自走式立体駐車場における防水の重要性と対策の種類を解説

自走式立体駐車場は、都市部や商業施設などで多く見られるタイプの駐車場です。
上階の床が下階の屋根となるため、雨や雪、日光が強いときなども利用しやすいのが特徴です。
ただし、壁が開放的な構造のため、横殴りの雨や雪の影響を受けることもあります。
雨や雪の影響を受けると建物の劣化を早めるだけでなく、利用者や車両に損害を与える可能性もあることから、適切な防水対策が必要です。
そこでこの記事では、自走式立体駐車場における防水の重要性と、具体的な対策の種類、改修工事の流れについて解説します。
自走式立体駐車場の建設を予定している事業者様やマンション管理関係の方は、ぜひ参考にしてください。

自走式立体駐車場の特徴やメリットなどについては合わせて下記記事をご確認ください。
自走式立体駐車場とは?種類・メリット

自走式立体駐車場における防水の重要性

自走式立体駐車場における防水の重要性

自走式立体駐車場における防水は、以下の4つの点で重要な役割を果たします。

● 鉄筋コンクリートの腐食防止
● 漏水による被害防止
● メンテナンスコスト削減
● 資産価値の維持

それぞれ順に解説していきます。

鉄筋コンクリートの腐食防止

立体駐車場の主要構造部材である鉄筋コンクリートは、水分が浸入すると中の鉄筋が腐食し、膨張してコンクリートにひび割れを生じさせます。 それが構造体の機能低下を招き、建物の耐久性を著しく損なってしまうのです。防水は、このような劣化を防ぎ、建物の長寿化に貢献してくれます。

漏水による被害防止

防水層の劣化や欠損により漏水が発生すると、駐車場内の車両や利用者に損害を与える可能性があります。 また、漏水が電気系統に及ぶと、感電事故や火災の原因にもなりかねません。 それどころか、駐車車両や天井、壁にシミやカビを発生させ、建物の美観をも損ねます。 さらに床面が濡れていると転倒事故のリスクが高まり、利用者の安全にも多大な影響を及ぼすでしょう。

メンテナンスコスト削減

適切な防水対策を施すことで、建物の寿命を延ばし、長期的なメンテナンスコストを削減できます。 将来的な大規模修繕の必要性を減らすためにも、定期的なメンテナンスや早期の補修は重要です。 こまめな防水対策が、将来の大規模改修工事を未然に防いでくれるのです。

資産価値の維持

防水対策は、立体駐車場の資産価値を維持するうえでも重要です。 適切な防水対策が施された建物は、中古市場でも高い評価を受けやすく、長期的に安定した収益を生み出します。 さらに、漏水のない快適な状況を維持することが、利用者の快適性や満足度に影響し、ひいては稼働率の向上にもつながります。

自走式立体駐車場における防水の種類

自走式立体駐車場における防水の種類

自走式立体駐車場で用いられる主な防水の種類は、以下の2つです。

● 塗膜防水剤
● 浸透性防水剤

それぞれ順に解説していきます。

塗膜防水剤

塗膜防水は、防水材を塗布することで防水層を形成する工法です。 比較的安価で施工しやすく、様々な場所に使用できます。 しかし、耐久性や耐候性に劣る場合があり、定期的なメンテナンスが必要です。

浸透性防水剤

浸透性防水剤は、コンクリート内部に浸透し、防水層を形成する工法です。 コンクリートの強度を向上させる効果もあり、耐久性や耐候性に優れています。 また、見えない内部を強化してくれる効果もあります。塗膜防水材に比べて費用は高めですが、長期的に考えると割安と考えてよいでしょう。

自走式立体駐車場における防水改修工事の流れ

自走式立体駐車場における防水改修工事の流れ

自走式立体駐車場の防水改修工事は、以下の流れで進められます。

● 調査・見積もり
● 工法選定・計画
● 見積もり・契約
● 下処理
● 浸透性防水材塗布
● 検査・確認

それぞれ順に解説していきます。

調査・見積もり

専門業者に依頼し、建物の劣化状況や漏水箇所などを調査してもらいます。主な調査内容は以下のとおりです。

調査内容詳細
目視調査ひび割れ、漏水箇所、白華現象(エフロレッセンス)、汚れなどの劣化状況を目視で確認
打診調査テストハンマーなどを用いて打診し、浮きや空隙の有無を確認
含水率測定含水率計を用いて、コンクリートの含水率を測定
コア抜き調査必要に応じて、コンクリートコアを採取し、劣化状況や強度を詳細に調査
図面確認既存の図面を確認し、構造や仕上げ材の種類を把握
調査結果に基づき、浸透性防水剤による改修が適切かどうかを判断します(適用可否判断)。 また、調査に基づき適切な工法や費用の見積もりを出してもらいましょう。

工法選定・計画

調査結果や予算などを考慮し、最適な防水工法を選定します。その後、以下についての計画表や工程表を作成します。

● 防水工法の選定
● 施工範囲の決定
● 工程表作成
● 工事期間の決定

全面施工、部分施工、ひび割れ重点施工など、状況に適した施工と浸透性防水剤を選定しましょう。

見積もり・契約

選定した工法や計画に基づいて、正式な見積もりを提示してもらいます。費用と条件を確認後、問題なければ契約の締結に進みましょう。

下処理

防水工事を行う前に、下地処理を行います。具体的には、既存の防水層の撤去や清掃、ひび割れの補修などです。また、高圧洗浄機を用いて、コンクリート表面の汚れ、脆弱部分、レイタンス、油分などを徹底的に除去します。 0.3mm以上のひび割れは、Uカット処理やVカット処理を行い、シーリング材やエポキシ樹脂などで補修。 0.3mm未満の微細なひび割れは、浸透性防水剤で対応できる場合もあります。コンクリートの欠損部分は、樹脂モルタルなどで補修。 また、必要に応じて、表面を研磨したり、特殊な処理剤を使用したりすることで、浸透性防水剤の浸透を促進させます。

浸透性防水剤塗布

下処理後、浸透性防水剤を数回に分けて塗布します。均一に塗布し、十分な時間をかけて乾燥させます。下地の状態や使用する浸透性防水剤によっては、プライマー処理が必要な場合もあるでしょう。 塗布の方法は、選定した浸透性防水剤を、刷毛、ローラー、スプレーなどを用いて、規定量を塗布します。 浸透性防水剤は、多くの場合、複数回(2~3回)塗布することで、十分な防水効果を発揮します。塗布後は、所定の養生期間が必要です。 浸透性防水剤の効果を持続させ、美観を向上させるには、トップコートの塗布が有効です。特に、歩行や車両の通行が多い場所では、トップコートの塗布が推奨されます。

検査・確認

防水層の施工後、検査を行い、問題がないか確認します。場合によっては、補修や修正が必要です。 検査は、施工会社による自主検査と管理者による検査の2種類があり、それぞれ仕上がりを確認します。 必要に応じて散水試験を実施し、防水効果を確認したら、清掃し引き渡します。その後は定期点検を実施して、防水の状態を確認していきましょう。

自走式立体駐車場についてはstageWにお任せください

自走式立体駐車場についてはstageWにお任せください

自走式立体駐車場の防水対策は、建物の寿命や利用者の安全に関わる重要な要素です。 適切な防水対策を施すことで、長期的に安心して利用できる駐車場建設が実現できます。

stageWでは、自走式立体駐車場の設計・施工からメンテナンスまで、トータルでサポートしています。 その他ご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


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