近年、大規模な自然災害が頻発する日本において、避難所の確保は喫緊の課題です。
そんななか、従来の公民館や学校以外の新たな避難所として、自走式立体駐車場が注目されています。
本記事では、自走式立体駐車場が避難所として活用される理由や具体的な活用方法、災害時に期待される活用事例を紹介します。
自走式立体駐車場の建設を検討されている方は、その広範囲な活用方法をご覧ください。
自走式立体駐車場が避難所として注目される理由

自走式立体駐車場は、その構造と特性から、災害時の避難所として高いポテンシャルを持っています。避難所として注目される理由を以下の5つにまとめました。
耐久性と安全性の確保
自走式立体駐車場は、一般的に鉄筋コンクリートや鉄骨構造で建設されており、地震や台風などの災害に対する耐久性が高い点が特長です。
災害時でも施設が損壊しにくく、安全な空間を提供できます。また、多層構造のため、浸水のリスクを回避するために高い階層を避難所として利用できるのもメリットです。
熊本地震の建築物被害調査報告でも、鉄筋コンクリート造の立体駐車場は倒壊などの被害を免れています。
参照:国土交通省国土技術政策総合研究所|平成28年熊本地震建築物被害調査報告
広いスペースの提供
立体駐車場は広い駐車スペースを持つため、災害時には多くの避難者を受け入れられる点も理由のひとつです。 災害時には、広い駐車スペースが避難者の収容場所や物資の保管場所としての活躍が期待できます。 さらに、駐車区画を仕切りとして活用することで、プライバシーを確保できる避難スペースの設置も可能です。
雨風を防げる屋根付きエリア
自走式立体駐車場は、屋上以外は屋根付きのエリアとなり、一時的に雨風をしのげます。 火災防止の構造上、壁がないため冷暖房はありませんが、避難者にとって一旦は安心できる状況を提供できます。 支援物資の一時保管場所としても、雨ざらしを避け、安全性の高い場所として利用可能です。
インフラとしての活用
自走式立体駐車場には、電気や水道などのインフラが整備されている場合が多く、避難生活に必要な最低限の設備が整っています。 太陽光パネルを備えている場合は、非常用電源としての役割も果たせるでしょう。
バリアフリー
2006年に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(通称:バリアフリー法)により、ほとんどの自走式立体駐車場ではバリアフリー設計が施されています。 そのため、高齢者や障がい者も安心して利用できます。 エレベーターが使用できない場合も車両用のスロープを利用して登れるため、車での避難だけでなく、徒歩での避難者も利用可能です。
自走式立体駐車場を避難所として活用する際のポイント

自走式立体駐車場を避難所として活用する際のポイントを5つ紹介します。
● 施設の選定
● 避難経路の明示と安全確保
● 地域との連携と地域住民への周知
● 利用計画の策定
● 非常用設備の設置と備蓄品の確保
それぞれ詳しく見ていきましょう。
施設の選定
避難所として利用可能な自走式立体駐車場かどうかを決めるには、施設の耐震性や安全性、収容人数、周辺環境などを考慮する必要があります。 また、避難経路の確認や避難所への案内表示の設置も重要です。電気、水道、トイレなどのインフラ整備についても確認しましょう。
避難経路の明示と安全確保
災害時に混乱を防ぐため、駐車場内の避難経路を明示しておきましょう。具体的には、避難経路の標識設置や誘導員の配置、夜間の照明確保などが挙げられます。 日々の小さな取り組みが、スムーズな避難を実現できます。また、階層間のスロープでの避難を想定して、滑り止めをつけるなどの対策も講じておきましょう。
地域との連携と地域住民への周知
自走式立体駐車場を避難所として有効に活用するためには、自治体や地域コミュニティとの連携が不可欠です。
次のような取り組みで地域住民に周知させていきましょう。
● 自走式立体駐車場が避難所であることを地域住民に周知させる
● 避難経路や避難所、緊急連絡先などを定期的に周知させる
● 地域住民向けの防災訓練を実施して避難方法や注意点などを共有する
周知活動は、数か月に1回もしくは毎年など、一定の頻度で定期的に行いましょう。
利用計画の策定
事前に避難所としての利用計画を策定し、災害時の役割分担や運営体制を明確にしましょう。 具体的には、避難者の受け入れ体制や物資の配給計画、避難後の生活支援計画などが挙げられます。 また、施設の管理者と連携し、避難者の受け入れ体制や避難誘導方法などを事前に協議しておきましょう。 災害発生時の情報共有や協力体制を構築しておくことで、本当の災害時に役立ちます。災害の種類や規模に応じて、適切な利用計画を策定するとよいでしょう。
非常用設備の設置と備蓄品の確保
避難所として活用するには、非常用トイレや水、食料、毛布などの備蓄品を事前に備える必要があります。 非常用の発電機や照明設備の設置は、停電時でも避難者が安心して過ごすために重要です。
災害時に避難所として期待される自走式立体駐車場の具体例

避難所として期待される自走式立体駐車場の具体例を紹介します。
● パチンコ店の駐車場
● 海浜部の公園駐車場
● 病院の併設駐車場
それぞれ詳しく見ていきましょう。
パチンコ店の駐車場
科学技術振興機構(JST)が運営する日本の電子ジャーナルプラットフォームであるJ-STAGEの
「災害対応力の向上に向けた駐車場のコミュニティ避難拠点としての活用可能性に関する研究」によると、駐車場施設の選定にあたって4つの要件を示しています。
● すぐ復旧しなくても大丈夫か
● 大規模の単独施設である
● 大規模駐車場を持つ施設
● コミュニティレベルの施設
この要件に最もあてはまるのが娯楽施設です。そのなかでも詳細な条件に合うのがパチンコ店の駐車場だとわかりました。
地震や津波時の収容可能人数を換算してみると、名古屋市の場合で9万人と大規模です。
参照:災害対応力の向上に向けた 駐車場のコミュニティ避難拠点としての活用可能性に関する研究
海浜部の公園駐車場
海浜部の公園駐車場は、津波などの災害時に高台へ避難できる空間として活用するよう推奨されています。 緊急時に屋上に駆け上がれば、被害を最小限にとどめられるでしょう。通常は、駐車場と屋上緑化などで人々の憩いの場として親しんでもらい、津波時は避難所として利用します。
病院の併設駐車場
十分な広さを確保できる立体駐車場は、第二のトリアージスペースとして活用可能です。 シートや鋼板製仮設間仕切りを設置すれば、仮設の診察・検温施設として機能します。太陽光パネルを設置しておけば、緊急電源の確保にも役立つでしょう。
自走式立体駐車場についてはstageWにお任せください

StageWでは、お客様のニーズに合わせて、避難所としての活用も考慮した自走式立体駐車場を設計・施工いたします。
耐震性や安全性はもちろん、地域コミュニティの拠点としての機能や備蓄倉庫としての機能、車中泊スペースの提供など、
多機能な自走式立体駐車場をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。