自走式立体駐車場を設計するなら知っておきたいポイント|種類・構造・法令

自走式立体駐車場を建設しようと思った際、どのような点に気をつけるべきでしょうか。
自走式立体駐車場といっても種類はさまざまあり、構造や関係する法令についても知っておく必要があります。
そこでこの記事では、自走式立体駐車場を設計する場合に知っておきたい種類・構造・法令について詳しく解説します。
自走式立体駐車場の設計に関わる具体的なことを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

自走式立体駐車場の種類

屋内駐車場の種類

自走式立体駐車場には、次の2つの種類があります。

・一般建築
・認定駐車場

それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。

一般建築

一般建築は、従来の構造(コンクリート造・鉄筋コンクリート造など)の駐車場を指します。種類は次の3つです。

・S造:建築物の躯体に鋼材を用いる建築構造
・RC造:鉄の強度と圧縮に強いコンクリートのよさを併用した構造
・PRC造:鉄筋コンクリート造にプレストレスを導入して耐久性を高めた構造

一般建築とは、建築基準法に基づいて設計・施行された建築物を指します。自由に設計できるのがメリットですが、全体的にコストアップとなる可能性があります。

認定駐車場

認定駐車場とは、国土交通大臣による認定を受けたものを指します。防耐火において高い安全性が担保されているため、主要構造部の耐火被覆を必要としません。 消火設備も簡易にできるため、コストカットが可能です。建築材料や工法も細かく指定されており、工期の見通しもしやすいのが特徴です。

認定駐車場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自走式立体駐車場の認定駐車場とは?建設メリット5選|認定の種類・特長も詳しく解説

自走式立体駐車場の床形式

自走式立体駐車場の床形式

自走式立体駐車場には、次のような3種の床形式があります。

・フラット式
・スキップ式
・連続傾床式

順にみていきましょう。

フラット式

平らな階層をスロープでつなぐ形式で、自走式駐車場の基本タイプです。フロア全体が平らで見晴らしがよく安全確認もしやすいため、駐車しやすいことが特長です。 また、床がフラットなので、ショッピングカートを利用する商業施設や車いすの方が利用する病院などに適しています。敷地形状に合わせて導線を自由に設計できます。

スキップ式

フロアを段違いに組み合わせ、半階ずつスロープでつなぐ形式です。狭い敷地でも駐車台数を確保しやすく、集合住宅や一般の時間貸し駐車場などに適しています。 また、傾斜や段差のある敷地であっても、敷地の形状を無駄なく利用できます。

連続傾床式

フロアを緩やかに傾斜させ、各階層をらせん状につなぐ形式です。スロープが昇降と車路を兼ねているため、他の床形式に比べて10~30%ほど駐車効率が良いのが特長です。 時間貸し駐車場など、狭い土地でもできるだけ多くの駐車台数を確保したい場合などに適しています。

床形式については、こちらの記事を参考にしてください。
自走式立体駐車場の床形式とは?階層別駐車可能台数も紹介

自走式立体駐車場の構造

屋内駐車場のメリット

自走式立体駐車場において、柱が多いと構造物として安定しますが、それと同時に見晴らしや駐車作業の邪魔になります。ここでは、柱の場所と間隔を種類別に紹介します。

・ショートスパン
・セミロングスパン
・ロングスパン
・スーパーロングスパン

「スパン」とは、建築物や構造物において、支点柱と支点柱の間の距離を指します。スパンが広くなると柱の数が少なくなるため、開放的な空間となります。

ショートスパン

ショートスパン
ショートスパンは中間柱とブレースが多いため、構造としては安定しています。しかし、駐車や乗降スペースが狭くなってしまうのがデメリットです。 フラット式・スキップ式・フラット段差式と、どの床形式にも対応できます。

セミロングスパン

セミロングスパン
セミロングスパンに採用されているのは、両方向ブレース式といって建築物の耐震性を高める施行方法です。 斜めにブレースを設置することで、地震や風などに対して建物を補強します。スキップ式・連続傾床式に対応しています。

ロングスパン

ロングスパン
ロングスパンは中間柱がないため、スペースに余裕がありドアの開け閉めがスムーズです。さらに、不要になった柱分の基礎工事コストを抑えられるのがメリット。 スキップ式・連続傾床式・フラップ式に対応しています。

スーパーロングスパン

スーパーロングスパン
ロングスパン同様、中間柱がないためドアの開け閉めがスムーズ。柱間の最大スパンは17.2mと幅が広く開放的です。ラーメン式を採用しており、柱と梁からできた構造体の接合部を剛接合で強力につけ、耐震性を高めています。 斜め駐車などレイアウトの自由度も高く、収納台数を増やせるのもメリットです。フラット式に適しています。

自走式立体駐車場を設計するうえで重要な法令

自走式立体駐車場を設計するうえで重要な法令

最後に自走式立体駐車場を設計するうえで、重要な法令についてまとめました。設計に大きく関係する法令は次のとおりです。

・路外駐車場に該当するかどうか(駐車場法施行令第1章第2条、第2章第11条)
・出入口の場所は適切か(駐車場法施行令第7条)
・車路の幅は適切か(駐車場法施行令第8条)
・高さや照明は適切か(駐車場法施行令第9条、第12条、第13条)
・バリアフリー新法

順に見ていきましょう。

路外駐車場に該当するかどうか(駐車場法第1章第2条2、第4章第11条)

【駐車場法施工令 第1章第2条】
二 路外駐車場 道路の路面外に設置される自動車の駐車のための施設であって一般公共の用に供されるものをいう。

【駐車場法施工令 第4章第11条】
路外駐車場で自動車の駐車の用に供する部分の面積が五百平方メートル以上であるものの構造及び設備は、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号) その他の法令の規定の適用がある場合においてはそれらの法令の規定によるほか、政令で定める技術的基準によらなければならない。

駐車部分の面積が500㎡以上であれば、駐車場法が適応されます。駐車スペースの平均が約12.5㎡と考えると、40台程度の駐車場が目安です。

参照:駐車場法施行令

出入口の場所は適切か(駐車場法施行令第1章第7条)

駐車場の出入り口の場所に関しては、駐車場法第2章第7条に以下以外の部分に設置すると定められています。

・横断歩道橋(地下横断歩道を含む。)の昇降口から5m以内の道路の部分
・幼稚園、小学校、義務教育学校、特別支援学校、幼保連携型認定こども園、保育所、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童公園、児童遊園又は児童館の出入口から20m以内の部分
・幅員が6m未満の道路
・縦断勾配が10%を超える道

その他、道路交通法第四十四条に定められた停車および駐車禁止する場所を避ける必要があります。例えば、交差点や横断歩道、踏切や坂の頂上付近などです。

参照:道路交通法
参照:駐車場法施行令

車路の幅は適切か(駐車場法施行令第2章第8条)

さらに駐車場内の車路の幅については駐車場法第2章第8条に、次のように定められています。

・二方通行の車路の幅は5.5m以上確保すること
・一方通行の車路の幅は3.5m以上確保すること
・梁下の高さは2.3m以上確保すること
・傾斜部の縦断勾配は17%を超えないこと

車路の幅については、国土交通省の「駐車場設計・施工指針について」に詳しく指定されています。車室に面した車路の幅は次のとおりです。

設計対象車両歩行者用通路なし(m)歩行者通路あり(m)
軽自動車
小型乗用車
普通乗用車
7.0(5.5)6.5(5.0-5.5)
小型貨物車7.5(6.5)7.0(6.0)
大型貨物車
およびバス
13.0(11.5)12.5(11.0)
空間の制約などにより、やむを得ない場合はカッコ内の数値まで縮小できます。

参照:国土交通省|駐車場設計・施工指針について
参照:駐車場法施行令

高さや照明は適切か(駐車場法施行令第2章第9条、第12条、第13条)

ほかにも梁下の高さ、換気、場内の明るさなども基準は次のように設けられています。

・梁下の高さは2.1m以上確保すること(第9条)
・内部の空気を1時間に10回以上換気できる装置を設けるか、床面積の1/10以上の大きさの開口部を設置すること(第12条)
・車路の路面については10ルクス以上確保すること(第13条)
・駐車スペースの床面は2ルクス以上確保すること(第13条)

参照:駐車場法施行令

バリアフリー法

駐車場建設において、バリアフリーへの対応は重要な要素のひとつです。その基準は、いわゆるバリアフリー法(正確には高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令) によって定められています。 面積500㎡以上ある駐車場で、駐車料金を徴収する駐車場が対象となっています。詳細な規定は、各自治体の「福祉のまちづくり条例」を確認しましょう。

自走式立体駐車場を設計するなら
国土交通大臣認定のstageWにおまかせください

自走式立体駐車場を設計するなら国土交通大臣認定のstageWにおまかせください

自走式立体駐車場を設計するうえで重要な構造や法令について解説しました。さまざまな条件がありますが、認定駐車場であれば、 すべての条件を満たした設計が用意されています。stageWであれば、スーパーロングスパンのような設計も可能です。

さらに、国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーとして長年の実績があるため、多様なお客様のニーズにあわせた提案も可能です。 自走式立体駐車場の建設を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。


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