機械式駐車場の保守点検は、建物の維持管理において欠かせない要素です。
しかし「機械式駐車場に法定点検はあるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、機械式駐車場の法定点検の有無、保守点検の重要性、種類などについて詳しく解説します。
機械式駐車場の事業者様は、ぜひ参考にしてください。
法定点検はないが保守点検は推奨

機械式駐車場には、法定点検はありませんが、推奨される保守点検などがあります。以下では3つの観点ついてまとめているので、ぜひ参考にしてください。
国土交通省のガイドライン
機械式駐車場は、複雑な機械装置で構成されています。そのため、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。
法定点検のように国が定めた強制的な点検制度はありませんが、国土交通省は「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」を発表し、
管理者に対して安全な状態を維持するための具体的な方針を示しています。
「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」では「1~3カ月以内に1度を目安として専門技術者による点検を受け、必要な措置を講じること」と定めています。
「第二章 機械式駐車設備の適切な維持管理のために管理者がなすべき事項」
第1 定期的な保守・点検
管理者は、自ら適切に保守・点検を行う場合を除き、保守点検契約に基づき、機械式駐車設備の使用頻度等に応じて、定期的に、保守・点検を保守点検事業者に行わせるものとする。
(引用:機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針)」
「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」
Ⅳ-4 管理者の取組
装置の安全確保のための維持保全を行うこと。装置が正常で安全な状態を維持できるよう、機種、使用頻度等に応じて、1〜3ヶ月以内に1度を目安として、
専門技術者による点検を受け、必要な措置を講じること。
(引用:機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン)
これは、法的な義務ではないものの、装置が正常で安全な状態を維持するためや利用者の安全を守るために、重要な取り組みです。
定期的な保守点検が必要な理由
定期的な保守点検が必要な理由として、部品の摩耗や劣化により故障が発生する可能性があるためです。保守点検により、早期に不具合を発見できるだけでなく、適切な処置を行うことで事故を防げます。
また、機械式駐車場は一度事故が起こってしまうと、重大な被害につながるケースが多くあります。たとえば、過去に起きた事故には以下のようなものがあります。
● 装置内に人がいる状態で機械が作動
● 人の乗降や歩行時の転倒や落下
● 作動中の装置に侵入・接触
● 車両の入出庫時の衝突
● 装置の非常停止
● 消防設備の不備による死亡事故
上記を見ると、人的な誤操作によるものが多く見られますが、保守点検を行うなかで不備を見つけ・改善しておくことで人的なミスの誘発を防ぐなどの効果も見込めるでしょう。
参照:機械式立体駐車場の重大事故情報
必要なのは予防保全
機械式駐車場の保守点検は、単に故障を修理するだけでなく、予防保全という側面が重要です。
予防保全とは、故障が起こる前に原因を取り除き、故障を未然に防ぐといった考え方です。
定期的な点検を通じて、部品の交換や調整を行い、設備の状態を良好に保つことで、突発的な故障のリスクを低減させます。
機械式駐車場の点検には、定期点検、部品交換、機能試験など、さまざまな種類があります。
部品交換は、摩耗や劣化が認められた部品を交換する作業で、機能試験は、各装置の動作確認を行う試験です。これらの点検は、項目ごとに推奨期間が決まっています。
推奨されている通りに点検をおこない、未然に事故や故障を防ぎましょう。なお、機械式駐車場内に設置されている二酸化炭素消火設備については、消防法に基づく法定点検が義務付けられています。
機械式駐車場の点検の種類

機械式駐車場の安全かつ円滑な運用のためには、定期的な点検が不可欠です。点検には、大きく分けて以下の4種類があります。
● 定期点検
● 部品点検
● 機能試験
● 法定点検
それぞれ詳しく見ていきましょう。
定期点検
定期点検は、機械式駐車場の設備全体を対象とした点検です。点検項目は、メーカーや機種によって異なりますが、一般的には以下の項目が含まれます。
● 外観の点検:腐食、変形、損傷などの有無を目視で確認
● 駆動部の点検:モーター、チェーン、ベルトなどの駆動部の摩耗や異音の有無を点検
● 制御装置の点検:制御盤、センサーなどの動作確認
● 安全装置の点検:安全スイッチ、非常停止装置などの動作確認
● 潤滑部の点検: 潤滑油の量や状態を確認し、必要に応じた補充・交換
定期点検の実施にあたっては、点検記録を作成し、日々のメンテナンスに役立てましょう。
また、メーカーが定める期間を守り、機器や備品単位の適切なタイミングで点検を実施することが大切です。点検には専門知識が必要となるため、専門業者へ依頼するとよいでしょう。
部品交換
定期点検で摩耗や劣化が認められた部品は、速やかに交換する必要があります。小さなネジひとつのゆるみでも故障につながるため、丁寧に点検確認していくことが重要です。
機能試験
機能試験は、機械式駐車場の各機能が正常に動作するかを確認するための試験です。以下の項目が主な試験内容となります。
● 昇降動作試験:パレットの昇降動作がスムーズに行われるかを確認
● 入出庫動作試験:車両の入出庫動作がスムーズに行われるかを確認
● 安全装置動作試験:安全装置が正常に作動するかを確認
● 非常停止装置動作試験:非常停止装置が正常に作動するかを確認
とくに安全装置や非常停止の動作確認試験は、いざという場合に挙動できないと大きな事故につながりかねません。丁寧に確認することが大切です。
法定点検が必要:二酸化炭素消火設備
機械式駐車場の消火設備で法定点検が必要なのは、二酸化炭素消火設備です。この設備は、二酸化炭素を区画内に放出することで、火が燃える際に必要な酸素の濃度を低下させ消火するものです。
令和5年4月から二酸化炭素消火設備の基準が変更となり、消防設備士による点検が必要となりました。点検項目としては、以下のようなものがあります。
● ボンベの圧力検査
● 配管の漏洩検査
● 感知器の動作確認
● 放出装置の動作確認
非常時に正常に作動するよう、ひとつひとつ確認してもらいましょう。
機械式駐車場の寿命は?

機械式駐車場の寿命について、さまざまな角度から解説します。
● 法定耐用年数は10年
● 建物部分の耐用年数は15~38年
● 機械式駐車場における保守点検の効果
それぞれ詳しく見ていきましょう。
法定耐用年数は10年
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の「機械及び装置の耐用年数表(別表第二)」によると、機械式駐車場の機械部分の法定耐用年数は10年と定められています。
これは税法上のもので、10年間かけて減価償却していくことを意味します。
耐用年数が10年なのは、機械式駐車場が他の駐車場に比べて多くの動作部品を利用しており、経年劣化によって故障や摩耗のリスクが高くなるためです。
参照:減価償却資産の耐用年数等に関する省令
建物部分の耐用年数は15年~38年
機械式駐車場の建物部分の耐用年数は、構造や材料によって異なります。一般的には15年~38年程度です。その詳細は以下のとおりです。
● 屋根がない場合:15年
● 木造:15年
● 鉄筋コンクリート:38年
● レンガ・ブロック造:34年
もちろん、適切なメンテナンスを行えば、建物の寿命を延ばすことが可能です。
参照:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
機械式駐車場における保守点検の効果
定期的な保守点検は、機械式駐車場の寿命を延ばし、安全性を確保するために重要です。保守点検によって、以下の効果が期待できます。
● 故障の早期発見
● 寿命の延長
● 安全性の確保
● コスト削減
小さな異常を早期に発見し、大きな故障に発展するのを防ぐだけでなく、部品の交換や調整により機械自体の寿命も保つことができるでしょう。
事故を防げば、修理費用や機械の換費用などによる損失も防げます。
事後保全ではなく予防保全を
長期的な信頼やコストを考えると、事故保全ではなく予防保全を基本としましょう。
予防保全とは、機械や設備が故障する前に、定期的な点検や部品交換などを行うことです。故障を未然に防ぎ、生産性の低下や安全上の問題を回避するために効果を発揮します。
それに対し、事後保全は、機械や設備が故障してから修理を行うことを指します。これは、トラブルが発生するまで、特にメンテナンスを行わず、故障した際に初めて対応するという考え方です。
事後保全だと、重大な事故が起こってから対応することになってしまいます。
一方、予防保全であれば、事故保全に比べて費用がかかりますが、長期的に見るとコスト削減や安全性確保に効果的です。突然の故障によるトラブルを避けられ、利用者に安心して使用してもらえるでしょう。
機械式駐車場は定期点検が必須

機械式駐車場に法定点検はありませんが、国土交通省のガイドラインに沿って1~3ヶ月の定期点検が欠かせません。
機械式駐車場は、初期建設費がかかるだけでなく、保守保全のためのメンテナンス費用も無視できません。年々負担が増していく計算です。
一方、自走式立体駐車場であれば、メンテナンスにかかる費用や手間は少なく済みます。利用者が減って老朽化した機械式駐車場を自走式駐車場へ建て替えるケースも増えています。stageWは、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーです。
企画の段階から建設・保守まで伴走いたします。自走式立体駐車場を検討の方は、お気軽にお問い合わせください。