月極駐車場トラブル対策7選|事例と予防策を徹底解説

駐車場オーナー様にとって、入居者とのトラブルは避けて通れない問題の一つです。
「契約内容に関するトラブル」「駐車場内で起こったトラブル」「料金に関するトラブル」など、様々なケースが考えられます。
トラブルを適切に解決・対策を実施しないと、駐車場の評判を損なうだけでなく、収益にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

そこで、この記事では、駐車場経営で発生しやすいトラブル事例を8つ紹介し、それぞれのトラブルの原因と具体的な対策方法を解説します。
トラブルが起きてしまった場合の対処法についても解説するため、駐車場オーナー様はぜひ参考にしてください。

月極駐車場の種類

月極駐車場の種類

月極駐車場の定義と、駐車場の種類について解説します。

● 月極駐車場とは
● 平面式駐車場
● 自走式立体駐車場
● 機械式立体駐車場

それぞれの定義と特徴、メリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

月極駐車場とは

月極駐車場とは、一定期間(通常は1か月単位)契約することで、決められた場所に車を駐車できる駐車場のことです。読み方は「つきぎめちゅうしゃじょう」です。 駐車場の管理会社やオーナーと賃貸借契約を締結し、毎月定額の賃料を支払うことで、車の所有者は車の保管場所として利用する権利を有します。 条件を満たす月極駐車場であれば、車庫証明の取得も可能です。利用者は、マンションやアパートに住んでいる人、通勤や通学に車を利用する人など、さまざまです。

平面式駐車場

ここからは月極駐車場で用いられる駐車場の種類について解説します。

平面式駐車場は、平面に車を駐車する最も一般的なタイプです。平らな土地に駐車場スペースが設けられたもので、屋内型と屋外型があります。

平面式駐車場のメリット● 車の出し入れがしやすい
● 駐車が簡単で、運転初心者でも利用しやすい
● 比較的安価に設置できる
平面式駐車場のデメリット● 広い土地を必要とする場合が多く、都市部では駐車台数が限られる場合がある
● 雨風や直射日光の影響を受けやすい

自走式立体駐車場

自走式立体駐車場は、ドライバー自身が車を運転して、複数の階層にわたるスペースに駐車します。

自走式立体駐車場のメリット● 屋上階以外は屋根があるため雨を防げる
● 土地に対して多くの車を収容できる
● 水没の心配がない
自走式立体駐車場のデメリット● 高層階だと、車の出し入れに時間がかかる
● 一定の建設費がかかる

機械式立体駐車場

機械式立体駐車場は、機械によって車を上下に移動させて格納するタイプの駐車場です。

機械式立体駐車場のメリット● 限られた土地に多くの車両を収容できる
● セキュリティ面で比較的安全
機械式立体駐車場のデメリット● 車の出し入れに時間がかかる
● 機械の故障や停電により利用できない場合がある
● 車の大きさや種類によっては利用できない
● 維持管理費が高い

月極駐車場トラブル事例8選

月極駐車場トラブル事例8選

月極駐車場で起こりがちなトラブル事例を8つ紹介します。

● 駐車場内の事故(接触事故や当て逃げ)
● 車へのいたずら
● 車上荒らし・盗難
● ごみの放置・不法投棄
● 駐車場利用者や近隣住民からの苦情
● 無断駐車・不正駐車
● 駐車スペースからのはみだし
● 賃料の滞納

トラブル事例を知ることで、具体的な対処や対策案が出てくるはずです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

駐車場内の事故(接触事故や当て逃げ)

月極駐車場では、車の出し入れの際に他の車に接触してしまうことがあります。 特に、夜間や早朝など、周囲が暗い時間帯に起こりやすく、目撃者がいない場合も少なくありません。また、当て逃げのように、加害者が逃げてしまうこともあります。
この場合の責任の所在は、駐車場オーナーではなく加害者です。不法行為の損害賠償について定めている民法第709条には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、 これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めています。 そのため、月極駐車場の敷地内で発生した事故の賠償責任は、事故を起こした加害者にあります。
ただし、駐車場の管理ミスで車両が傷ついた場合は、駐車場のオーナーや管理者に賠償責任が発生する場合もあるため、管理者は適切に設備点検などを行う必要があります。

参照:民法第709条

車へのいたずら

月極駐車場では、車へのいたずらが発生する可能性があります。タイヤのパンクや、車のボディへの落書きなどが代表的な例です。 いたずらの目的は様々ですが、中には悪意のある行為も含まれているため注意が必要です。

これらのいたずらは「器物損壊罪」にあたり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が課せられます。 ただ、犯人の特定は難しいといわれています。対処方法としては、以下のようなものがあります。

● 被害の状況を撮影する
● 警察に通報する
● 車の保険会社に連絡する

管理者側で防犯カメラなどを設置している場合は、情報提供に協力しましょう。

車上荒らし・盗難

月極駐車場では、車上荒らしや盗難などが発生するリスクがあります。特に、深夜から朝にかけて人が少ない時間帯が狙われやすく、場合によっては車体ごと盗まれるケースもあります。
車両の盗難や車上荒らし、置き引きなどの窃盗行為は、刑法上では窃盗罪です。基本的には、警察に対応してもらいます。この場合、オーナーに賠償責任はありません。 ただし、防犯対策を売りにしていて、それを理由に契約を獲得していた場合や借主の鍵を預かっていた場合は、管理責任を問われる可能性があります。
予防のためには、ライトアップや防犯カメラ設置をし、盗難されにくい環境づくりをしましょう。 もし、利用者が被害に遭ったときは、できるだけ状況を維持したまま警察へ通報しましょう。

参照:自動車盗難事故実態調査結果

ごみの放置・不法投棄

月極駐車場では、利用者によってゴミが放置されたり、不法投棄が行われたりするケースがあります。 特に自動販売機を設置している場合には、ペットボトルや空き缶などのゴミが捨てられがちです。また、ひどい場合には粗大ごみまで捨てられることもあります。
ゴミの放置は、景観を悪化させるだけでなく、害虫や悪臭の原因にもなります。ゴミが放置されていると「捨てていい場所」と認識され、さらにごみが捨てられるという悪循環が生まれるため、早めの対処が重要です。

駐車場利用者や近隣住民からの苦情

月極駐車場では、駐車場の利用者のマナーが悪い場合、近隣住民とのトラブルに発展することがあります。具体的には、以下のような事例が苦情に発展しやすいといえます。 具体的には、以下のような事例が苦情に発展しやすいといえます。

● 車の出し入れ時の騒音
● 駐車場内での迷惑行為
● アイドリングによる排ガス
● 駐車場内での喫煙や灰がらのポイ捨て

これらのトラブルが続くと、治安の悪化にもつながりさらに住民から苦情がくる、といった悪循環にもつながりかねないため、適切な対策が必要です。

無断駐車・不正駐車

月極駐車場では、契約者以外の車が無断で駐車したり、契約内容と異なる場所に車を駐車したりなどの無断駐車が起こりがちです。 ほかにも、駐車スペースに車以外のものを置く、近隣の住宅や店舗への来訪のために同じ車が何度も駐車するなどが、よくあるケースです。
対策としては、警告文を貼り付けたり、警察に通報したりなどが挙げられます。それでも改善しない場合は、所有者を特定して内容証明を送るなどの対処が必要になります。

駐車スペースからのはみ出し

月極駐車場では、駐車スペースから車がはみ出して駐車されているケースがあります。車のサイズが駐車スペースに合っていない場合や、運転手の運転スキル不足などが原因です。 放置しておくと、他の車の入出庫を妨げたり、ドアの開閉時に他の車にぶつけたりなどのトラブルに発展する可能性もあるため軽視できません。この場合は、利用者に改善するよう連絡を行いましょう。

賃料の滞納

月極駐車場では、利用者が賃料を滞納してしまうケースがあります。個人経営の月極駐車場では、賃料の滞納は比較的発生しやすいといえます。 その理由として、賃貸住宅の契約と異なり、契約時に与信管理を行なわないことや、保証人を求めない場合が多いためです。
賃料の滞納は、駐車場オーナーにとって大きな損失です。滞納を防止するためには、契約時に利用者の信用情報を確認したり、 滞納した場合のペナルティを明確に定めておいたりなどの事前の申し合わせが重要です。ほかには、賃料を一括で前払いにする、保証人を求めるなどの対応策もあります。

月極駐車場のトラブルを未然に防ぐ対策7選

月極駐車場のトラブルを未然に防ぐ対策7選

すでにトラブルの事例とともに対策も紹介しましたが、トラブルを未然に防ぐための具体的な対策を7つ紹介します。

● 防犯カメラの設置
● 定期的な巡回
● 近隣住民とのコミュニケーション
● 看板設置によるマナー向上
● 規則や契約書の確認徹底
● 保険に加入
● 警察や弁護士との連携

それぞれ詳しく見ていきましょう。

防犯カメラの設置

防犯カメラを設置することで、犯罪抑止の効果を期待できます。 また、トラブル発生時には、カメラ映像を証拠として提出でき、解決にむけてスムーズに進められます。また、防犯灯の設置も一定の効果が期待できるでしょう。

定期的な巡回

駐車場内を定期的に巡回することで、トラブルの早期発見や、犯罪の抑止効果が期待できます。巡回時には、駐車場内の状況や車の状態などを確認し、異常があればすぐに対応できるようにしておきましょう。 また、巡回記録を残しておくことで、トラブル発生時の証拠としても活用できるかもしれません。

近隣住民とのコミュニケーション

駐車場の利用者と近隣住民との良好なコミュニケーションは、トラブル防止に役立ちます。普段から挨拶をするなどして顔見知りになっておくようにしましょう。 また、駐車場の利用に関するルールやマナーを共有したり、お互いに協力し合ったりと、交流を深めましょう。 トラブルが発生した場合でも、近隣住民との良好な関係があれば、未然に防いだり、問題をスムーズに解決できたりします。

看板設置によるマナー向上

利用ルールや禁止事項などを記載した看板の設置も効果を期待できるでしょう。 利用者から見やすい場所に「無断駐車禁止」や「ゴミ放置禁止」などわかりやすく記載した看板を設置することで、一定の抑止効果を見込めます。 また、「当駐車場内で発生した事故やトラブルに関しては、一切責任を負いません」などと書いた看板を見ることがありますが、実は法的な効力はないといわれています。 あくまでもマナー向上のための注意喚起として活用しましょう。

規則や契約書の確認徹底

月極駐車場の利用者(借主)は、オーナーや管理会社(貸主)と賃貸借契約を結び、毎月の賃料を支払います。その際は、借主と貸主で必ず契約書を交わしましょう。 契約前には、十分に説明をし、利用規約や契約書の内容を、利用者と読み合わせることが重要です。 利用者が理解したら、署名・捺印してもらうようにしましょう。契約書では、貸主の責任範囲を賃貸借契約書に明記しておくことも重要です。 また、利用規約や契約書の内容を分かりやすく掲示しておくことも効果があります。

保険に加入

駐車場内で事故やトラブルが発生した場合に備え、適切な保険に加入しておきましょう。保険加入により、経済的な損失を最小限に抑えられます。 駐車場オーナーが入る保険の種類としては「施設賠償責任保険」といったものがあります。

補償対象は以下のとおりです。

● 駐車場利用者や近隣住民の応急処置費
● 駐車場利用者や近隣住民の治療費
● 駐車場利用者の車の修理費

この保険は、被害者に対する費用を補償する保険のため、自分の駐車場設備の修繕費などは補償されません。ほかにも、不動産総合保険や機械保険といったものもあります。

警察や弁護士との連携

トラブルが発生した場合、警察や弁護士と連携することで、迅速かつ適切な対応が可能です。 警察は、事件の捜査や被害者の保護、弁護士は、法律的なアドバイスやトラブル解決のための交渉などのサポートをしてくれます。

駐車場オーナーの義務や責任

駐車場オーナーの義務や責任

駐車場オーナーの義務や責任について、以下の3つにまとめました。

● 貸主の義務とは
● 貸主に盗難の責任はない
● 自然災害による損害の責任はない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

貸主の義務とは

貸主には、民法上の賃貸借契約に基づき「借主に貸し出すものを問題なく使えるようにする」義務があります。 貸主には、駐車場の管理を適切に行い、事故やトラブルが発生しないように努める必要があると意識しましょう。 例えば、駐車場の入り口がふさがれていたり、破損していたりする場合は、貸主が修理や撤去を行います。他の利用者によるトラブルや、第三者の無断駐車などを防止するのも貸主の義務です。 また、駐車場の地面に陥没があった場合も修理の責任を負います。ほかにも清掃や防犯対策なども貸主の責任です。

貸主に車上荒らしや盗難の責任はない

駐車場オーナーは、駐車場内で発生した車上荒らしや盗難などの犯罪に対して、直接的な責任を負うことはありません。事故の場合は、基本的に当事者間で解決します。 ただし、駐車場オーナーには、防犯対策を講じる義務があります。防犯カメラの設置や、定期的な巡回など、適切な防犯対策を講じることで、車上荒らしや盗難などの犯罪を防ぎましょう。 また、駐車場の管理状態が悪いために事故が起こった場合は、貸主の責任が問われる可能性もあります。

自然災害による損害の責任はない

駐車場オーナーは、地震や台風などの自然災害によって発生した損害に対して、責任を負わないのが一般的です。ただし、自然災害に備えた対策を講じる義務はあります。 例えば、駐車場の構造を強化したり、浸水対策を講じたりなど、自然災害による被害を最小限に抑えるようにしましょう。

月極駐車場の具体的なトラブル対処法

月極駐車場の具体的なトラブル対処法

次決め駐車場の具体的なトラブル対処方法として、以下の3つにまとめました。

● 現場や車両の写真を撮っておく
● 契約時に十分説明する
● 保証人を用意してもらう
● 管理を外部専門業者に委託する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

現場や車両の写真を撮っておく

トラブルが発生した場合、状況がわかるように現場や車両の写真を撮っておくようにしましょう。 写真があれば、トラブルの内容や状況を客観的に証明できます。また、警察や保険会社への報告時にも、写真があるとスムーズに手続きを進められるでしょう。

契約時に十分説明する

契約時には、駐車場の利用規約や、トラブル発生時の対応について、利用者に十分に説明する必要があります。 賃貸借契約書には、貸主の責任範囲を明記し、契約時には貸主の免責事項をしっかりと説明しましょう。注意すべき事項や責任の所在などを説明することで、トラブルを未然に防ぐ効果があります。

保証人を用意してもらう

契約時に、利用者に保証人を用意してもらうことで、賃料の滞納などを防げます。 保証人は、利用者が賃料を滞納した場合、代わりに支払う責任を負います。しっかりした身元の保証人を用意してもらうことで、駐車場オーナーのリスクは軽減されるでしょう。

管理を外部専門業者に委託する

駐車場の管理を外部専門業者に委託することで、効率的な経営が実現します。 専門業者が代行する業務は、駐車場の清掃や整備、集金、防犯対策、トラブル対応など様々です。運営管理全体を委託することも可能です。 外部の専門業者に委託することで、駐車場管理を適切におこないましょう。

立体駐車場の建設から管理までstageWにおまかせください

立体駐車場の建設から管理までstageWにおまかせください

この記事では、月極駐車場のトラブル事例と対処法について解説しました。トラブルの多くは、対策を講じることで未然に防げます。 ただ、すべての対応をオーナーが負担するのは大変です。外部専門業者に委託することも検討するとよいでしょう。

国土交通大臣認定の自走式立体駐車場stageWは、建設から管理までお任せいただいている駐車場専門メーカーです。 駐車場運営についても提案させていただきます。限られた敷地に多くの駐車場台数を確保でき、保守・点検の負担が少ない自走式立体駐車場をご検討ください。駐車場建設を検討中の事業者様は、お気軽にお問い合わせください。


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