一般的に立体駐車場といっても、自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の2種類があります。
どちらのタイプを建設すべきか迷っている場合、それぞれの仕組みを知っておくと判断基準となるでしょう。
この記事では、2種類の立体駐車場の特徴や仕組みを解説するとともに、適した施設について紹介します。
維持コストや耐用年数についても分かるので、参考にしてください。
立体駐車場の種類
立体駐車場は、大きく分けて3種類あります。以下で解説していきます。
・自走式立体駐車場
・機械式立体駐車場
・その他:平面駐車場
自走式立体駐車場
自走式立体駐車場は、自分で運転して駐車スペースに駐車するタイプです。特徴としては以下の点が挙げられます。
・車の駐車(出し入れ)が簡単にできる
・入出庫の操作による待ち時間がない
・荷物の出し入れが簡単にできる
・雨風や直射日光から車を守れる
・災害時に強く避難場所になる
特に災害時に強いことが機械式立体駐車場にはない特徴です。開放性の高い構造のため、津波などの自然災害にも強いことも証明されています。
具体的には2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震で多くの自走式立体駐車場が自然災害に耐えました。さらに津波避難ビルとしても指定できます。
機械式立体駐車場
機械式立体駐車場は、パレットにのせて操作することで機械設備が自動的に格納するタイプの駐車場です。特徴は以下のとおりです。
・限られた面積で多くの駐車場台数を確保できる
・操作方法を覚えれば簡単に出し入れできる
・構造上車高制限が厳しい場合がある
・災害時にリスクがある
面積に対する収容台数の多さが魅力ですが、災害時には弱いといった特徴があります。
例えば停電や機械の故障では、車両の出し入れができなくなりますし、水害時には地下駐車場が水没する危険性もあります。
その他:平面駐車場
いわゆる青空駐車場と呼ばれるのが平面駐車場です。その特徴は以下です。
・車の出し入れが簡単
・車高制限がない
・設置コストが安い
・災害時のリスクが少ない
利便性や安全性に加え、コストパフォーマンスに優れているのが平面駐車場です。ただし、設置するためには広い土地が必要です。
より具体的に駐車場の種類について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
⇒自走式立体駐車場の種類には何がある?違いを詳しく解説
自走式立体駐車場の特徴と仕組み
自走式立体駐車場の特徴と仕組みを、次のようにまとめました。
・自走式立体駐車場の特徴
・自走式立体駐車場の仕組み
・自走式立体駐車場に適した施設
順に見ていきましょう。
自走式立体駐車場の特徴
自走式立体駐車場の最大の特徴は、屋根と壁があることです。屋上階は除きますが、雨天時の乗り降りにストレスがなく災害に強いのがメリットです。
また、災害時には避難場所にもなります。簡易仕切りを設置すれば、治療スペースなども確保できるうえ、物資の補給トラックの一時駐車場などにも利用可能です。
車路の幅は規定で決まっており、比較的広く運転しやすい構造になっています。入り口から順に上の階へ空きスペースを探していくため、駐車スペースを見つけやすい反面、満車に近いときは長い距離を運転して上の階まで駐車場所を探さなければいけません。
また、ほかの2種類の駐車場と比較すると、ある程度の土地面積が必要です。
自走式立体駐車場の仕組み(有料駐車場)
有料の自走式駐車場に駐車する際の仕組みや手順について紹介します。
【入庫時】
1.自ら運転して駐車場入り口ゲートから入る
2.駐車券を入口で受け取る
3.ゲートで車の高さを測定し制限内であれば入場する
4.自分で運転してスロープを上りながら駐車スペースを見つける
5.自分で駐車する
【出庫時】
6.運転して出口で駐車券を入れる
7.入口付近の料金支払い機で支払いする
最近では、事前支払機で支払い、出口で駐車券を入れるだけの仕組みも増えています。
また、ナンバープレート認証システムも便利です。入庫時間と出庫時間をナンバープレートから読み取り、清算済みと判断された場合は、駐車券を挿入せずとも自動でゲートが開きます。
自走式立体駐車場に適した施設
自走式立体駐車場に適した施設は次のとおりです。
・マンションやアパートなどの集合住宅
・商業施設やオフィスビルなどの大型施設
・病院や学校などの公共施設
・工場や倉庫などの産業施設
・観光施設
以上のような車両の通行量が多く、駐車ニーズが高い場所に適しているといえます。
また車両制限が緩いため、大型車両が出入りする工場や倉庫などの産業施設にも多く利用されています。ただし、設置面積が十分に確保できることが必須です。
国の安全性の基準をクリアした自立式立体駐車場を「認定駐車場」と呼びます。
詳細について知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
⇒自走式立体駐車場の認定駐車場とは?建設メリット5選|認定の種類・特長も詳しく解説
⇒施設型駐車場の種類と特徴について解説
機械式立体駐車場の特徴と仕組
機械式立体駐車場の特徴と仕組みを次のとおりまとめました。
・機械式立体駐車場の特徴
・機械式立体駐車場の仕組み
・機械式立体駐車場に適した施設
順に見ていきましょう。
機械式立体駐車場の特徴
機械式立体駐車場の特徴は次のとおりです。
・狭い土地を有効に使える
・機械が自動で収納してくれる
・車高制限がある
・定期的な検査やメンテナンスが欠かせない
・災害時のリスクがある
設置面積が狭くても、多くの駐車台数を確保できるのが機械式立体駐車場の特徴です。
狭いパレットへの駐車や機械操作に慣れてしまえば、自動で格納してくれます。ただし、毎月の点検や定期的なメンテナンスなど、手間と費用の負担がかかります。
機械式立体駐車場の仕組み
機械式立体駐車場の種類と仕組みは次のとおりです。
二段式・多段式 | 車を乗せたパレットを上下左右に動かして駐車スペースに収納する (スライド式・ピット式など) |
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昇降循環式 | 車を乗せたパレットを垂直方向に循環させて駐車スペースに収納する |
タワー式 | 車を乗せたパレットをエレベーターで昇降させて駐車スペースに収納する |
駐車する際の手順は次のとおりです。
1.同乗者や荷物がある場合は先に降ろしておく
2.車のフロントを正面にしてパレットにのせる
3.サイドミラーなどをたたむ
4.パレットの外に出る
5.操作盤で操作して車を格納する
パレット内に人が残されたまま操作すると、重大な怪我や死亡事故につながる可能性があるため、操作には十分気をつけましょう。
機械式立体駐車場に適した施設
機械式立体駐車場を設置するのに適した施設は次のとおりです。
・駅前の商業施設
・オフィスビル
・百貨店
・マンション
都心部で十分な土地を確保できない場合は、機械式立体駐車場が適しています。限られた面積でも多くの駐車台数を確保できるためです。
マンションの場合も、都心部で広い駐車スペースが確保できない場合に有効です。
機械式立体駐車場についての詳細は以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
⇒マンションに機械式立体駐車場を設置するメリット・デメリット|建て替え時の注意も解説
その他:平面駐車場
平面駐車場の特徴は以下のとおりです。
・面駐車場の特徴
・平面駐車場の仕組み
・平面駐車場に適した施設
順に見ていきましょう。
平面駐車場の特徴
いわゆる青空駐車場とも呼ばれ、屋根のないタイプの駐車場です。全体を見渡せるため、空きスペースを探しやすい反面、満車時は駐車スペースを見つけるのが大変です。
メンテナンスがほとんどかからないことも特徴です。
多くの駐車場台数を確保するためには、広い土地が必要ですが、コインパーキングであれば都心の狭い土地でも設置が可能です。
平面駐車場の仕組み(有料駐車場)
平面駐車場の仕組みは次のとおりです。
1.駐車場入口のゲートで駐車券を発行する
2.駐車スペースに駐車する
3.駐車場出口ゲートで精算する
出入口でバーが上がるタイプ以外にも、駐車して一定時間経過すると車止めが上がるタイプもあります。
出入口精算以外に、事前精算機が設置されているケースも増えています。管理コストの費用は最小限で済むでしょう。
平面駐車場に適した施設
平面駐車場に適した施設は次のとおりです。
・郊外のスーパーやホームセンターの敷地内
・駅前や繁華街などの公共施設の周辺
・住宅街や観光地などの道路沿い
広い土地が必要ですが、建設費用は3つの駐車場の中では一番安く、メンテナンスの手間や負担も一番少ないといえます。
自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の比較
最後に自走式立体駐車場と機械式立体駐車場を、次の3つの観点で比較してみましょう。
・維持コスト
・耐用年数
・安全面
順に見ていきましょう。
維持コスト
維持コストを比較すると、機械式立体駐車場の方が高コストとなる傾向です。そのおもな理由として、毎月の点検や、使用部品が多く定期的な交換など必要になるためです。
また、機械式立体駐車場の法定耐用年数は15年ですが、パレット自体は3~5年で錆がついてしまう可能性があり、その都度メンテナンスやリニューアルが必要です。それに対して自走式立体駐車場は、使用する備品が少ないため点検の費用も抑えられます。
具体的な駐車場建設費について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
⇒自走式立体駐車場の建設費の目安は?メンテナンスやリニューアル費用も解説
耐用年数
それぞれの法定耐用年数は次のとおりです。
・機械式立体駐車場:15年
・自走式立体駐車場:15年~31年
法定耐用年数とは、「税務上の減価償却期間の目安」のため、物理的な耐用年数と同じではありません。
使用状況やメンテナンス状況によって物理的な耐用年数には差が生まれるため、あくまでも目安として考えましょう。
また、自走式立体駐車場の耐用年数に幅があるのは、構築物・金属造・露店式立体駐車設備に該当する場合は15年、鉄骨造31年、RC造38年となっているためです。
耐用年数についての詳細を知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
⇒立体駐車場の耐用年数は?メンテナンスポイントや建て替えのサインを解説
安全面
機械式立体駐車場は、誤作動や誤操作による事故に気をつける必要があります。機械に巻き込まれた場合、切断や死亡など大きな事故に発展しがちです。
自走式立体駐車場の場合は、場内での歩行者・対向車との接触に注意しましょう。看板やミラーなど安全対策をしておくと、事故を防ぐのに役立ちます。
具体的な安全対策については以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
⇒立体駐車場で発生しやすい事故例と安全対策6選
自走式立体駐車場を検討するならstageW
この記事では、立体駐車場の仕組みについて説明したのち、2種類の駐車場を比較しました。自走式立体駐車場には、ある程度の敷地面積が必要ですが、耐久性やコストにおいて機械式立体駐車場よりもプラス面が多いといえます。
もし、自走式立体駐車場をお考えの場合は、stageWにお任せください。国土交通大臣認定の自走式立体駐車場メーカーとして、長年の実績があるため、お客様のニーズにあった提案が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。