近年、地球温暖化の影響もあり、日本各地で地震、台風、豪雨などの自然災害が頻発しています。
これらの災害は、私たちの生活基盤を脅かし、時には命をも奪うことがあります。
特に都市部では、人口が密集しているため、災害発生時の被害が甚大になる可能性が少なくありません。
このような状況下で、災害対策の重要性はますます高まっており、その一環として、自走式立体駐車場を災害対策に活用する方法が注目されています。
本記事では、災害時に活用できる自走式立体駐車場の特徴や具体的な活用事例、そして津波避難ビルとの違いについて解説します。
自走式立体駐車場のオーナー様や建設を検討している事業者様は、ぜひ参考にしてください。
災害時に活用できる自走式立体駐車場の特徴

自走式立体駐車場は、その構造や特徴から、災害時に多岐にわたる活用が期待できます。災害時に活用できる自走式立体駐車場の利用方法を3つ紹介します。
● 避難場所としての利用
● 物資保管や救援活動の拠点としての利用
● 医療現場の緊急スペースとしての利用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
避難所としての利用
自走式立体駐車場は、広い空間と強固な構造を有するため、災害時の避難場所として非常に有効です。 特に、高層の駐車場は、津波や洪水などの浸水被害から高所へ避難するための安全な場所となります。 また、駐車場内部は比較的閉鎖された空間であるため、雨風をしのぎ、一時的な生活スペースとしての利用も可能です。
物資保管や救援活動の拠点としての利用
災害時には、救援物資の一時保管場所として自走式立体駐車場が活用されるケースがあります。 広い駐車スペースは、大型トラックや緊急車両の待機場所としても適しており、地域の防災拠点として重要な役割を果たせます。 駐車場内の空きスペースは、災害用備蓄品(食料、水、毛布、医薬品など)の保管場所として活用可能です。災害発生時に迅速な物資供給に役立つでしょう。 さらに、駐車場の一部を救援活動の拠点として利用すれば、医療チームやボランティアの活動スペース、情報集約場所、通信基地など、多機能な役割が期待できます。
医療現場の緊急スペースとしての利用
自走式立体駐車場は避難場所や災害拠点としての機能だけでなく、医療現場の補助としても期待されています。 大規模災害時には、医療機関が患者で溢れかえり、医療機能が麻痺する事態も予想されます。自走式立体駐車場は、このような状況下で仮設の医療スペースとして利用可能です。 シートや鋼板製の仮設間仕切り壁を設置することで、避難場所や仮設の診察・検温施設として活用できます。
災害時における自走式立体駐車場の活用事例

地震や大雨などの災害時における自走式立体駐車場の活用事例を紹介します。
東日本大震災
東日本大震災では、沿岸部の多くの建物が津波で流失しましたが、一部の自走式立体駐車場は津波の被害を免れただけでなく、住民の避難場所にもなりました。 国土交通大臣認定の自走式立体駐車場は、火災発生時のフラッシュオーバー防止のために外壁がない構造になっています。 それが津波の被害が少なかった理由のひとつです。駐車場内には、地域住民が集まり、情報交換や助け合いが行われました。 また、自衛隊や救援隊の活動拠点としても利用され、物資の集積や輸送に貢献したのです。
福井大雨時の避難場所
福井市では、商業施設や遊技施設の駐車場を避難先とする災害時応援協定を締結しています。 地震時には平面駐車場、洪水時には自走式立体駐車場を避難場所として開設し、近隣住民が利用できるようになっているのです。 締結している施設には、パチンコ店やショッピングモールなどがあります。
全国の取り組み状況
2011年(平成23年)に「津波対策の推進に関する法律」が制定され、国や自治体に対し、防波堤や避難施設の整備、迅速な避難の確保、観測体制の強化などを求められるようになりました。
取り組みの一部として、津波避難ビルを指定するなどがあります。商業施設に併設された自走式立体駐車場も、その対象となっています。
参照:内閣府|指定緊急避難場所の指定に関する手引き
津波避難ビルとは

津波避難ビルとは、津波浸水予想地域内において、地域住民等が一時避難・退避等の避難行動を行うための施設(人工構造物に限る)のことです。 その条件について、内閣府の波避難ビル等に係る事例集津に基づき解説します。
一定の高さ以上の建物
津波避難ビルは、地域の津波浸水想定に基づいた高さが必要です。国土交通省は、各都道府県に対して津波浸水想定区域図を作成し、公表するよう義務付けています。 津波浸水想定区域図には、津波の高さや浸水範囲、浸水継続時間などが記載されています。その基準に合わせて、各地域における津波避難ビルの高さが定められているのです。 静岡の事例では、民間の立体駐車場を津波避難ビルに指定し、津波発生時の緊急避難場所として屋上スペースを確保しています。
鉄筋コンクリート造
津波避難ビルは、建物の高さだけでなく、基礎部分の強度も重要です。津波の衝撃に耐えられるよう、強固な基礎構造であることが求められます。 鉄筋コンクリート造は、圧縮力と引張力に強く、津波の衝撃に耐えられる構造です。 そのため津波避難ビルは、鉄筋コンクリート造の中でも、特に強度が高い構造であることが求められるのです。また、津波避難ビルは、建物の外壁も重要です。 津波の浸水や漂流物の衝突から建物を守るため、耐久性の高い外壁材を使用する必要があります。
バリアフリー・十分な避難スペース
津波避難ビルは、高齢者や障がい者など、配慮が必要な方が利用しやすいよう、バリアフリー設計であることが望ましいとされています。
その点、自走式立体駐車場は、エレベーターが完備されていることが多く、車いすの方や高齢者も無理なく上の階まで登れるのがメリットです。
もし停電したとしても、自走式立体駐車場はスロープを利用すれば上の階まで車いすを押して上がる、もしくは自分の足で登っていけるでしょう。
避難する際は、避難者が安全に過ごせるように、十分な広さの避難スペースを確保しなければなりません。
消防庁は、避難者一人当たり1㎡程度と定めていますが、この数値はあくまでの臨時の避難スペースといえます。
長期の避難を想定するなら、2㎡程度を想定しておく必要があるでしょう。
参照:内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)付|特定臨時避難施設の技術ガイドライン (令和6年3月)
参照:消防庁|第2章市町村における津波避難計画策定指針
防災設備
災害時の避難を想定して、防災備品を常時収納しておくとよいでしょう。停電時に照明や情報収集機器を使用できるよう非常用電源も備えておきたいものです。
屋上や壁面に太陽光パネルを設置しておくと、非常時の電源確保はもちろんのこと通常の電力も補えます。
防災備品として以下のようなものがあります。ぜひ参考にしてください。
救急セット・AED・担架・ヘルメット・作業手袋・懐中電灯・ロープ・バール・消火器・食料品(缶詰、レトルト、アルファ米)・
水・ペットボトル水・ブランケット・簡易トイレ・トイレットペーパー・ウェットティッシュ・ゴミ袋・
ブルーシート・段ボール(間仕切りや目隠しのため)・バッテリー・筆記用具・非常用発電機・発電機・モバイルバッテリー・投光器
自走式立体駐車場についてはstageWにお任せください

自走式立体駐車場は、平時には駐車スペースとして利用しながら、災害時には人々の命を守る重要な役割を担えます。
過去の災害において、実際に避難場所や物資保管場所、医療現場の補助など、多岐にわたって活用されています。
近年では全国的に、災害対策としての自走式立体駐車場の活用が進んでおり、地方自治体との連携や、津波避難ビルとしての指定も進んでいるのです。
StageWは、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーです。耐震性・耐久性に優れた津波避難ビルとしての活用が可能な自走式立体駐車場を提供しています。
災害に強い自走式立体駐車場をお考えの方は、ぜひStageWにご相談ください。