近年、相続や空き地の活用を理由に青空駐車場の設置を検討する方が増えています。
しかし、設置の前に理解しておくべき経営課題や税金対策を知らない方が意外に多いのではないでしょうか。
この記事では、青空駐車場の基礎知識から、経営メリット・デメリット、小規模宅地等の特例、立体駐車場への変更まで、網羅的に解説します。
青空駐車場とは
青空駐車場について次の3つのポイントにまとめました。
● 屋根のない簡易な駐車場
● 平面式駐車場との違い
● 青空駐車との違い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
屋根のない簡易な駐車場
青空駐車場とは、屋根や壁などの構造物がない駐車場を指します。更地に駐車スペースを設けただけの簡易的な駐車場です。 一般的に、アスファルト舗装や砂利敷きで整備され、車止めやロープなどで駐車スペースを区切ります。 少額の初期費用で駐車場経営を始められるため、当面建築予定のない土地を有効活用するのに人気です。
平面式駐車場との違い
平面式駐車場とは、建物の敷地内に設けられた駐車場で、青空駐車場と大きな違いはほとんどありません。一般的に郊外のホームセンターやパチンコ店などでよく見るタイプの駐車場です。 ただし、地下1階にあるものも平面駐車場に含まれ、この場合は、壁や屋根がある状態です。そのため、平面式駐車場=青空駐車場とはいえません。 マンションの地下にある平面駐車場の場合、設備投資や維持管理コストがかかりますが、雨天や日差しから車を保護できるというメリットがあります。
青空駐車との違い
青空駐車は、道路わきや駐車スペースではない場所に違法駐車している状態を指します。 「自動車の保管場所の確保等に関する法律」(車庫法)の第11条には「何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない」と明記されているため、明らかに違法状態です。 それに対して、青空駐車場は、れっきとした駐車スペースで車庫として機能します。
青空駐車場の経営メリット・デメリット
青空駐車場経営のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット
青空駐車場の経営メリットは、以下の3点です。
● 設備投資に大きな費用がかからない
● 更地の状態で相続するよりも特例を適用させて相続税を減額できる
● 経営を始めやすい
青空駐車場に適用できる特例について以下で詳しく解説します。
小規模宅地などの特例とは
青空駐車場は小規模宅地等の特例を適用することで、相続税評価額を圧縮できる可能性があります。適用後は、土地の相続税評価額が一定の限度面積まで50%または80%減額されるというものです。
貸付事業用宅地等であれば、200㎡までの土地の評価額を50%減額でき、相続人がその事業を継続する場合は「特定事業用宅地」として、土地の相続税評価額が400㎡まで最大80%減額できます。
小規模宅地等の特例適用の要件
小規模宅地等の特例を適用するには、以下の要件を満たす必要があります。
● 土地の上に建物または構築物があること
● 貸付事業を継続的に行っていること
● 無償や自家用車用ではないこと
駐車場が構築物などの施設を有する「宅地等」であることが必要なため、何もない更地であれば特例の対象外となります。
また無料で貸していたり自家用で利用していたりする部分は、特例の対象外です。
デメリット
青空駐車場のデメリットは、以下の3点です。
● 固定資産税が高い
● 空地として評価されるため相続税も高い
● 周辺環境に収益が左右される
青空駐車場は、更地と同じ評価になるため固定資産税が高くなります。また「更地」として評価されるため相続税も高くなってしまうのです。
経営上のデメリットとして、周辺環境に収益が左右されるといった点がありますが、これはほかの駐車場経営も同じです。
青空駐車場が小規模宅地等の特例を受けるための要件
小規模宅地等の特例を適用することで、相続税評価額を大幅に圧縮できる可能性がある青空駐車場。しかし、特例を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
以下で、青空駐車場で小規模宅地等の特例を受けられる要件を詳しく解説しましょう。
アスファルト舗装
特例適用のためには、地面がアスファルト舗装されている必要があります。アスファルト舗装とは、アスファルト混合物を路面に敷き、転圧して固める工法です。車体が安定しやすく、雨水の排水もスムーズに行えます。アスファルト舗装は、事業を営むための構築物とみなされるのです。
この場合は、貸付事業用宅地として土地部分の相続税評価額が200㎡まで50%減額されます。コンクリート舗装も同様に対象です。
砂利敷きの場合は、特例が適用されないケースもあるので注意しましょう。また、一部のみアスファルトの場合は、舗装部分だけが特例適用の対象となります。
建物や構築物がある
特例の適用のためには、建物や構造物が必要です。継続的に駐車場経営をしている事実が明確であると証明するために、コインパーキング設備などを設置すると確実でしょう。 また、そのためには自宅と隣接しており、宅地内であることが重要です。
自宅と隣接している
特例の適用のためには自宅と隣接している必要があります。適用対象の土地330㎡を限度に相続税評価額から80%減額されます。ただし、道路で分断されている場合は適用不可です。
アパート・マンションの駐車場として利用している
アパートやマンションに隣接する入居者専用駐車場でも適用可能です。駐車場は、貸付事業用宅地に該当します。適用が認められると、貸付事業用宅地として200㎡まで評価額を50%減額できます。 ただし、駐車場として使われている宅地の上に構築物(アスファルト、コンクリート、塀、門扉、野外給排水設備、橋など)が必要です。
青空駐車場から立体駐車場へ変更する場合は
stageWをご検討ください
青空駐車場は、初期費用少なく始められる事業で、相続対策として利用する方も少なくありません。ただ、特例が適用できない場合は、固定資産税や相続税の負担が通常よりも大きいのも事実。 事業として大きく経営を広げたい場合は、自走式立体駐車場建設のstageWをご検討ください。企画から申請・建築・運営サポートまで一貫してお任せいただけます。 ご相談、お見積もりなど、お気軽にお問い合わせください。