駐車場付きビルの特徴とは?メリットやデメリットについて解説

駐車場付きビルとは、建物の構造内に駐車場を併設したビルのことを指します。
オフィスビルや商業施設、マンションなど、さまざまな種類の建物で駐車場付きビルを見る機会があるでしょう。
この記事では、駐車場付きビルについて詳しく解説します。メリットやデメリットも紹介するので、
駐車場付きビルの建設を検討している事業者様は、ぜひ参考にしてください。

駐車場付きビルとは

駐車場付きビルとは

駐車場付きビルには、大きく分けて2つのタイプがあります。ビルの建物内に駐車場が付いている場合と、ビルに隣接した土地などに駐車場を設置している場合です。 一定規模以上の建築物の場合、駐車場の設置が義務付けられており「附置義務駐車場」といわれています。ビルを建設する場合は、関連する法令に従って駐車場を設置しましょう。

附置義務駐車場とは

附置義務駐車場とは

ここでは附置義務駐車場について詳しく解説します。都市計画法や建設基準法など、法令や条例が関わっているため、細かい規定などを整理して紹介します。

一定規模以上の建築物における設置義務

「附置義務駐車場」は、需要を見込んで建てるのではなく、法令で必要な駐車台数が決まっています。駐車場法と自治体ごとの条例にもとづいており、一定規模以上の建築物を新築したり増築したりする際、決められた台数を設置します。 目的は、路上駐車の解消と道路交通の円滑化です。具体的な計算方法は自治体ごとに異なります。

関係する法令や条例

附置義務駐車場の設置義務は、駐車場法第20条にもとづいて各自治体が条例を定めています。その基準は、対象となる建物の用途や延べ床面積、駐車場の台数、広さなど。 東京都を事例に挙げると、下記のように条件や計算方法が定められています。

東京都を事例に挙げると、下記のように条件や計算方法が定められています。

【計算式】
新築時の附置義務台数={Σ(建築物の各用途の部分の床面積÷基準床面積)}×緩和係数

建物の用途や立地条件によって、緩和係数が適用される場合があります。緩和係数とは、実際の駐車需要を考慮して必要な台数を調整するための指標です。 東京都の場合は、延べ床面積6,000㎡以下の場合に適応されます。一般の駐車場施設の附置義務基準については以下の表を参考にしてください。

一般の駐車場施設の附置義務基準
参照:東京都の事例

また、新築や増築、既存の駐車場の台数変更をする場合は、各区役所・市役所・東京都の建築指導課などに申請しましょう。設計図面や台数計算書などを提出し、審査を受けることで設置の適否が判断されます。

対象の建物

不義義務駐車場設置の対象となる建物は、以下のような要件に当てはまる大規模な商業施設や集合住宅などです。

対象区域 対象建築物
駐車場整備地区等 特定用途の部分の床面積及び非特定用途の部分の床面積の3/4の合計が1,500㎡を超えるもの。
周辺地区、自動車ふくそう地区 特定用途の部分の床面積が2,000㎡を超えるもの。


対象区域 対象建築物
特別区(23区)の区域内で、駐車場整備地区等以外の区域 延べ面積が10,000㎡を超える建築物で、集合住宅の用途に供する部分の床面積が2,000㎡を超えるもの


具体的には以下のような商業施設が対象です。

劇場、映画館、演芸場、観覧場、放送用スタジオ、公会堂、集会場、展示場、結婚式場、斎場、旅館、ホテル、料理店、飲食店、待合、キャバレー、カフェ、 ナイトクラブ、バー、舞踏場、遊技場、ボーリング場、体育館、百貨店その他の店舗、事務所、病院、卸売市場、倉庫及び工場
最近では、車の保有台数が飽和状態にあることを考慮して、基準や算定方法の見直しも進んでいます。

駐車場付きビルのメリット・デメリット

駐車場付きビルのメリット・デメリット

駐車場付きビルには、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

駐車場付きビルのメリットは次の3つです。

● 利用者の利便性が高い
● 集客効果が期待できる
● 建物の資産価値が向上する

車で来館する利用者にとって、駐車場が併設されていると非常に便利です。とくに都心部などの駐車場が不足しているエリアでは、駐車場付きビルは差別化ポイントとなるでしょう。 車での来館が可能なため、集客効果が期待できます。郊外型の商業施設や大型のオフィスビルなどでは、駐車場の有無がテナントの入居率に大きく影響します。さらに、駐車場の需要が高いエリアでは、駐車場があることで、建物自体の資産価値が向上する可能性があります。

デメリット

デメリットは以下の3つです。

● 建築コストが上がる
● 維持管理費がかかる
● 土地の有効活用が制限される

駐車場を併設することで、建物の建築コストが大きく増加します。土地価格が高い都心部では、駐車場の設置費用がビル建築費用の半分以上を占める可能性も想定しておきましょう。 駐車場を併設すると、駐車場の維持管理費用がかかります。具体的には、清掃費、警備費、設備の点検・メンテナンス費用などです。建設費だけでなく、維持管理費も計算して運営を考えなければいけません。 また、ビルに駐車場を併設すると、建物の敷地に占める駐車場の割合が大きくなり、土地の活用領域が少なくなってしまいます。空車が続いてしまうと利益が上がらず、駐車場経営が赤字になる心配があります。

ビルに設置してある駐車場のおもな種類

ビルに設置してある駐車場のおもな種類

ビルに設置してある駐車場の種類は、おもに以下の2つです。

● 自走式立体駐車場
● タワー型駐車場

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自走式立体駐車場

自走式立体駐車場は、運転手自らが車を移動させ、駐車スペースに停めます。メリットは、以下のとおりです。

● 駐車台数を多く確保できる
● 土地を有効活用できる
● 車高や重量の制限が少ない

自走式立体駐車場は商業施設や公共施設などに多く見られます。建物が大きいため建設コストも高めですが、建設後の維持やメンテナンスコストの負担が軽いのがメリットです。

タワー型駐車場

タワー型駐車場は、垂直方向に移動させて格納させる立体駐車場のひとつです。省スペースで限られた土地でも効率的に経営できます。タワー型でも、以下のようなタイプに分かれています。

● ゴンドラ式
● エレベーター式
● スライド式

大型機械なので、円滑に運営するために毎月の点検や部品交換が必須です。建設コストが高いのは自走式立体駐車場と同じですが、タワー型駐車場は維持コストも高く、手間もかかります。

ビルに駐車場を設置する場合の運用ポイント

ビルに駐車場を設置する場合の運用ポイント

ビルに駐車場を設置する場合の運用ポイントは、以下の3つです。

● コスト管理
● 設備の点検・メンテナンス
● セキュリティ管理

それぞれ詳しく見ていきましょう。

コスト管理

駐車場の建築コスト、維持管理費、人件費などを把握し、適切な料金設定をしましょう。利益があがりやすいような環境かを考慮したうえで、安定的な収益が見込めるかシミュレーションしましょう。 維持管理費に含まれるのは、人件費、清掃費、警備費、設備の点検・メンテナンス費用など。人件費に含まれるのは管理人や警備員を雇った場合の費用です。

設備の点検・メンテナンス

設備の定期的な点検を行い、安全性を担保します。とくに機械式の場合、毎月の点検が必須です。場合によっては管理人を雇うなどの対策も必要となるでしょう。

点検の対象となるのは以下です。

● 構造体: ひび割れや腐食などの異常
● 機械設備:リフトやコンベアなどの機械設備
● 電気設備の点検:漏電
● 消防設備の点検:スプリンクラーや火災報知器などの消防設備

もちろん点検・メンテナンスは、専門業者に依頼する必要があります。

セキュリティ管理

駐車場内での盗難や犯罪を防ぐために、セキュリティ対策を講じましょう。具体的には、以下のような対策です。

● 防犯カメラの設置
● 出入管理システムの導入
● 照明の設置

防犯カメラは、駐車場内を常に監視するため犯罪抑制効果があります。出入管理システムは、駐車場への出入を管理でき、不審者の侵入を防げるでしょう。 照明で駐車場内を明るくすることで、犯罪抑制効果が期待できます。

ビルに駐車場を設置する場合はstageWをご検討ください

ビルに駐車場を設置する場合はstageWをご検討ください

駐車場付きビルを建築の際は、メンテナンスや維持コストの負担が少ない自走式立体駐車場がおすすめです。stageWは、企画・設計・施工・運営・維持管理までトータルサポートいたします。 豊富な経験と実績を活かし、お客様のニーズに合った最適な駐車場をご提案できるでしょう。駐車場付きビルの設置をお考えの方は、ぜひstageWにお問い合わせください。


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