立体駐車場で太陽光パネルを設置するケースが増えている理由
なぜ自走式立体駐車場に太陽光パネルを設置するケースが増えているのか。その理由を次の3つにまとめました。
● カーボンニュートラルへの貢献を求められている
● 環境配慮型にすることが求められている
● 災害時にも強いことが求められている
順に見ていきましょう。
企業はカーボンニュートラルへの貢献を求められている
2015年のパリ協定をきっかけに、地球温暖化を防ぐために120か国以上の国が「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。その流れを受けて日本も2020年に「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。世界的なカーボンニュートラルの潮流を受けて、国内でも2050年までにカーボンニュートラルを目標とする企業が増えています。
画像引用:環境省|脱炭素ポータル
2021年6月に改正された地球温暖化対策推進法では、2050年までにカーボンニュートラルを実現させることを基本理念に掲げ、脱炭素社会を実現すると明記しています。
地方創生につながる再生エネルギーの導入や、企業の温室効果ガス排出情報をオープンデータ化することなどを企業に課しています。
より詳しく知りたい方はこちら
<ダイジェスト版>脱炭素経営で企業の新たな強みを創ろう
制作:環境省
施設も環境配慮型にすることが求められている
経済産業省と環境省がおこなうカーボンニュートラルのための具体的な施策は、次のとおりです。● 電気自動車や燃料電池車の導入
● 温室効果ガスの排出削減に役立つ製品やサービスの開発
● エネルギー消費効果の高い設備への更新
● 脱炭素に有益なリース事業者の優遇
● 太陽光発電の導入
以上のような施策に取り組む企業は、利子の優遇や補助金を受けられます。補助金は、通常であれば補助率1/2まで、自治体連携型であれば2/3までを限度額として受給可能です(併設する蓄電池であれば1/3)。
参照:経済産業省&環境省|カーボンニュートラル支援策
災害時にも強いことが求められている
自走式立体駐車場は、東日本大震災において倒壊せずに残った建築物のひとつです。耐震性を考慮した設計になっていること、広い敷地を有していることにより、避難場所としても使用されました。ほかにも自走式立体駐車場には、次のような災害時におけるメリットがあります。
● 火災時に強い
● 大人数を収容できる
● 広めのスロープが車いすでも移動しやすい
● 支援物資の発着地点になる
国土交通大臣の認定品であれば、外壁を設けない解放された構造になっており、火災発生時のフラッシュオーバーを防止できます。停電時にも稼働可能かつ、シンプルで頑丈な構造のため、被災後でも早期の再利用が可能です。
立体駐車場に太陽光パネルを設置するメリット5選
自走式立体駐車場に太陽光パネルを設置するメリットは次の5点です。
● メリット1.光熱費の削減
● メリット2.非常用電源の確保
● メリット3.カーボンニュートラルへの貢献
● メリット4.企業イメージアップ
● メリット5.補助金による建設費削減
メリット1.光熱費の削減
駐車場内での使用電力を自家発電で充足できるため、光熱費の削減に貢献してくれます。余剰電力が発生する場合は、隣接する自社施設での使用やEV充電などに使用可能です。メリット2.非常用電源の確保
災害時に停電した場合、太陽光発電は緊急用電源として使用できます。これはBCP(事業継続計画)の機能強化につながるため、経営上大きなメリットとなるでしょう。BCPとは、中小企業が自然災害や感染症などの影響を受けずに事業を継続するための計画です。緊急事態に遭遇した場合に、事業を継続したり迅速な復旧をおこなったりするための方針・体制・手順などを定めています。
経済産業大臣の認定がもらえれば、税制優遇・低利融資・補助金の審査において加点されるなどのメリットがあります。
メリット3.カーボンニュートラルへの貢献
屋上や壁面に太陽光パネルを設置するだけで、カーボンニュートラルへ貢献できます。新たな土地開発が不要なうえ、EV充電設備を設置するだけで電気自動車普及促進が可能です。そのため、企業への負担は少なくすむはずです。さらに「地球温暖化対策の一環として二酸化炭素を排出しない取り組みをしている企業」として企業価値もアップするでしょう。綿半ソリューションズが取り組む環境配慮型立体駐車場の事例などは、こちらの記事で詳しく解説しています。参考にしてみてください。
環境配慮型駐車場の事例はこちら
メリット4.企業イメージアップ
「カーボンニュートラル」や「脱炭素社会」は、政府を挙げた取り組みのため、すでに認知度は約7割を超えています。テレビや雑誌などのメディアに取り上げられた場合、企業やブランドの知名度を上げる効果があるはずです。環境省は功績があった団体を「気候変動アクション環境大臣表彰」で表彰しています。その実績を企業ホームページに掲載するだけでもイメージアップ効果があるでしょう。同業者との差別化や社員のモチベーションアップ、人材獲得力向上などに貢献するといった効果が期待されます。
メリット5.補助金による建設費削減
太陽光パネルの設置によって補助金を受けられる可能性があり、建設費用の一部として利用することでコスト負担は大幅に減ります。これは、国・自治体が補助金で太陽光設置を後押ししていることが背景にあります。補助金については、次の項目で詳しく解説しています。太陽光パネル設置に利用できる補助金制度について
実際に太陽光パネルを設置する際、利用できる補助金制度について次のようにまとめました。
● 国や自治体の太陽光に関する補助金制度
● 補助金を利用するメリット
● 補助金を利用する際の注意点
● PPAモデルやリース契約もある
順に見ていきましょう。
国や自治体の太陽光に関する補助金制度
太陽光パネルを設置する場合は国や自治体の補助金が利用できます。補助金は年度ごとに予算が決まっており、目標金額に達すると終了します。そのため早めに利用できる補助金制度をチェックしておきましょう。補助金を利用するメリット
補助金を利用すれば次のようなメリットがあります。● 導入費用の軽減
● 電気料金の削減
● 環境負荷の低減
オーナーの負担軽減に役立つことばかりですから、もし太陽パネルの設置を検討しているのであれば、利用できる補助金を調べておきたいものです。
補助金を利用する際の注意点
補助金を利用する際は次のような点に注意しましょう。● 交付要綱をよく確認する
● 補助金は予算に達すると受付が打ち切られる
● ほかの補助金と併用できない
● 契約前に申請が必要
● 設置後に定期報告が必要
設置したあとの申請ができない場合もあり、補助金の申請前に詳細を調べておくことで失敗を防ぐことができます。
PPAモデルやリース契約もある
PPA(Power Purchase Agreement/電力販売契約)とは、電力販売契約のことで発電業者と電力購入者が直接的に売電契約を結ぶことを指します。発電設備の所有権は発電業者が持ち、設置費用・運用・保守・メンテナンス・廃棄まで負担してもらえること、さらに初期投資ゼロで太陽光パネルを設置できる点が大きなメリットでしょう。画像引用:環境省|PPAモデル
PPAは2020年より環境省による補助事業がスタ―トしており、導入によって補助金を受けられる場合があります。
利用に関するおもな要件は次のとおりです。
● 発電事業者が計2MW以上の太陽光発電設備を新設
● 8年以上にわたる一定量以上の利用契約
● 需要側は複数社、複数施設でも可
PPAに取り組んでいる自治体や業者も多いので、ゼロ負担から始めたい場合は情報をチェックしてみましょう。
立体駐車場に太陽光パネルを設置することに関するQ&anp;A
立体駐車場に太陽光パネルを設置することに関する、よくある質問を集めました。
Q. 太陽光パネルのメンテナンスの頻度は?
Q. 太陽光パネルの耐用年数は?
Q. 環境配慮型立体駐車場とは?
順に見ていきましょう。
Q. 太陽光パネルのメンテナンス頻度は?
メンテナンスフリーですが、半年に1回程度の目視点検をおすすめしています。Q. 太陽光パネルの耐用年数は?
メーカー保証で20年です。Q. 環境配慮型立体駐車場とは?
環境に配慮し、カーボンニュートラルに貢献する立体駐車場のことを指します。その一環として次のような取り組みがあります。● 太陽光パネルの設置
● 緑化
● 雨水を利用
駐車場の緑化に関することは、こちらの記事で詳しく解説しています。