マンションの駐車場トラブル事例5選と対策方法

マンションを経営・管理している方にとって、利用者のトラブル相談をゼロにするのは困難です。
しかしトラブルを予測し、対策を講じることで、深刻な状況を回避できるでしょう。
この記事では、マンション管理会社や経営会社でマンションの駐車場トラブルに悩んでいる方に向け、マンション駐車場トラブル例と対策方法について解説します。
よくある質問では、管理責任の義務や所在にも言及しているので、参考にしてください。

マンションの駐車場トラブル5選

マンションの駐車場トラブル5選

マンションの駐車場に関するおもなトラブル事例を5つ紹介します。

● 迷惑駐車
● 車上荒らし・盗難
● 駐車場内での当て逃げ・事故
● 駐車場不足
● 駐車場余り
● 番外編:機械式立体駐車場のトラブル

駐車場全体的に当てはまるトラブルのほか、番外編として、機械式立体駐車場に特化したトラブルについても解説します。

迷惑駐車

国土交通省が平成30年度に行った「マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によれば、 もっとも多いトラブルが「居住者間のマナー(55.9%)」です。その具体的内容として、生活音(38.0%)に続いて違法駐車・違法駐輪が(28.1%)となっています。

平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
画像引用:国土交通省|平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状

迷惑駐車が起きやすい場所は次のとおりです

● マンションの専用スペース
● マンション駐車場の空きスペース
● 敷地内の駐車場ではない空きスペース
● 敷地周辺の路上

駐車場契約をしていないマンション住民や住民の知り合いが、無断で専用スペースや空きスペースに駐車するケースが多いようです。

迷惑駐車の影響として、次のような弊害が起こる場合があります。

● 他の車の出し入れの妨げになる
● 消防車や救急車など緊急車両の妨げになる
● 管理が行き届いていないマンションだと思われる

駐車した本人が迷惑をかけているという自覚がなくても、深刻な影響となるケースもあります。「迷惑駐車」と表現すると軽い印象に受け取られますが、私有地における無断駐車は、民法第709条の「不法行為」にあたります。 もし迷惑駐車をしている車両が原因で事故が起こった場合は、駐車している者が賠償責任を負う可能性もあるでしょう。

車上荒らし・盗難

平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
画像引用:一般社団法人日本損害保険協会|第22回自動車盗難事故実態調査結果

一般社団法人日本損害保険協会の「第22回自動車盗難事故実態調査結果」によれば、盗難発生場所の1位は屋外の契約駐車場、2位が屋外の自宅駐車場となっています。

犯罪集団と思われる窃盗事件などは、高級車や特定の車種を狙う傾向があります。また、車上荒らしの場合は、バッグ・金銭・ETCカード、タイヤ、ホイール、ゴルフバッグ、カーナビなどが実際の被害品として挙げられています。

駐車場内での当て逃げ・事故

当て逃げや接触事故は、駐車場で起こる頻度が高いトラブルです。例えば以下のようなケースが起こりやすいでしょう。

● マンション内の駐車場に停めていたのに当て逃げされた
● 乗降時に隣の車にドアをぶつけてボディを傷つけた

加害者本人から管理会社に相談した場合は、最初だけ管理会社が間に入り、相手の方に連絡が取れたあとは当人同士のやり取りに任せる流れです。 また、加害者が特定できない場合もあり、その場合は警察に報告する必要があります。警察に事故証明書を発行してもらい、保険会社へと連絡を取るなどの対応を本人にしてもらいましょう。 相手が特定できれば、損害賠償などの請求が可能です。

駐車場不足

マンションの駐車場附置義務台数は自治体によって決められていますが、1戸につき1台(もしくは2台)までと制限を設けているマンションがほとんどです。 入居当初は、1台で事足りていた家庭も、子どもが成人して車を所有するようになるなど、制限より保有台数が増えることがあります。 そうなると駐車場が足りなくなるという可能性も生じるでしょう。
駐車場不足が生じた場合には、近隣の駐車場を利用してもらうなど代替案を用意しておきましょう。 また、敷地内に新たに立体駐車場を作るといった対応も必要かもしれません。

駐車場余り

マンションの築年数が長くなると、住民の高齢化や若者の車離れにより、駐車場の空きスペースが目立つケースも増えています。 利用者が減ると、利用者やマンション住民で分担負担していた管理費を値上せざるを得なくなるケースも出てくるでしょう。
こういった場合に増えているのが、機械式立体駐車場のリニューアル時期に合わせて、平面式駐車場に整地したり自走式立体駐車場に建て替えたりする方法です。 機械式立体駐車場の維持費が高いのであれば、別プランを考える必要があるでしょう。

番外編:機械式駐車場のトラブル

マンションに利用されるケースが多い機械式立体駐車場ですが、機械特有のトラブルがあります。それが次のとおりです。

● センサーが反応して機械が止まってしまい操作ができない
● 規格サイズが合わず駐車できない
● 停電で機械が動かない
● ドアミラーのたたみ忘れで車体が傷ついた

駐車場パレットに対して規格外の車だと利用できないため、来客の車や車検中の代車などが駐車できないケースが生じるとかなり不便です。

マンションに機械式立体駐車場を設置するメリットとデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
関連記事:マンションに機械式立体駐車場を設置するメリット・デメリット|建て替え時の注意も解説

マンションの駐車場トラブルへの対策方法

マンションの駐車場トラブルへの対策方法

マンションの駐車場トラブルを避けるための対処方法を紹介します。

● 張り紙や看板で警告する
● 住民への注意喚起
● 契約の整備
● 駐車場の建て替え

事前に対策を講じておけば、大きなトラブルに発展する前に防げるかもしれません。ぜひ参考にしてください。

防犯カメラやゲートを設置する

防犯カメラの設置は、盗難や迷惑駐車などのトラブル解決の糸口になり、トラブル防止にも役立ちます。また「監視カメラ作動中」などの看板を設置し、利用者に意識づけをおこなうのもおすすめです。
加えて、ロボットゲートを設置することで部外者や不審者の侵入を防げます。さらに駐車禁止ゾーンにはカラーコーンやバリカーを設置し、物理的に駐車できない環境を作るのもおすすめです。

張り紙や看板で警告する

迷惑駐車されやすい場所に「契約者以外の駐車お断り」などの看板を設置して意識してもらうのも効果的です。 迷惑駐車の車両を発見した時は「あなたの車両は当マンションの管理規約に反しています。直ちに車両の移動をお願いします」などの警告文をワイパーにはさんで注意を促しましょう。

それでも迷惑駐車をやめない場合は、次の手順で車両の持ち主に警告書を郵送する方法もあります。

  1. 1.対象の車両のナンバープレートと駐車状況がわかる写真を撮る
  2. 2.日時を記録する
  3. 3.陸運支局・自動車検査登録事務所に問い合わせ、所有者情報を開示してもらう
  4. 4.配達証明をつけた郵便で改善申し入れの文章を送付する

軽自動車の場合は、軽自動車検査協会に問い合わせましょう。迷惑駐車をした本人がマンション部外者であれば「土地の不法占拠」として内容証明郵便などで警告する方法もあります。 もし被害を受けた場合は、それを証拠に損害賠償請求できます。

住民への注意喚起

住民に対し、迷惑駐車防止の注意喚起を定期的に行いましょう。マンション理事会や管理会社が課題や問題点を共有し、同じ目的に向かって対策を講じることが重要です。住民への注意喚起は、迷惑駐車の防止のみならず、盗難防止にも有効です。 車内に貴重品を置いたままにしない、不審な人物を見つけたら管理会社へ連絡するなど繰り返し注意喚起していきましょう。住民の意識が高いほどトラブルを防ぎやすくなります。

外部貸出の整備

空きスペースが増えた場合は、外部の人に貸し出す方法もあります。空きスペースを有効活用せずに利用者が減少していくと、結果的に管理費を値上げせざるを得ないためです。 将来必要となる修繕積立金が不足する可能性もあるため、空きスペースの収益化を考える必要があります。
アイデアとしては、コインパーキングとして貸し出す、EV充電設備を設置する、シェアリングサービスを導入するなどです。マンション住民以外の人に貸すのであれば、契約についてきちんと整えておきましょう。 ただし、居住者以外への貸出で得た費用はマンションの収入となり、納税の対象となるので注意が必要です。

駐車場の建て替え

機械式立体駐車場の法定耐用年数は15年です。ただし、定期的にメンテナンスすれば、20年くらいは利用可能といわれています。 一方、古い機械式駐車場モデルの場合は駐車可能な車両サイズが限定されたり、車高が高い車は駐車できなかったりします。
利用者数が減少している場合、維持費の観点から別タイプの駐車場への建替えを検討してもよいかもしれません。近年では、管理やコストパフォーマンスの観点から、自走式立体駐車場に建て替えを検討するケースも増えています。

マンションで利用されている自走式立体駐車場については合わせて下記記事をご確認ください。
マンションでよく使われる立体駐車場の種類や仕組み、注意点

マンションの駐車場トラブルでよくある質問

マンションの駐車場トラブルでよくある質問

マンションの駐車場トラブルに関して、よくある質問についてまとめました。

● マンションの駐車場トラブルの責任は誰?
● マンションの駐車場の貸主の義務とは?
● マンションの駐車場の草取りは誰が行う?

それぞれ見ていきましょう。

マンションの駐車場トラブルの責任は誰?

マンションの外壁や建物の一部が落下するなどして車体に傷がついた場合、基本的にはマンションの管理組合が賠償します。対応としては、共用部分の施設賠償責任保険で補償するのが一般的です。 組合によって加入の有無や契約している保険が異なるため、利用できる保険については管理組合に確認しましょう。
一方、マンション住人同士のトラブルなどは基本的に管理組合の責任ではありません。当人同士の話し合いによって解決する旨を駐車場の利用規定に書いておきましょう。

マンションの駐車場の貸主の義務とは?

貸主の義務は「借主に問題なく駐車スペースを提供すること」です。そのため、傷や盗難の責任までは負っていません。 基本的に駐車場でのもめごとは貸主の責任ではないためです。トラブルが生じた際は、管理事務所や貸主の責任ではない旨を契約書に書いておき、借主にも説明するようにしましょう。

マンションの駐車場の草取りは誰が行う?

マンション駐車場の草取りは土地の所有者もしくは管理会社が責任を負っています。土地の管理は土地の所有者が行うものといった考えが前提となっているためです。 分譲マンションで駐車場も区分所有している場合は、所有者に草取りの責任があります。
駐車場に雑草が多いと、車を傷つけたり、荒んだ雰囲気になったりするため、定期的に業者に依頼する、雑草が生えないようにコンクリートで舗装するなどの対応が必要です。

マンションの駐車場リニューアルに
自走式立体駐車場をご検討ください

マンションの駐車場リニューアルに自走式立体駐車場をご検討ください

マンションの駐車場トラブルは、対策を講じれば未然に防げるケースも少なくありません。ただし年数とともに、保守の手間や維持費の負担が大きくなってきます。 最近では、機械式立体駐車場のリニューアル時に自走式立体駐車場へ建て替えるケースも増えているようです。

その際には、自走式立体駐車場メーカーである綿半ソリューションズ・stageWへお任せください。 立体駐車場メーカーとして長年培ったノウハウをもとに、柔軟な発想でお客様のニーズにあったご提案をいたします。自走式立体駐車場の建設を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。


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