EVの普及が加速する中、駐車場経営側も新たな視点が必要になってきています。
マンションや商業施設などの一般的な立体駐車場において、EV車も安心して駐車できるよう設備設置を検討している事業者様もいらっしゃることでしょう。
この記事では、EV時代の駐車場経営のポイントとして、自走式立体駐車場へのEV充電設備の導入メリットや注意点について解説します。
EV充電施設の導入を検討している駐車場経営者や商業施設オーナーは、ぜひ参考にしてください。
自走式立体駐車場の特徴やメリットなどについては合わせて下記記事をご確認ください。
⇒自走式立体駐車場とは?種類・メリット
自走式立体駐車場におけるEV対応の重要性

自走式立体駐車場におけるEV対応の重要性について、以下の3つの点から解説します。
● 国内外で進むEV化と充電インフラニーズの拡大
● 環境に配慮した施設としてのイメージアップ
● 将来への投資
それぞれ詳しく見ていきましょう。
国内外で進むEV化と充電インフラのニーズ拡大
世界的にEV化が加速しており、日本においても政府は「2035年までに新車販売におけるEV比率を100%にする」という目標を掲げています。EV普及の加速に伴い、充電インフラの整備が課題となっています。
そこで政府は、グリーン成長戦略の中で充電器設置目標を「2030年までに15万基」と定めました。さらにその後、目標を倍である30万(現在の10倍)へ修正しています。
特に、マンションや商業施設など、多くの車両が駐車する立体駐車場においては、EV充電設備の設置が不可欠になりつつあります。
しかし、まだ充電インフラ設備の設置は十分ではありません。EVユーザーにとって、利便性の高い充電環境は重要であり、充電設備のある駐車場が必然的に選ばれるようになるでしょう。
つまり、EV充電設備の設置は、駐車場利用者の満足度向上につながり、EV車保有者の利用者が増えるにつれ集客効果も期待できるのです。
参照:経済産業省|充電インフラ整備促進に向けた指針
環境に配慮した施設としてのイメージアップ
EVは環境負荷の低減に貢献する車両として認識されており、EV充電設備の設置は、環境問題への配慮を示す重要な要素となっています。
自走式立体駐車場にEV充電設備を設置することで、施設全体の環境への意識の高さをアピールし、企業イメージやブランド価値の向上が期待できます。
これは、環境意識の高い顧客の獲得や、企業の社会的責任(CSR)活動の一環としても有効な施策といえるでしょう。
近年、環境配慮は消費者の購買行動に大きな影響を与えています。そのため、自走式立体駐車場においても、EV充電設備の設置は、環境意識の高い顧客層を取り込むための重要な戦略といえます。
将来への投資
EVの普及は今後ますます加速すると予想されています。そのため、EV充電設備への投資は、将来的な収益性向上につながる重要な戦略といえるでしょう。
EV充電設備の設置には初期投資が必要ですが、EVユーザーの増加に伴い、充電サービスからの収益増加が期待できます。
また、EV充電設備の有無は、駐車場の利用者数や、テナント誘致にも影響を及ぼす可能性があります。
さらに、将来的な規制強化を見据えた場合、EV充電設備の設置は必須となる可能性も否定できません。早めの対応によって将来的なリスクを回避し、競争力を維持することが重要です。
自走式立体駐車場にEV充電設備を導入するメリット

自走式立体駐車場にEV充電設備を導入することで、利用者側と施設オーナー側どちらにもメリットがあります。
利用者にとってのメリット
EV利用者にとって、自走式立体駐車場へのEV充電設備導入は、利便性向上に大きく貢献します。以下のようなメリットが挙げられます。
充電の利便性向上
EVユーザーにとって、充電できる場所の少なさは大きな悩みです。自走式立体駐車場に充電設備を設置することで、外出先での充電が容易になり、EV利用に対する不安を解消できます。 長時間の駐車が必要となる商業施設や駅周辺の駐車場において、その効果は絶大です。買い物や映画鑑賞、食事などをしている間の駐車時間に充電ができます。 また、自宅や職場に充電設備がない、または充電設備が不足しているEV利用者にとっても、非常に利便性が高く重宝されるでしょう。
24時間利用可能
自走式立体駐車場の場合は、係員などが不要なため、24時間利用できるところがほとんどです。 EVスタンドも同様に24時間利用できるようにしておけば、夜中や早朝など、従来は充電が難しかった時間帯でも充電が可能になります。
施設オーナーにとってのメリット
自走式立体駐車場におけるEV対応の重要性について、以下の3つの点から解説します。
● 施設の付加価値向上
● EVユーザーの誘致による集客効果
● 環境への貢献によるイメージアップ
施設の付加価値向上
充電設備の有無は、駐車場を選ぶ際の重要な要素の一つとなりつつあります。充電設備の設置は、施設の競争力を高め、差別化を図る上で大きなメリットとなるでしょう。
EVユーザーの誘致による集客効果
EVユーザーは、比較的高い購買力を持つ層であることも多いため、施設内の店舗やサービスの利用につながる可能性も期待できます。 一度利用したEVユーザーは、再び同じ施設を利用する傾向が高いため、リピーター獲得にもつながります。
環境への貢献によるイメージアップ
EV充電設備の設置は、環境への貢献を示す象徴的な取り組みです。そのため、環境問題に関心を持つ人々から高い評価が得られます。 また、持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる企業として企業イメージの向上にもつながり、新たな顧客獲得効果が期待できるでしょう。
緊急時の電力供給
太陽光パネルを屋上に設置し、太陽光発電の充電システムを作っておけば、大規模な自然災害が発生した場合の蓄電池としても活用可能です。
自走式立体駐車場にEV充電設備を設置する際の注意点

自走式立体駐車場にEV充電設備を設置する際に注意する点は以下の5点です。
● 設備の選定
● 設置場所
● 電力契約
● 安全対策
● 法規制
それぞれ詳しく見ていきましょう。
設備の選定
EV充電設備の選定は、利用者のニーズと駐車場の特性を考慮して行う必要があります。
充電速度、充電コネクタの種類、出力電力、台数などを検討し、最適な設備を選びましょう。
選定時にチェックすべき項目は以下のとおりです。
項目 | 選定時の注意点 |
---|---|
充電速度 | ● 急速充電器、普通充電器のどちら、もしくは両方を選択するか ● 利用者のニーズや駐車時間などを考慮する |
充電コネクタ | ● CHAdeMO、CCSなど、対応するコネクタの種類を確認する ● 複数の規格に対応できる設備も検討する |
出力電力 | ● 充電時間とコストのバランスを考慮する ● 電力供給能力と設備の容量を適切に設定する |
台数 | ● 将来的な需要増加を見越して、余裕を持った台数を設置する ● 拡張性を考慮した設計にする |
耐候性・耐久性 | ● 屋外設置の場合は、防水性、防塵性、耐熱性、耐寒性などを確認する |
メンテナンス性 | ● 保守体制がしっかりしているメーカーを選択する ● 拡張性を考慮した設計にする |
設置場所
EV充電設備の設置場所の選定は、安全性と利便性を両立させることが重要です。 充電器へのアクセスが容易で、かつ車両の出し入れに支障がない場所を選びましょう。また、充電ケーブルの長さや、周辺設備との干渉にも注意が必要です。 十分なスペースを確保し、横の駐車スペースとの距離も考慮する必要があります。 さらに、設置場所の電力供給状況、配線経路なども事前に確認し、安全に配慮した設置計画を立てましょう。
電力契約
EV充電設備の導入に伴い、電力契約の変更が必要となる場合があります。 充電設備の消費電力や、将来的な需要増加を見越した電力容量を電力会社と事前に相談し、適切な契約内容を決定しましょう。 低圧電力での契約の場合、電力会社の約款により、既存の動力電源をEV充電に利用できないケースもありますので、注意が必要です。
安全対策
EV充電設備の設置にあたっては、漏電や火災などの事故を防止するための安全対策が不可欠です。その具体的な内容として、以下の3つがあります。
● 漏電対策(感電事故を防ぐため漏電防止対策を徹底する)
● 火災対策(充電器の過熱やショートによる火災を防ぐ)
● 防犯対策(充電中の車両へのいたずらや盗難を防ぐ)
防止のためには、漏電遮断器や接地工事などの適切な安全対策を施し、定期的な点検・保守を行う必要があります。また、充電器周辺の適切な標識や、安全に関する注意喚起を行い、利用者の安全を確保しましょう。
防犯対策としては、従来と同じく防犯カメラを設置するなどの対策が効果的です。
法規制
EV充電設備の設置には、さまざまな法規制が適用されます。
● 建築基準法(建築基準法に基づいた構造計算や消防設備の設置)
● 電気事業法(電気工事士による施工)
● 消防法(消火設備の設置や避難経路の確保など消防法の規定を遵守)
設置場所や設備の種類、電力容量などに応じて、必要な手続きや許可を事前に確認し、法令に適合した設置を行います。
専門業者に相談して、漏れや抜けがないようにしましょう。
自走式立体駐車場についてはstageWにお任せください

この記事では、EV時代の駐車場選びにおいて、自走式立体駐車場が果たす役割と、EV充電設備導入に関するメリット・デメリットを解説しました。
EVの普及拡大に伴い、充電インフラの整備は喫緊の課題であり、駐車場オーナーにとっても、EV対応は環境配慮だけでなく、将来的な収益向上にもつながる重要な戦略となります。
EVと立体駐車場の相性は、施設の規模、利用者のニーズ、そしてオーナーの投資戦略によって大きく左右されます。本記事でご紹介した情報を参考に、ご自身の状況に最適な選択を行い、EV時代に対応したスマートな駐車場運営を実現してください。
より詳細な情報やアドバイスが必要な場合は、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場建設メーカーstageWに、お気軽にご相談ください。