機械式立体駐車場の維持費は高い?
リニューアル費用の見積が重要な理由

機械式立体駐車場の維持費は高いといわれています。法定耐用年数は15年で、リニューアル時には大きな費用が必要です。
リニューアル時に平面駐車場や自走式立体駐車場へ建て替えるケースも多く、維持費という点では建て替えが役立っているようです。
そこで、この記事では機械式立体駐車場の維持費の内訳や、他と比較して高額だと言われる理由について紹介します。
また維持費を軽減する施策についても解説するので、リニューアル時期が近い機械式立体駐車場の管理組合様、もしくはオーナー様は参考にしてください。

機械式立体駐車場の維持費の内訳

機械式立体駐車場の維持費の内訳

機械式立体駐車場の維持費の内訳は、大きく分けて次のとおりです。

● 人件費
● 保全・点検費
● 修繕積立金
● リニューアル費用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

人件費

機械式立体駐車場の運営や管理をするのは、マンションやビルの管理組合のため、組合スタッフの人件費も維持費に含まれています。マンションであれば、何かトラブルがあった際に対応できる人員が必要です。 タワーパーキングなどビルに附帯する機械式立体駐車場の場合は、機械操作の専門スタッフが常駐するケースが多く、24時間の常駐などとなると一定の人件費がかかるでしょう。

保全・点検費用

機械式立体駐車場の安全に関するガイドライン」の手引きによると、機械式立体駐車場には1~3か月に1回の割合で点検が必要です。 「昇降機等検査員」「電気工事士」などの資格を持った専門のスタッフが行うため、点検を専門に請け負っている企業に依頼します。 さらに保全として、一定年数経過した部品は定期交換する必要があり、その都度費用が発生します。経年劣化が進むにつれ、交換が必要な部品も増えるため、保全費の負担は築年数とともに年々大きくなっていくでしょう。

修繕積立金

マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によれば、修繕工事費を通常の保全・点検費に加算して考える必要があり、1台につき数千円から1万円程度を毎月積み立てなければいけません。 これはマンションの修繕積立金と同じ考えで、大規模メンテナンスやリニューアル時に大きな費用がかかるためです。

リニューアル費用

機械式駐車場の法定耐用年数は15年です。丁寧に点検をおこない、部品交換をこまめにしておけば20年は使用できるといわれています。ただし、錆や繰り返し使用する影響で機械が劣化するため、設置後20年程度で大規模なリニューアルが必要となるでしょう。 リニューアルでは1台あたり約100万円の費用がかかるといわれており、修繕積立金の不足金額分を補填する可能性が出てきます。もし住民に不足分を負担してもらう場合、全員の同意が必要です。機械式立体駐車場については、こちらの記事で詳しく解説しています。参考になさってください。

機械式立体駐車場については、こちらの記事で詳しく解説しています。参考になさってください。
関連記事:マンションに機械式立体駐車場を設置するメリット・デメリット|建て替え時の注意も解説

機械式立体駐車場の維持費が高額だと感じる理由

機械式立体駐車場の維持費が高額だと感じる理由

機械式立体駐車場の維持費が、他の駐車場管理と比べて高額だとされる理由は、下記のとおりです。

● メンテナンスの手間がかかるから
● 安全装置取り付けが義務化し、費用がかかるから
● リニューアルに1台あたり約100万円かかるから
● 空きスペースが増えると維持負担が増えるから
● 修繕積立金の見積もりが甘いから
● 経年劣化により修繕費用が増加するから

それぞれ詳しく解説します。

メンテナンスの手間がかかるから

機械式立体駐車場は、初期導入費用だけでなく、部品の入れ替え工事・定期的なメンテナンス・修理費がかかります。なかでも故障するまえに部品を定期的に交換することを「保全」とよびます。
保全には部品が壊れる前に交換する「予防保全」と部品が故障したら交換する「事後保全」があります。大きな事故を防ぐためには、事前に対処できる「予防保全」に力を入れましょう。 予防保全には、パーツの交換やオイル・グリスを定期的に塗布するといったものが含まれます。

安全装置取り付けが義務化し、費用がかかるから

2015年1月1日に国土交通省より駐車場法施行規則の改正が行われ、2016年7月以降納入する「路外」駐車場には収納式ゲートや光電センサー、安全確認ボタンなどの安全装置の取り付けが義務化されました。
安全対策に関するガイドライン」にも掲載されており、早期に安全対策を行うよう事業者に要請しています。 もし改正後以前に設置した機械式立体駐車場であれば、ゲートやセンサーを設置する対策費用がプラスの負担となるでしょう。

空きスペースが増えると維持負担が増えるから

空きスペースが増えると維持負担が増えるから
画像引用:一般財団法人 自動車検査登録情報協会|自動車保有台数の推移

自動車検査登録情報協会の自動車保有台数の推移によれば、 令和5年度の乗用車保有台数は6195万3135台となっています。ここ10年間は微増ですが、右肩上がりの1900年代とは違い、頭打ちの状況が続いているといえます。 現代文化研究所のレポートによれば、全市区町村のうち半分弱で、2030年に乗用車保有台数が20%以上減少すると予測されています。
マンションの住民が高齢化して車を手放すケースも増えており、空きスペースが多くなり駐車料金が取れないと、住民一人当たりの維持管理費用の負担が増大するでしょう。 そのためリニューアル時に、以前と同じ台数が必要かを検討しておく必要があります。

リニューアルに1台あたり約100万円かかるから

機械式駐車場の法定耐用年数は15年です。丁寧にメンテナンスをすれば、20年~25年まで使用できます。ただし機械式立体駐車場のリニューアルのためには、一般的に1台平均100万~150万円が必要といわれています。 駐車場が50台分あるとすれば、リニューアル時にはおおよそ5000万円の費用が必要になる計算です。
リニューアルに備えるためには。設置直後から1台につき年間5万円を20年積み立てていく必要があります。また、リニューアル時にハイルーフ対応タイプに変更する場合には、プラスの費用がかかるのも想定しておきましょう。

修繕積立金の見積もりが甘いから

駐車場使用料の内訳に、管理費・保全費に加え修繕積立金も含みましょう。重要な点としては、集めた料金のうち、運営費とは別に修繕積立金を積み立てておくことです。 普段の維持管理に使用してしまうと、大規模修繕やリニューアル時に費用が足りなくなってしまいます。 また、マンションを購入してもらいやすくするために、維持管理費を安く設定しているケースも少なくありません。その場合、駐車場の大規模修繕時にまったく費用が足りないといった事態に陥ってしまいます。

経年劣化により修繕費用が増加するから

金属性の機械式立体駐車場は、一般的には屋外に雨ざらしの状況になります。金属疲労・錆びなどが発生し、使用年数とともに経年劣化で修繕箇所が増えていきます。 このように、リニューアルや大規模修繕を先に延ばしたとしても、保全の費用が増えてしまうというジレンマに陥りがちです。点検費用・修繕費用・更新費用のバランスを考えたコスト計算をしましょう。

機械式立体駐車場の維持費を軽減する施策

機械式立体駐車場の維持費を軽減する施策

負担の大きい維持費を軽減する対策や施策を紹介します。

● 外部に貸し出す
● 一部をトランクルームに変える
● 一部を平面式駐車場にする
● 全部を解体する
● 自走式立体駐車場に建て替える

案のひとつとして参考にしてください。

外部に貸し出す

空きスペースをマンションの住民以外に貸す、コインパーキングとして活用するなど、外部の利用者に貸し出すことで管理費用や修繕積立金を増やすことができます。 料金設定の注意点としては、修繕積立金も含めて計算することです。また、マンションの住民のより割安な金額で貸し出すとマンション利用者の不満につながる場合があるので、料金設定には注意しましょう。

一部をトランクルームに変える

空きスペースを解体してトランクルームを設置して住民に貸し出します。解体費用とトランクルーム設置初期費用が必要ですが、広告費をかけずに借り手が見つかるというメリットがあります。 住民側も、荷物を車で運び出す必要がなく、足りない収納スペースを近場で借りられるので、受け入れてもらいやすい施策です。

一部を平面式駐車場にする

空きスペースが一定以上となった場合は、解体して平面式駐車場にします。平面式駐車場はメンテナンス費用があまりかからないため、管理・保全費の負担を大きく軽減できるでしょう。 デメリットとしては、住民が入れ替わった際に、新しい住民が駐車場を希望しても、貸し出す駐車場の余裕がない点です。住民の年代が今後どのように変化していくかを考慮したうえで判断しましょう。

平面式駐車場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:平面式駐車場について解説!立体駐車場と比較したメリット・デメリットとは

全部を解体する

駅が近く、自家用車を所有せずとも生活が可能な地域であれば、古くなった機械式立体駐車場すべてを解体するといった選択もあります。解体したのちは、全面を平面式駐車場にする、もしくは自走式立体駐車場に建て替えるなどが一般的です。 平面駐車場であれば、定期メンテナンスや保全が不要なため、維持費を大きくコストカットできるでしょう。

自走式立体駐車場に建て替える

積み立ててきたリニューアル費用を利用し、機械式立体駐車場ではなく自走式立体駐車場に建て替える選択もあります。必要な建設費用は一定額かかりますが、保全の費用負担は大きく下げられるでしょう。

自走式立体駐車場のメリットは次のとおりです。

● 出入庫が簡単にできる
● 荷物の出し入れが簡単にできる
● 雨風・紫外線から車を守ってくれる
● メンテナンスの手間がかからない
● 耐火に優れている(国土交通大臣認定)

自走式立体駐車場メーカーに見積もりを出してもらい、比較検討してみましょう。

機械式立体駐車場を自走式立体駐車場にリニューアルするならstageW

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