立体駐車場の経営効率は、いかに稼働率を上げるかという点が重要です。しかし、立地や周辺競合によって大きく影響を受けることもあります。
近くに競合の立体駐車場ができ、稼働率が低くなるというケースはよく起こります。
そこで、この記事では、稼働率が下がってきたときの対策としてアイデア6選を解説します。
自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の2種類について、収支改善と社会貢献の観点から紹介するので参考にしてください。
機械式立体駐車場に関する課題

機械式立体駐車場が抱えている課題として、おもに以下の2点があります。
● 空きスペースが多いと収支が悪化する
● ニーズが低下する可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
空きスペースが多いと収支が悪化する
機械式立体駐車場は駐車スペース1台あたりの維持管理費が他の駐車場と比較して高いため、稼働率が一定より下がると赤字になる可能性があります。 とくに古い機械式駐車場の場合、維持管理費の収入が増えず、老朽化により修繕の費用が増えるケースが起こる場合があります。
ニーズが低下する可能性がある
機械式立体駐車場はサイズの制約があるため駐車できる車種が限られています。古いタイプの機械式立体駐車場の場合、現在の一般的な車種の車高やタイヤ幅が対応していないケースも少なくありません。 さらに、年齢とともに自家用車を手放したり、公共交通施設の利便性向上により最初から車を持たなかったりなど、自家用車を保有する動機が弱まっていることが挙げられます。

国土交通省の調査によると、自動車保有台数は平成15年ごろから頭打ちとなっています。それに対して駐車場台数は増え続けており、平成20年ごろから駐車場台数に対して保有台数が下回るようになりました。
このデータからも分かるように、稼働できない駐車場が増える可能性が高まっています。
機械式立体駐車場については、こちらの記事にて詳しく解説しています。
関連記事:機械式駐車場とは?メリット・デメリット|設置の基本と注意点を解説!
機械式立体駐車場の有効活用法3選

機械式立体駐車場の有効方法を3つ紹介します。
● 外部の人に貸し出す
● トランクルームにする
● 駐輪場にする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
外部の人に貸し出す
マンションなどの場合、住人が車を手放したり引っ越したりなどの理由から利用者数が減る可能性があります。
また、都市部や高齢者が多いエリアでは、自家用車の保有率が低いうえ、自動車を保有する新しい住民が入ってこなければ、駐車場の空きスペースは埋まりません。そこで、マンション住民以外の人に貸し出すなどの対策を試してみましょう。
その際は、以下のような点に注意しましょう。
● 管理規約を変更・確認する
● 区分所有者以外への駐車場料金を決める
● セキュリティ対策する
住民以外の人に貸し出すためには、管理組合の総会で4分の3以上の決議が必要です。住民の理解を得たうえで、駐車料金も検討しましょう。
また住民以外の人が出入りするため、治安が悪化しないようセキュリティ対策も必要です。タワーパーキングの場合は、近隣会社へ営業に行き、月極の新規契約者を見つけましょう。
トランクルームにする
住民以外の人に貸し出すのに抵抗がある場合は、使っていない空きスペースを解体し、トランクルームにして住民に貸し出す方法もあります。 生活とともに増えてしまった荷物の置き場所に困っている人は少なくありません。この場合も、マンションの場合は管理組合の総会で4分の3以上の賛成決議が必要です。住民の理解を得てから変更をすすめましょう。
駐輪場にする
十分な駐輪スペースがあるマンションは意外に少ないものです。駐輪スペースに入りきらずはみ出してしまう場合や、不要な自転車も放置されている場合もあるでしょう。 そこで、空きスペースを駐輪場に作り替え、セキュリティ対策をした駐輪スペースに変更しましょう。ただし、作り替える前には、持ち主不明の自転車を適切に処分し、必要な駐輪場の台数を把握しておく必要があります。
自走式立体駐車場に関する課題

自走式立体駐車場の場合は、以下のような課題があります。
● 簡単には他の用途に転用できない
● 撤退するためには解体費用がかかる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
簡単には他の用途に転用できない
自走式立体駐車場の場合、機械式立体駐車場のように別の用途にすぐに転用するのは難しいという課題があります。 解体となると全体を壊す必要があり、部分的に解体して転用するなどの施策を打つことができません。また、解体となると大掛かりな工事が必要となります。
撤退するには解体費用がかかる
大規模な施設のため、解体するのも大変です。専門業者への依頼や建物取毀し(とりこわし)証明書、滅失登記などの手続きも必要です。 続けるか解体するかの2択になってしまい、解体の場合は駐車場経営を廃業するときとなるでしょう。
自走式立体駐車場の有効活用法3選

自走式立体駐車場を解体せずに有効活用するには、以下の3つの方法がおすすめです。
● 緊急避難場所として利用する
● ソーラーパネルを設置する
● カーシェアリングの基地として使用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
緊急避難場所として利用する
自走式立体駐車場は、大雨や津波時の緊急避難場所として有効です。近隣住民や地域社会へ緊急避難場所としてアピールし、地域に貢献する企業として自社ブランディングに活用しましょう。 避難場所以外にも、救援物資の配送車両の発着場所としても利用してもらえます。普段から看板や広告などで緊急避難場所としての存在を発信しておき、存在感を高めておきましょう。
ソーラーパネルを設置する
屋上や壁面を有効活用し、ソーラーパネルを設置するのもひとつのアイデアです。ソーラーパネルは、夜間や雨天には利用できませんが、非常時に充電できる施設としてアピールしておきます。
また、電力需要が逼迫している際にも助けとなるはずです。太陽光というクリーンエネルギーを使用している企業として、イメージアップにも活用することができるでしょう。
太陽光については、こちらの記事に詳しく解説しています。参考にしてください。
関連記事:立体駐車場に太陽光パネルを設置するメリット5選!助成金についても詳しく解説
カーシェアリングの基地として使用する
自走式立体駐車場の1階空きスペースを、カーシェアリングステーションとして貸し出してみましょう。2022年3月のカーシェアリング台数は5万台、全国のカーシェアリングステーションは約2万か所です。
今後、都市部において、さらに増えていくと予想されています。貸出による固定収入が増えるため、収支プラスへと貢献してくれるでしょう。
参照:消費者庁|カーシェアリングの動向整理
立体駐車場を有効活用方法して地域社会へ貢献しよう

機械式立体駐車場の場合は、一部を解体して別の形態として貸し出す方法を提案しました。一方、自走式立体駐車場は部分的な解体が難しいですが、地域貢献という視点での問題解決を提案しています。収益改善の特効薬にはなりませんが、ブランディングや地域社会への貢献は、長い目で見て経営にプラスとなるはずです。
国土交通大臣認定駐車場のstageWは、調査・企画・建設・運営まで一気通貫でお任せいただいています。駐車場建設を検討されている事業主様には、長期目線での提案が可能です。これから駐車場建築を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。