近年、都市部を中心に増加している自走式立体駐車場ですが、その多くは機能性を重視したシンプルな構造となっています。
自走式立体駐車場を緑化することで見た目の美しさだけでなく、都市環境の改善や地域住民への貢献など、さまざまなメリットが生まれます。
本記事では、自走式立体駐車場を緑化する目的、方法、そして具体的なメリット・注意点について詳しく解説します。
自走式立体駐車場の建設を検討中の方や現在運営している自走式立体駐車場の緑化を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
自走式立体駐車場の緑化とは?

自走式立体駐車場の緑化とは、屋上、壁面、そして周辺エリアに植物を植え、緑豊かな空間を創出する取り組みです。 この取り組みは、単に見た目の美しさを追求するだけでなく、都市が抱える環境問題への対策としても注目されています。ここでは、緑化の目的と方法について解説します。
緑化の目的
緑化の主な目的は、都市部の緑地を増やし、自然環境を改善することにあります。自治体の緑化施策の一環として、ガイドラインが策定されたり助成金を設けていたりします。
脱炭素社会の実現という最終目標はありますが、それに付随する緑化の目的を以下のとおりまとめました。
● ヒートアイランド現象の緩和
● 大気浄化
● 都市環境の改善
● 都市景観の向上
● 緑陰の提供
● 駐車場内の温度上昇抑制
このように、緑化による効果により、地球温暖化対策への貢献や地域住民の生活環境の質の向上が期待できます。
さらに、生物多様性の保全にも寄与し、その結果として都市における生態系の回復を促す効果も期待できるかもしれません。
参照:国土交通省街づくりGX(脱炭素化などの推進)
緑化の方法
緑化の方法は多岐にわたりますが、具体的な方法として以下のようなものがあります。
● 屋上に植物を植え庭園スペースを設ける
● 壁面に緑化パネルを設置する
● 空きスペースに植栽帯を設ける
● プランターを設置する
緑化とひと口に言っても、それぞれの駐車場の構造や環境条件に合わせて最適な方法を選択する必要があります。
屋上緑化では、軽量土壌の選定、防水対策、植物の選定などが重要なポイントです。
壁面緑化では、つる性植物の利用や緑化ユニットの利用など、適したアイテムを選定する必要があります。
自走式立体駐車場緑化のメリット

自走式立体駐車場を緑化することにより、都市環境、地域社会、そして企業自体にも多くのメリットが生まれます。ここでは、緑化によるメリットを5つ紹介します。
ヒートアイランド現象の抑制
緑化による最大のメリットの一つは、ヒートアイランド現象の抑制です。都市部では、コンクリートやアスファルトが太陽光を吸収し、熱を蓄積するため気温が上昇します。 しかし、緑化によって、植物の蒸散作用が働き、周辺温度を下げる効果が期待できるでしょう。 和歌山大学工学部による屋上緑化された立体駐車場の屋内温熱環境の解析によれば、 屋上緑化されたほうが明らかに平均気温が数度低下したと報告されています。
景観の向上と地域価値の向上
緑豊かな駐車場は、シンプルな造りの駐車場に比べて、見た目にも美しく、周辺環境の景観を向上させる効果が期待できます。 緑化されたスペースは、地域住民の憩いの場となるだけでなく、地域のイメージアップにもつながり、不動産価値の向上にも寄与するでしょう。
雨水の吸収と都市型洪水の軽減
屋上や壁面を緑化することで、雨水を一時的に貯留し、ゆっくりと排水する効果が得られます。植物の根と土が雨水を蓄え、流出量を抑制するためです。 都市部で問題となっている集中豪雨による洪水被害を軽減するために、屋上緑化の効果に関する研究も進められています。 雑草管理や植栽の刈り込みなどのメンテナンスが必要なため、手間と費用が発生することを考慮のうえ、検討してみましょう。
大気浄化
植物は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出するだけでなく、植物の葉は粉塵や有害物質を吸着し、大気中の有害物質を浄化する効果もあります。 車両が出す排気で空気が汚れがちな駐車場ですが、緑化により大気汚染の改善に貢献できるでしょう。地域住民の健康を守るうえでも重要な役割を果たします。 特に都市部では、自動車の排気ガスによる大気汚染が深刻化しているため、緑化による大気浄化の効果は非常に大きいといえます。
企業のイメージアップ
環境問題への関心が高まる中、企業の環境対策は社会的な評価につながります。 自走式立体駐車場の緑化は、企業の環境への取り組みを具体的に示すよい機会となり、企業のイメージアップに大きく貢献するでしょう。 また、緑化を通じて地域環境の保全にも貢献でき、地域住民からの評価向上も期待できます。
自走式立体駐車場緑化の注意点

緑化を成功させるためには、さまざまな視点から十分に検討する必要があります。ここでは、主な注意点を4つ紹介します。
屋上緑化の設計ポイント
屋上緑化では、植物の選定や土壌層の設計が重要です。建物の構造に影響を与えないように、長期的な耐久性が得られるよう配慮しましょう。軽量な土壌を使用し、防水シートや排水設備を適切に配置することも重要です。 植物の選定も、地域の気候や日照条件に合わせて慎重に行いましょう。日影がないため、耐乾性の高い植物がおすすめです。加えて、防水対策や排水計画も重要なポイントです。
壁面緑化とその技術
壁面緑化では、建物の壁面に負担をかけないよう、専用のパネルやネットを使用して植物を壁面に配置する手法が一般的です。壁面緑化は、立体駐車場の外観を自然と調和させるだけでなく、断熱効果も期待できます。 ただし、植物の成長に合わせて定期的なメンテナンスが必要です。 自動灌漑システムを導入すれば、メンテナンスを最小限に抑えることが可能ですが、専門サービスを提供している事業者に依頼することをおすすめします。
周辺エリアの緑化とコミュニティスペースの創出
駐車場周辺の緑化では、地域住民のニーズを考慮し、誰もが利用しやすいコミュニティスペースを創出するとよいでしょう。 そうすることで、駐車場が単なる車の収納場所ではなく、地域交流の場としての役割を果たすのです。地域住民と協力して、植栽計画やイベントを企画するなどもおすすめです。
初期費用と維持費用
緑化には、初期費用だけでなく、長期的な維持費用もかかります。費用対効果を十分に検討し、持続可能な緑化計画を立てましょう。 維持費用を抑えるために、地域のボランティアと協力したり、維持管理しやすい植物を選んだりするなどの工夫も重要です。
自走式立体駐車場についてはstageWにお任せください

自走式立体駐車場の緑化は、専門的な知識と技術が必要です。StageWでは、お客様のニーズに合わせて、最適な緑化計画をご提案します。
緑化に関するご相談やご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。