立体駐車場の点検は重要?メンテナンスと保守の違いについても解説

駐車場を安全に運用するためには、定期的な点検やメンテナンスが不可欠です。
駐車場の管理不備は事故や故障の原因となり、利用者の安全を脅かすだけでなく、設備の寿命を縮めることにもつながります。
本記事では、駐車場の点検の重要性、平面式・機械式・自走式の駐車場における点検のポイントについて解説します。
また、メンテナンスと保守の違いについて詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

各駐車場の点検について

各駐車場の点検について

立体駐車場には、機械式と自走式の2種類があります。比較として、平面式駐車場も含め、各駐車場の点検についてまとめました。

平面式駐車場

平面式駐車場は、点検が必要な備品などが少なく、以下がおもな点検対象設備です。

● アスファルトの保全
● 出入口のバー
● 精算機
● 照明設備

1カ月に1回程度の頻度でチェックを行いましょう。

機械式立体駐車場

平面式駐車場に比べ、機械式立体駐車場は、点検すべき項目が多いです。

● 機械装置の動作確認
● 潤滑油の補充
● 安全装置の動作確認
● 消火設備の点検

装置の確認においても、部品ごとに細かい点検項目があります。頻度は毎月のものから3カ月に1回、半年に1回などさまざまです。 例えば、国土交通省によるガイドラインには、機械式立体駐車場の保守点検項目が示されています。 「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」を参考にすると、以下のような頻度と点検内容となっているので参考にしましょう。

● 毎月1回:外観目視による異常の有無の確認
● 3カ月に1回:電気設備、安全装置などの簡易点検
● 6カ月に1回:機械装置、構造体などの詳細点検
● 1年に1回:専門業者による総合点検

機械式駐車装置 死亡・重傷事故の発生場所
画像引用:「機械式立体駐車場の安 全対策に関するガイドライン」の手引き

また、機械式立体駐車場では死亡につながるような事故が発生しています。事故発生の防止のためにも安全点検は必須です。

参照:国土交通省「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」

自走式立体駐車場

自走式立体駐車場のメンテナンスとしては以下のようなものがあります。

● スロープ部の床板補修
● R階床板補修
● 照明器具
● ライン補修

上記項目の点検は義務ではありませんが、定期的に確認し、不具合が出る前に補修しておくのがおすすめです。 大きな損傷が出る前にメンテナンスしておくと長持ちします。また、消防用設備やエレベーターは、法的点検が義務化されています。

参考記事:立体駐車場の耐用年数は?メンテナンスのポイントや建て替えのサインを解説

立体駐車場の点検にまつわる事項

立体駐車場の点検にまつわる事項

立体駐車場の点検にまつわる事項について、以下の3点にまとめました。

● 法定点検
● ガイドライン
● メンテナンスと保守

それぞれ詳しく見ていきましょう。

法定点検

建築基準法第8条(維持保全)に基づき、定期保守を行うことが推奨されています。定期的なメンテナンスによって大きな事故を防止できるためです。

「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」
引用:建築基準法第8条

法定点検が義務化されているのは、消防用設備とエレベーターのみですが、そのほかスロープ部の床板補修、R階床板補修、照明器具、ライン補修などは、自主的に定期点検のリストに加えましょう。 消火設備は、消防法で6カ月に1回の点検が義務化されています。エレベーターの場合は、不具合が起きないよう予防点検の意味合いがあります。

ガイドライン

機械式立体駐車場の場合は、国土交通省が出しているガイドラインを目安とした点検が必要です。 「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引きには以下のように記載されています。

Ⅳ-4 管理者の取組
「装置の安全確保のための維持保全を行うこと。 装置が正常で安全な状態を維持できるよう、機種、使用頻度等に応じて、1~3ヶ月以内に1度を目安として、専門技術者による点検を受け、必要な措置を講じること。」

引用:「機械式立体駐車場の安 全対策に関するガイドライン」の手引き

点検すべき箇所はリストにし、年間スケジュールに組み込んでおきましょう。

メンテナンスと保守

点検にはメンテナンスと保守といった二つの目的があります。それぞれの意味は以下のとおりです。

点検の種類意味
メンテナンス機械装置の機能を維持し、故障を予防するための点検・調整・修理などの作業
保守駐車場施設全体の管理・運営を行うこと

メンテナンスは、定期的に実施することが重要です。安全性の向上はもちろんのこと、機械装置の寿命を延ばしてくれます。 保守は、駐車場施設全体の管理・運営で、清掃・美観維持・利用者への案内・料金徴収・トラブル対応などまで含みます。 メンテナンスは、保守の一部ですが、管理や維持に比べ専門的な知識と技術が必要です。

予防保全と事後保全

予防保全と事後保全

次に保全について解説します。保全には「予防保全」と「事後保全」の2種類があります。それぞれの意味やメリット・デメリットについて見ていきましょう。

予防保全

予防保全とは、故障が発生する前に設備を定期的に点検・整備を行い、故障を未然に防ぐことを指します。予防保全でやるべきことは以下の3つです。

● 定期点検:設備の各部を定期的に点検し、異常の兆候がないか確認する
● 定期整備:定期的に部品交換や清掃を行い、設備の機能を維持する
● 状態監視:センサーなどを用いて設備の状態を監視し、異常が発生したらすぐに対応する

故障する前に異常の兆候を発見するのが予防保全です。

予防保全のメリット

予防保全のメリットとしては、以下の3つがあります。

● 故障による生産停止を防ぐ
● 設備の寿命を延ばす
● 保守コストを削減する

予防保全は、設備を長持ちさせるために不可欠です。

予防保全のデメリット

予防保全のデメリットとしては、以下の2つがあります。

● ランニングコストがかかる
● すべての故障を予防できるわけではない

予防保全のためには、点検やメンテナンスのための時間的なコストや人的コストがかかります。 そして最善を尽くしていても、事前に予測できないトラブルが発生することがあります。

事後保全

事後保全とは、設備が故障したのちに修理や交換を行うことです。おもな内容としては、以下の3つです。

● 故障診断
● 修理方法の検討
● 修理・交換

すでに起こってしまった故障に対応するのが事後保全です。

事後保全のメリット

事後保全のメリットは、故障が発生した状況に合わせて最適な修理方法を選択できることです。 予防保全のように専門的な知識や技術を持った人員を常駐させる必要がなく、人的リソースを最小限にできます。 事後保全が向いているケースは、故障しても交換費用が低い設備、生産停止の影響が少ない設備、予備品がするに入手できる設備などです。

予防保全のデメリット

事後保全のデメリットは、以下の3つです。

● 故障によるサービス停止が発生する
● 設備の寿命が縮む
● 保守コストが高くなる

壊れてしまってから対応を行うことになるため、代わりの部品がすぐに見つからない、修理に当たってくれる人が見つからないなどのトラブルが起こりやすいのもデメリットです。

自走式立体駐車場の企画から点検までstageWにお任せください

自走式立体駐車場の企画から点検までstageWにお任せください

この記事では、立体駐車場の点検と保全について解説しました。保全には予防と事後の2種類があり、安全面を重視するなら予防保全に力を入れることをおすすめします。 コストアップと感じるかもしれませんが、利用者の安全やサービスが停止する間のロスを考慮すると、できる限りの予防保全を行うことが望ましいです。

stageWは、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーです。企画・設計・建築のみならず、完成後の保守・保全までお任せください。何よりも重要なことは、事故を防ぐための対策です。 オープン後の運営や点検など、スムーズな駐車場運営をサポートいたします。自走式立体駐車場の建設を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


資料請求・お問い合わせはこちら >