも自走式立体駐車場とは運転者自身で運転・駐車するタイプの駐車場です。建設コストは、地下よりも地上に作るほうが安く済みます。
一定の土地と費用が必要ですが、メンテナンスの手間やコストは機械式立体駐車場に比べて少なく済みます。
ただし同じ自立式立体駐車場でも地上と地下駐車場を比較した際、地上に設置する自立式立体駐車場のほうが多くのメリットがあります。それが下記のとおりです。
スペース効率
立体駐車場は垂直方向に駐車スペースを重ねて配置するため、同じ敷地面積でより多くの駐車スペースを提供できます。 これに対して、地下駐車場は水平方向にスペースを広げるのが一般的。スペース有効活用の点で地上の自走式立体駐車場の方が効率的です。
建設コスト
地上の自走式立体駐車場の建設コストは、地下駐車場よりも低めといわれています。 その理由は、地下構造の掘削や補強が必要な地下駐車場に比べ、立体駐車場の構造は一般的にシンプルなためです。
建設期間
一般的に、地上の自走式立体駐車場のほうが地下駐車場よりも建設期間が短めです。 モジュラーな構造である点やプレキャストコンクリートの使用により、比較的迅速に建設が進められます。
可視性と通気性
地上の自走式立体駐車場は通常、開放的な構造を持っており、天井や側面が開いているため通気性があります。 一方で、地下駐車場は地下に位置しているため換気や採光が制限されます。
環境への影響
地上の自走式立体駐車場の建設は地下駐車場に比べて、地下水や環境に対する影響が少ないといえます。
地下駐車場は、掘削による地下水の影響や環境への潜在的なリスクが考えられます。
自走式立体駐車場については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:自走式立体駐車場とは?種類・メリット・規制について
関連記事:マンションでよく使われる立体駐車場の種類や仕組み、注意点
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マンションの地下駐車場は、便利な反面、コストが一番の問題です。どのタイプの駐車場が適切かについては、資金計画も合わせてシミュレーションが必要です。
地下駐車場以外に、機械式立体駐車場や地上自走式立体駐車場も合わせて検討してみましょう。
収容台数確保とメンテナンスの負荷のバランスを考えると自走式立体駐車場はおすすめです。StageWであれば、国土交通大臣認定のため工期やコスト面でも優位です。
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