タワー式立体駐車場について解説|仕組み・トラブル例・注意点も紹介

都市部などの限られた土地を有効活用するため設置されているタワー式立体駐車場。
近年では、マンションや商業施設などで見かける機会も増えました。
しかし、その仕組みやメリット・デメリットについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、タワー式立体駐車場の仕組みからトラブル例、そして利用する上での注意点までを詳しく解説します。
タワー式立体駐車場について知りたい方、立体駐車場建設を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

タワー式立体駐車場とは

タワー式立体駐車場とは

タワー式立体駐車場の特徴は以下の3つです。

● 機械式立体駐車場の一種
● タワー式駐車場の仕組み
● タワー式駐車場の配列例

それぞれ詳しく見ていきましょう。

機械式立体駐車場の一種

タワー式立体駐車場は機械式駐車場の一種で、機械によって車を上下左右に移動させ、立体的に駐車する仕組みです。 ショッピングモールやホテル、オフィスビルなど、商業施設や公共施設に設置されているケースが多くみられます。

一般的な機械式立体駐車場には、ほかにも以下のような方式があります。

● 垂直循環方式
● エレベーター方式
● 水平循環方式
● 二段方式
● 多段方式
● 多層循環方式

そ二段方式や多段方式はマンションに設置されていることが多く、大規模な商業施設などでは、垂直循環方式やエレベーター方式が多く利用されています。 また、多層循環方式は、パレットを横方向と縦方向に移動させて駐車する仕組みで、地下駐車場として設置されるケースが多いようです。 省スペース化と駐車台数の増加に優れています。

タワー式駐車場の仕組み

タワー型には、以下の3種類の仕組みがあります。

方式特徴
垂直循環方式パレットを垂直方向に昇降させて駐車する
タワー式駐車場の中では最も一般的
構造がシンプルで設置スペースも比較的少なく済む
エレベーター方式パレットをエレベーターで昇降させて駐車する
駐車スペースのレイアウトの自由度が高い
省スペース化にも優れている
水平循環方式パレットを水平方向に移動させて駐車する
駐車スペースのレイアウトの自由度が高い
大型車や車高の高い車にも対応できる


国土交通省のデータによれば、以上の3種類の中で一番利用されているのが「垂直循環装置(14%)」です。次いで「エレベータ方式(13%)」、「水平循環装置」は3%となっています。

機械式駐車装置の種別 累計設置割合(台数)
参照:国土交通省資料より

タワー式駐車場の配置例

タワー式でも、さまざまな配置方式があります。その特徴を表にまとめました。

タイプ特徴
単棟タイプタワー式駐車場1基を単棟で設置
並列タイプ横方向に連棟設置したタイプ
縦列タイプ縦方向に連棟設置したタイプ
通り抜けタイプ駐車場を通り抜けて出庫するタイプ
ビル内組込式ビルやマンション躯体内に設置するタイプ
中間乗入式タワー式駐車場の中間部から入出庫を行うタイプ

タワー式駐車場1基のみが単棟、横に並べたのが並列、縦に並べたのが縦列となっています。通り抜けタイプは入庫口と出庫口が分離でき、入出庫がスムーズです。 ビル内組込式は、外部から駐車場が見えないため、施設全体の意匠性が確保できるのがメリットです、また中間乗入式は、地下にも車両を収容できるため、建物の高さ制限がある敷地での収容台数を確保できます。

タワー式立体駐車場のメリット

タワー式立体駐車場のメリット

タワー式立体駐車場のおもなメリットは、以下の3つです。

● 省スペース化
● 耐候性
● セキュリティ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

省スペース化

タワー式立体駐車場は、車両を垂直方向に積み上げるため、限られた土地に多くの駐車スペースを確保できます。 とくに都市部など土地が限られた場所でも建設できるため、駐車場経営において利益を上げやすいのもメリットです。

耐候性

車を建物の中に収容できるため、雨風や日光から車を守れます。近年では、異常気象の影響で豪雨や突風などの被害が増加しており、耐候性の高い駐車場が求められています。 その点において、タワー式立体駐車場は、屋根や壁のある空間へ収納するため、車両を守る点では非常に効果が高いでしょう。

セキュリティ

大型機械が稼働するため、事故防止のため、防犯カメラやゲートの設置など、セキュリティ対策が施されています。 また、収容した車両には誰も立ち入ることができないため、車上荒らしや盗難などの犯罪被害を防ぐ効果があります。

タワー式立体駐車場のデメリット

タワー式立体駐車場のデメリット

タワー式立体駐車場のおもなデメリットは、以下の3つです。

● ランニングコストがかかる
● 故障時の対応が大変
● 駐車できる車両サイズが制限される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ランニングコストがかかる

タワー式立体駐車場は、機械による複雑な動作で車を移動させるため、自走式立体駐車場に比べて以下のようなランニングコストがかかります。

● 機械の定期点検費用
● 稼働に必要な電気代
● 故障時の修理費用

これらの費用は、マンションや商業施設の管理費や駐車代金に上乗せされるケースがあります。駐車場の所有者にとっても大きなコスト負担となるでしょう。

故障時の対応が大変

タワー式立体駐車場は、機械が故障すると、駐車場内の車両を取り出せなくなってしまう可能性があります。また、その復旧にも時間がかかってしまう場合が少なくありません。 さらに、地震や台風など災害によって故障してしまうと、収納されていた車両を出庫できないだけでなく、機械の復旧までに長い時間がかかるなどのリスクも想定されます。

駐車できる車両サイズが制限される

駐車パレットの大きさが決まっているため、駐車できる車両のサイズに制限があります。大型車に対応できるタワー式立体駐車場も増えていますが、すべての車種に対応しているわけではありません。 車高・車幅・車長のそれぞれのサイズを確認してから駐車する必要があります。近年では、SUVやミニバンなど大型の車種も人気ですが、タワー式駐車場に駐車できないケースも少なくありません。

タワー式立体駐車場に関するトラブルと注意点

タワー式立体駐車場に関するトラブルと注意点

タワー式立体駐車場は、限られたスペースに多くの車を収容できる利点があります。その一方で、特有のトラブルや注意点も存在します。
ここでは、場内事故、稼働率、メンテナンスという3つの観点から、タワー式立体駐車場のトラブルと注意点を詳しく解説していきましょう。

場内事故

タワー式立体駐車場では、機械の誤動作や利用者の操作ミスなどにより、さまざまな事故が発生する可能性があります。おもな事故原因が以下の3つです。

● 駐車操作ミス:誤った操作による駐車事故
● 機械故障:機械装置の故障による事故
● 人為的なミス:利用者による不注意やいたずら

事故が起こると、車や駐車場施設の損傷だけでなく、利用者のケガや死亡事故にもつながる可能性があります。実際に、電気系統のトラブルから火災が発生する事故や、消火設備点検中に誤作動したことによる死亡事故も起こっています。
事故を防ぐためには、利用者が正しい使用方法を守ることが重要です。同時に、駐車場管理者も定期的な点検や整備を行い、安全性を確保していきましょう。

稼働率

駐車場経営における重要事項のひとつに、稼働率があります。総務省による「駐車場経営状況の調査」において、単価と稼働率を比較した表を見ると、料金設定と稼働率には相関性がないことがわかりました。

機械式駐車装置の種別 累計設置割合(台数)
画像引用:総務省|駐車場整備事業における抜本的な改革の方向性

各駐車場の稼働率は、16%~474%と差が大きく、稼働率100%以下の駐車場が半数近くでした。稼働率が低いと、利益を上げにくくなり、そのまま低下してしまうと廃業せざるを得ない状況に陥ります。 稼働率を上げる工夫としては、月極で契約してくれる利用者を見つける、Googleマップに駐車場の位置登録し、検索対策をしておくなどが挙げられます。

メンテナンス

タワー式立体駐車場は、複雑な機械装置で構成されているため、定期的なメンテナンスが必要です。おもな点検には以下のようなものがあります。

● 機械の点検
● 油脂類の交換
● 安全装置の確認

各部品の摩耗や損傷がないかの確認、潤滑油やグリースなどの定期的な交換、装置が正常に作動するかの確認など、定期的に確認する項目は少なくありません。 機械式駐車場は、適切なメンテナンスが必須ですが、機械の寿命を延ばし、事故を防止するためには重要です。

大規模駐車場はstageWをご検討ください

大規模駐車場はstageWをご検討ください

タワー式立体駐車場は、狭い敷地でも効率的に駐車台数を確保できます。とくに都市部では、魅力を発揮するでしょう。ただ、メンテナンスの手間やランニングコストがかかるため、稼働率が低い場合は、経営的な難易度が高くなってしまいます。 また、駐車できる車両が限定されてしまうのも稼働率の点からはデメリットです。もし、建て替えや立体駐車場建設を考えているのであれば、自走式立体駐車場も検討してみてはいかがでしょうか。

stageWは、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場専門メーカーです。豊富な実績により、企画・申請・設計・工事・メンテナンスまで一気通貫でご依頼いただけます。自走式立体駐車場建設を検討している事業者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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