ただ車を停めるだけの場所ではなく、そのほかの用途に使えることで自走式立体駐車場が注目されています。
車両の保管・駐車以外に、防災拠点やイベント会場など、多岐にわたる用途に活用できるのが特長です。
この記事では、自走式立体駐車場の主な用途や今後の可能性、よくある質問などを解説します。
自走式立体駐車場の導入を検討している方や、その多機能性について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
自走式立体駐車場の主な用途と特徴

自走式立体駐車場は、従来の平面駐車場とは異なり、立体的な構造を持つため、限られたスペースに多数の車両を収容できます。
● 車両保管・駐車
● 防災拠点としての活用
● イベント会場やコミュニティスペース
主な用途と特徴について見ていきましょう。
車両保管・駐車
自走式立体駐車場の主な用途は、車両の保管・駐車です。都市部や商業施設など、駐車スペースの確保が難しい場所で、その能力を発揮します。
公共施設も同様で、利用者が多いため多くの車両が収容できる自走式立体駐車場は適しています。
また、自走式立体駐車場は、利用者が自ら運転して駐車スペースまで移動できるため、機械式立体駐車場のような待ち時間がありません。
入出庫の際に係員を配置する必要がなく、24時間利用できるため、利便性が高いといえます。月極や時間貸しなど、同じ駐車場内で顧客の要望に応じて利用できるのもメリットです。
一方、自走式立体駐車場は、建設コストが比較的高いというデメリットがあります。しかし、土地の有効活用や人件費の削減など、長期的な視点で見るとコストメリットは大きいといえるでしょう。
駐車場の設計・施工にあたっては、安全性の確保や利用者の利便性などを考慮し、適切な計画を立てることが大切です。
防災拠点としての活用
近年、自走式立体駐車場を防災拠点として活用する事例が増えています。災害時には、駐車場の一部を緊急車両の駐車スペースや物資の保管場所として利用することが想定されています。
また、自走式立体駐車場は、耐震性や耐火性に優れた構造を持つものが多く、災害時の避難場所としても期待されているのです。実際に、津波や大雨などの大規模災害時に、地域住民の避難場所として活用された事例もあります。
令和3年3月に道路法が改正され、広域災害応急対策の拠点として、道の駅や高速道路のサービスエリアの駐車場が「防災拠点自動車駐車場」として指定されました。それに対して、自走式立体駐車場の場合は「津波避難ビル」としての役割が期待されています。
ただし、防災拠点として活用するためには、事前に自治体や地域住民との連携、災害時の運用計画を策定しておく必要があります。
参照:内閣府|津波避難ビル等を活用した津波防災対策の推進について
イベント会場やコミュニティスペース
自走式立体駐車場の屋上部分や空きスペースを、イベント会場やコミュニティスペースとして活用する事例も増えています。 地域のお祭りや花火大会、フリーマーケットなど、駐車場の広いスペースが役立ちます。 例えば、都内最大級のフリーマーケット「Tokyo City Flea Market」は、大井競馬場第1駐車場で毎週末開催されています。多いときは出店数が600点にもなる人気ぶりです。 このように、地域住民の交流スペースや休憩スペースとして活用することで、コミュニティの活性化にも貢献できます。
今後の自走式立体駐車場の可能性

自走式立体駐車場は、今後の技術革新や社会ニーズの変化に伴い、さらなる進化が期待されています。ここでは、今後の可能性について見ていきましょう。
AI・IoT技術との連携
AI・IoT技術と連携すれば、自走式立体駐車場の利便性や安全性をさらに向上できます。例えば、AIを活用した空きスペースの予測や、IoTセンサーを用いた車両の安全管理などが考えられます。 また、AIを活用した自動運転技術と連携すれば、利用者は駐車スペースまで運転する必要がなくなり、よりスムーズな入出庫が可能になるでしょう。 ただし、AI・IoT技術を導入するためには、システムの開発や運用コスト、セキュリティ対策などを考慮する必要があります。 国土交通省の「スマートシティ官民連携プラットフォーム」では、スマートシティの実現に向けた技術開発や実証実験を推進しており、自走式立体駐車場もその対象となり得るでしょう。
グリーンインフラとの融合
自走式立体駐車場の屋上や壁面を緑化することで、都市部のヒートアイランド現象の緩和や、生物多様性の保全への貢献が期待できます。 また、太陽光発電システムの導入で、再生可能エネルギーによる自前エネルギーでの運営が可能です。雨水貯留施設を設置すれば、雨水の有効活用や浸水被害の軽減にもつながります。 自走式立体駐車場とグリーンインフラを融合させることで、環境負荷の低減や快適な都市空間の創出に貢献できるでしょう。
都市開発への貢献
自走式立体駐車場は、都市開発における活性化に役立つと期待されています。例えば、駅前や商業施設周辺に自走式立体駐車場を整備すれば、駐車場の集約化や歩行者空間の拡大が可能です。
また、自走式立体駐車場と商業施設や住宅を一体的に開発すると、新たな複合施設の創出にもつながるでしょう。
国土交通省の「都市再生特別措置法」では、都市再生の実現に向けた取り組みを推進しています。
都市開発における課題解決や新たな価値創造に、自走式立体駐車場が貢献できる場面は少なくありません。
参照:国土交通省|都市再生特別措置法に基づく 駐車場の配置適正化に関する手引き
自走式立体駐車場の用途に関するよくある質問

自走式立体駐車場の用途に関するよくある質問についてまとめました。
自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の違いは?
自走式立体駐車場は、利用者が自ら運転して駐車スペースまで移動するのに対し、機械式立体駐車場は、機械装置によって車両を昇降・移動させます。 また、自走式立体駐車場は、入出庫に時間がかからず、24時間利用できるのがメリットです。ただし建設コストが高いというデメリットもあります。 一方、機械式立体駐車場は、都市部などの土地が限られている場所に活用できます。デメリットは、入出庫に時間がかかるのに加え、メンテナンスの手間と費用がかかる点です。 それぞれメリットとデメリットがあるので、建設の際には、土地や予算、ニーズに合わせて選ぶ必要があります。
自走式立体駐車場は、駐車場以外の用途で利用できますか?
自走式立体駐車場は、駐車場以外の用途でも利用可能です。例えば、災害時には防災拠点として、普段はイベント会場やコミュニティスペースとして活用できます。
具体的には、災害時に以下のような活用方法があります。
具体的には、災害時に以下のような活用方法があります。
● 医療スペース:トリアージスペースや応急処置スペース
地域社会での活用方法としては以下のような用途があります。
● イベントスペース:屋上をフリーマーケットや地域のお祭りに利用
● 緑化スペース:屋上や壁面を緑化
安全に利用してもらうため、転落防止柵や照明などを整える必要があります。また、消防法やバリアフリー法など法的規制を遵守して、必要な設備も整えましょう。
国土交通大臣認定とはどのような駐車場ですか?
国土交通大臣認定とは、国土交通大臣が認定した性能評価機関が駐車場の性能を評価・認定する制度です。これまでの建築基準法は使用規定のみでした。それが2000年(平成12年)の建築基準法の改正により性能規定も加わり、多様な建築材料や構造方法の導入が可能となりました。各種構造方法の性能が建築基準法で要求する水準に達しているかを認定する制度が、国土大臣認定制度なのです。
国土交通大臣認定を受けた駐車場は、耐震性や耐火性、安全性が高いと認められています。
参照:国土交通省|都市再生特別措置法に基づく 駐車場の配置適正化に関する手引き
自走式立体駐車場は、環境対策にどのように貢献できますか?
自走式立体駐車場は、屋上や壁面の緑化、太陽光発電システムの導入、雨水貯留施設の設置などにより、環境対策に貢献できます。 再生可能エネルギーの利用、雨水の有効活用など、立体駐車場の建物を生かした環境対策が可能です。 積極的に取り組むメリットとしては、企業イメージの向上や投資家からの支持を得られるなどが挙げられます。
自走式立体駐車場についてはstageWにお任せください

この記事では、自走式立体駐車場の主な用途や今後の可能性、よくある質問などを解説しました。
StageWでは、お客様のニーズや敷地条件に合わせて、最適な自走式立体駐車場を提案しています。
設計から施工、メンテナンスまで、ワンストップで対応可能です。自走式立体駐車場の導入を検討している方や、疑問点・不明点がある方は、お気軽にお問い合わせください。